人生を変えた名盤シリーズVol.18 『GOO』
「ロック史の突然変異」
第18回目は、「ソニック・ユース」からメジャーデビュー・アルバムの『GOO』です。
「ソニック・ユース」は1981年ニューヨークで結成された、ノイズ・ロック、インディーロック等に分類されるバンドで、彼らの特徴として、変則チューニングを用いた独自の実験的サウンドが挙げられます。
メンバーはサーストン・ムーア (guitar、vocal)、キム・ゴードン (bass、guitar、vocal)、リー・ラナルド (guitar、vocal)、スティーヴ・シェリー (drums)の4人体制です。
曲目は以下の通り、全11曲です。
1.『ダーティ・ブーツ(Dirty Boots)』
2.『テュニック (ソング・フォー・カレン)(Tunic (Song for Karen)) 』
3.『メアリー・クライスト(Mary-Christ)』
4.『クール・シング(Kool Thing)』
5.『モート(Mote)』
6.『マイ・フレンド・GOO(My Friend Goo)』
7.『ディスアピアラ(Disappearer)』
8.『ミルドレッド・ピアス(Mildred Pierce)』
9.『シンデレラス・ビッグ・スコア(Cinderella's Big Score)』
10.『スクーター・アンド・ジンクス(Scooter + Jinx)』
11.『ティタニウム・エクスポーズ(Titanium Expose)』
冒頭1曲目の気だるい感じのリフが印象的な『ダーティ・ブーツ(Dirty Boots)』でアルバムは幕を明けます。
後半にかけての盛り上がり方は、まさに新時代の幕開けを象徴しているようです。
続いて2曲目は、若くして亡くなったカーペンターズのカレン・カーペンターズに捧げた『テュニック (ソング・フォー・カレン)(Tunic (Song for Karen))』です。
キム・ゴードンの淡々と歌い上げる様がなんともクールで、また、それを支える緊張感のあるサウンドが、彼女をより引き立てています。
この曲を聞いた時は、こんなにカッコいい女性ボーカルの人がいたんだと衝撃を受けました。
そしていよいよ彼らの代表曲でもある4曲目の『クール・シング(Kool Thing)』です。
当時学生だった自分は、PSソフトの「ギターヒーロー」に収録されていた本曲をきっかけに彼らの存在を知りました。
変則チューニングを用いたカッコいいリフに憧れ、かつて何度もトライしましたが、結局完コピはできずに挫折しました笑
ちなみにパブリック・エナミーのチャックDがゲストで参加しており、いい味を出しています。
7曲目の『ディスアピアラ(Disappearer)』は、サーストン・ムーアとリー・ラナルドのツインギターを堪能できる曲で、特に中間部における疾走感と高揚感は圧巻です。
アルバム後半になってもテンションが落ちることがなく、彼らのノイズロックと呼ばれる真骨頂がさらに加速していきます。
本作はその後に世を席巻する「オルタナティヴロック」の走りと言われています。
このアルバムの後に、かの有名なニルヴァーナの『ネヴァーマインド』が発表され、一躍「オルタナティブロック」が脚光を浴びるようになりました。
ロックを次のステージへと率いた本作は、記録こそ芳しいものではありませんでしたが、ロック史の「特異点」として、歴史的に重要な名盤と言えるでしょう。