2024年に観た映画記録・黒沢清監督作品
後半からはメンタルが酷くて、あまり出かけませんでした。
ただ、早稲田松竹で黒沢清監督の再上映が多く公開されて
観に行くことができました。
長年のファンである黒沢監督の過去作品を
スクリーンで観ることができて、とても至福でした。
苦しい、辛い、そればかりだった実生活において……。
黒沢清監督作品を多く観れた。
これだけは、2024年の嬉しき思い出のひとつとなりました。
5月20日
「CURE」早稲田松竹
謎の連続猟奇殺人事件、加害者にも被害者にも関連性が無くて
捜査は難航していた。
そこに出現した記憶喪失の青年。
彼が鍵となり、事件解明は大きく揺るぎだす。
サイコスリラーとしては格段の完成度。
萩原聖人氏の超越した繊細な演技が光る。
役所広司氏のダイナミックだけど脆い存在感も秀逸。
人という「個人」をかたどる輪郭を浮き彫りにすると
みえてくるものは何であるか……。
その恐怖が細部まで描かれている。
5月20日
「蛇の道(1998)」早稲田松竹
幼い娘を残虐に殺害された男。
その復讐の手助けをする男。
二人は事件加害者を拉致して監禁する。
復讐の幕を開けたとき、
別の淀みも幕を開けてしまう……。
香川照之氏も哀川翔氏も若くて驚いた。
※過去作品だから当然なのですが。
黒沢清監督の作品は陰湿で容赦ないんだけど
役者のデリケートな演技と存在感で美しくなる。
5月22日
「ニンゲン合格」早稲田松竹
14歳のとき交通事故で昏睡状態になった少年が
10年後に奇跡的に目覚めて回復する。
青年だが、少年の時期のまま精神が成長していない。
そんな彼に突き付けられた現実は……。
離婚した両親、自由気ままに生きる妹、放置された実家、
そして父の親友である男だった。
現実を受け入れきれない彼は、夢みていた再生へと進もうとする。
「俺は子供が嫌いだ」と、言いながらも
やたらと面倒をみる男を、役所広司氏が演じる。
現在はイケオジ代表の西島秀俊氏の初主演映画作品。
七分丈ズボン姿で喜怒哀楽を見せる西島氏が初々しい。
黒沢作品では最も好きな作品。
基本的に恐怖映画を作る監督ですが、
本作品はホラー要素無し。
けれど儚く悲しく、胸に痛く刺さる物語です。
5月22日
「大いなる幻影」早稲田松竹
「愛を見せずに愛を表現したい」みたいな?テーマだそうで。
ストーリーはカオス過ぎて難解なんだけど……。
細く消え入りそうな武田真治氏が美しい。
※現代では筋肉マッチョさんになってますね。
人って年齢的に『繊細』な体質の時期があって
それはすごく短い。
黒沢清監督の作品では、その瞬間を映像のなかに
閉じ込めてくれる感じがしますね。
6月20日
「蛇の道(2024)」吉祥寺アップリンク
旧作をベースにしつつ、舞台をフランスに変えたリメイク作品。
柴咲コウさんの「目」が、すべてでした。
圧倒的で容赦なくて、観終えて体力消耗して疲れたほどです。
狂気でも悲哀でもない、もはや人間ではない「蛇」でした。
西島秀俊氏の黒沢清作品初登場の過去から
新作に出演している現代まで、観ることができた。
そんな2024年だったとも言えます。
追記。
映画館に行く気力がなくなり、アマプラで
「Cloud」を観ました。
窪田正孝氏が、ひたすらにすごかったなあ。
彼は、どんな映画においても作品の世界観に入り込める
特殊な能力を持ってる方だなあ、と。
来年は映画館にあまり行かないと思います。
実生活では、後半から地獄で、
趣味を楽しむ為に出かける以外では
笑うことが無かったほどでした。
しかし振り返ると、こんなに良い作品を観れていたんだなあ、と。
改めて嬉しくなれましたね。
来年も良い映画に出会えますように。