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【100均ガジェット分解】(65)ダイソーの充電式「人感・明暗センサーLEDライト」
本記事は月刊I/O 2024年8月号に掲載された記事をベースに、内容を追記・修正をして再構成したものです。
最近の100円ショップでは人感センサ付きLEDライトをよく見かけます。今回はその中からバッテリーを内蔵したダイソーの充電式「人感・明暗センサーLEDライト」を分解してみます。
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製品仕様と本体の外観
パッケージの表示
「人感・明暗センサーLEDライト」のブランドは「ダイソー」、価格は300円(税別)です。
仕様ではモーションセンサーの検知範囲は上下左右約110度、内蔵バッテリー容量は200mAhとなっています。充電用コネクタはmicroUSB、充電ケーブルは付属していないので、別途準備が必要です。LEDの明るさは20ルーメンとあまり明るくないので、暗い廊下や玄関での補助用電灯が主な用途だと思われます。
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パッケージ側面の表示によると、点灯保持時間は約20秒(感知中は常時点灯)、最大連続点灯時間は約7時間です。
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本体の外観
パッケージの内容は本体のみです。本体はポリプロピレン製、正面のカバーは半透明で真ん中にモーションセンサーが配置されています。
光の拡散は不十分で点灯時に正面から見るとLEDの位置がはっきりわかります。
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本体の分解
正面の半透明カバーの隙間に精密ドライバ等を差し込んでこじると開封することができます。防水等の配慮はありませんので、浴室や台所などで使用する場合は注意が必要です。
メインボードはケースにツメで固定されていていて、ビスは一切使用されていません。
中央のモーションセンサーには拡散用の樹脂キャップがついています。
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メインボードを取り出すと、裏面に両面テープで固定されたLiPoバッテリーがあります。
LiPoバッテリーのタブ(電極)はメインボードに直接ハンダ付けされています。
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主要部品
LiPoバッテリー
LiPoバッテリーは402030サイズ(幅9mm x 高さ20mm x 厚さ4.0mm)、容量は200mAhです。保護回路は内蔵していません。
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メインボード
メインボードはガラスコンポジット(CEM-3)の片面基板、基板の型番「KQ-YD1」と基板の製造日(2023/04/28)がシルクで印刷されています。
モーションセンサーはPIRセンサーが、明暗センサーはフォトトランジスタが使われています。
モーションセンサーは足を折り曲げて横に出す形でハンダ付け、それ以外の部品は面実装です。
LEDは2.4mm x 3.2mmサイズのCOB(Chip on Board)タイプのものが8個実装されています。
COB LEDの両端のパターンは放熱のために幅が広くなっています。ただ、電源・GNDのパターンは電流が流れる経路があまり配慮されておらず、全体的にやや雑な基板設計であるという印象を受けました。
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回路図と回路動作
基板パターンからメインボードの回路図を作成しました。
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LiPoバッテリーには保護回路がありませんので、メインボード上に保護用の回路を実装する必要があります。
USBコネクタのVBUS(+5V)から充電制御IC(U1)でLiPoバッテリー(BT1)の充電電流制御を行います。
過放電保護IC(U2)はLiPoバッテリーの両端電圧を監視し、一定電圧以下になったらBAT-側をGNDから切り離し過放電を防止する制御を行っています。
本製品のLEDの電源は直接LiPoバッテリー(回路図の”B+”)からとっていますので、U2は連続点灯時に過放電になるのを保護するという目的もあります。
コントローラIC(U3)はLiPoバッテリーの電源(B+)から安定した電圧(VDD)を生成しセンサ類に供給しています。U3の6ピン・7ピンには抵抗分割されたVDDが接続され、照度センサの感度を調整できるようになっています。
電源スイッチ(J1)はコントローラICとセンサブロックのVSSとGNDの間に入っています。
回路構成としては、価格から想像していやよりもきちんとお金をかけているという印象をうけました。
メインボードの主要部品
コントローラーIC: 型番不明
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コントローラーICは表面に型番のマーキングがなく、各ピンの配置から検索しても該当するものを見つけることができませんでした。周辺回路の構成より、本製品のような「人感・明暗センサー付きLEDライト」向けの専用のコントローラーだと思われます。
ちなみに、チップを基板から剥がしてみたところ裏面にマーキングがありましたが、こちらも該当するものは見つかりませんでした。
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モーションセンサー: D203S
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モーションセンサーには赤外線の変化で動きを検知するPIR(Passive Infrared Ray)センサーです。
本製品で使用している3端子のタイプは「D203S」という型番で複数の会社から同様のもの販売されています。データシートは汎用向けのものが以下より入手できます。
https://www.futurlec.com/PIR_D203S.shtml
明暗センサー: フォトトランジスタ(型番不明)
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顕微鏡で明暗センサーの透明の樹脂の下にあるチップを拡大して構造を確認したところ、周囲の明るさで流れる電流が変化する「フォトトランジスタ」であることがわかりした。
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データシートは同一形状の億光電子工業股份有限公司(Everlight Electronics https://www.everlight.com/)のものが以下より入手できます。
https://www.lcsc.com/datasheet/lcsc_datasheet_1809301614_Everlight-Elec-PT11-21C-L41-TR8_C16746.pdf
![](https://assets.st-note.com/img/1738070368-ZedF1PBfY4h6DKsl8yATXv70.png?width=1200)
充電制御IC: LTH7R
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充電制御ICは深圳市富满电子集团股份有限公司(FINE MADE ELECTRONICS GROUP http://www.superchip.cn/)の単セルリチウムイオン電池用の充電管理IC「LTH7R」です。データシートは以下より入手できます。
https://www.lcsc.com/datasheet/lcsc_datasheet_2009281204_Shenzhen-Fuman-Elec-LTH7R-_C841234.pdf
最大充電電流はPROG端子に接続した外部抵抗で設定でき、本製品では約250mA(3.9kΩ)となっています。
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過放電保護IC: 型番不明
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表面のマーキング(25BAC)で検索したのですが該当する部品を発見することができませんでした。
回路構成よりLiPoバッテリーの両端電圧を監視し過放電を保護するICであると判断しました。
まとめ
LiPoバッテリー周辺は初めて見る回路構成でした。今までも同等の機能の製品を複数分解していますが、本製品では今まであまり見かけなかった専用のICが使われています。同じように見える製品でも分解するたびに新たな発見があります。
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![ThousanDIY (Masawo Yamazaki)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3294361/profile_a17bc0344fdcb36f9082c1d8b0d2dd85.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)