ぼっちエンジニア最高!
「弱いつながりの強さ」を入山章栄先生の雑誌掲載文で知りました(※)。最近出版された辞書のような大著の中にも同じ内容が記載されております。入山先生が喜ぶので皆さんもポチって下さい(笑)。先生の巧みなマーケティング戦略によって、人類が気軽に持ち運べない重さに仕上がっております。私は仕方なく自宅と会社に一冊ずつ置いています。社外の勉強コミュニティにひとりぼっちで参加して奮闘努力されている「ぼっちエンジニア」の方にも、たとえ本は読まないとしても魔除けとして枕元に飾って欲しい本です。
組織(会社やコミュニティ)と組織がある1人のみを介してつながっている時に、このつながりを「ブリッジ」と呼ぶそうです。組織の間に跨る川を渡るには、その橋(ブリッジ)を通るしかないような状態です。
会社のような組織内では沢山の人的つながりがありますが、会社を飛び出して何らかのコミュニティ活動に初めて参加した人のある1日を想像してみましょう。
そのコミュニティには知り合いが1人も居ない。誰とも喋らず会場後ろの方で登壇者の発表を聞いて勉強会が終わり、懇親会が始まる。壁と同化して誰とも喋らず、ウェイウェイしている会場全体を低解像度でぼんやり眺めながら、ピザとビールの進捗は順調に進む。慣れているのでぼっち飲みは心地良い。すると突然コミュニティ運営の方から「はじめまして!」と声をかけられる。名刺を渡す。頂いた名刺、何をやってる会社か分からない。
「キラーン!」その瞬間です。あなたとコミュニティ、そしてお相手の会社と「ブリッジ」が生まれたのです。あなたを介してしか、つながらないネットワークのパスが出来たのです。おめでとうございます!(パチパチ👏
多くの人が、コミュニティや会合に参加して知らない人と会って、名刺交換する事に「何の意味も無い」と思いがちです。とくに会社の中で「できる奴」と言われる人は特にこの傾向が強いように思います。会社の飲み会には必ず参加する「できる奴」、吸わないのに缶コーヒー片手にタバコ部屋に突入する「できる奴」、バブル世代の部長のカラオケプロトコルに則って「浪漫飛行」をさりげなく歌いこなす「できる奴」。会社組織を悠然と泳ぐ「できる奴」は、一方で外のモノサシを知らない「井の中の蛙」です。
例えばその「できる奴」と「ぼっちエンジニア」のあなたが、同じ内容の投稿をツイートしたとします。「できる奴」には会社のフォロワーからいいねが集まります。「ぼっちエンジニア」の投稿は、コミュニティで知り合った方の目に止まりリツイートされます。そしてコミュニティメンバーの会社の同僚やフォロワーの目に触れて、さらにリツイートが広がって行きます。あなたのつぶやきはより遠くへ届くのです。「できる奴」は会社の中で強いつながりを持ちます。「ぼっちエンジニア」は会社の外で弱いつながりをたくさん持ちます。コミュニティにはそういう弱いつながりを持った人が多いので、情報がより遠くに伝搬して行くのです。
入山章栄先生の本によりますと、ソーシャルネットワークにおける知の伝搬には、こうした弱いつながりが大きく貢献します。そして、弱いつながりが豊かな組織の方が、新たなイノベイションが生まれやすいのです。あなたのつくった小さなつながりが知と知の交流を促し、新たなイノベイションを生み出して行くのです。
「ぼっちエンジニア」は弱いつながりをたくさん持ち、ソーシャルネットワークの大海原において高い戦闘能力を誇る「ブリッジエンジニア」なのです。会社を飛び出してコミュニティに飛び込み「ぼっち」である事に悲哀と虚しさを感じている日本全国の、特に地方で奮闘している「ぼっちエンジニア」に、私はソーシャルネットワークの辺境から大声で叫びたい。
「ぼっちエンジニア最高でーす!」
この魂の叫びがソーシャルネットワークを通じてまだ見ぬ地方の「ぼっちエンジニア」に届くことを心より祈ってます。(この記事を拡散してね、という意味ですww)
最後に「ぼっちエンジニア」の皆さんには是非全国にあるAWSのユーザー会(JAWS-UG)に参加してみて欲しい。その上で年に一度開催されるJAWS FESTAに参加すれば、大きな連帯感が得られるのではないでしょうか。今回ここに書いた内容は、私が2017年JAWS FESTA基調講演でお話しした内容の一部です。当日の内容はこちらの記事で紹介されていますのでご笑覧下さい。
(※)「ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 12 月号」ダイヤモンド社
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