サインについて
赴任する国にもよるでしょうが、多くの国では承認の際にサインを用いることが多いように思います。特に赴任してすぐに行なう家の契約、銀行口座の開設、車のリース契約など、あらゆる契約にサインはつきものです。会社でもサインを人事部門に登録する場合もあるでしょう。
サインについてはいろいろな考え方があるでしょうが、私のお勧めするサインについてのアドバイスは三点あります。
一気呵成に流れるように描くサインを編み出す
最初のアドバイスは、これです。さらっと書けるサインを考案することです。もちろん、サインとして簡単には真似ができないクセのあるものが望ましいのですが、画数というか、紙からペン先を離す回数が極力少なくなるサインを目指してください。理想は一筆書きです。それにより「業務の生産性」は向上します。一度に書類三十枚にサインしなければならないとします。サインを書き上げるために一回あたり二秒の差が出ますと、それだけで一分の差がつきます。サインする回数も枚数も日本では想像できないほど多いの実態です。年末の忙しい時期に、クリスマスカード二百枚が自分の机に置かれ、これにサインしてください、と言われる事態を想像してみてください。
私は最初に複雑なサインを考案してからどんどん崩していって、(ものすごいスピードでサインを続けるうちに自然と崩れていくのですが)今のサインに落ち着いておりますが、現在のサインを書き上げるために三画必要であることには今でも後悔しております。
二つ目のアドバイスは、
筆記具にこだわる
ということです。パソコンが普及した今、報告書を手書きする機会は皆無となりました。筆記具の出番は、もっぱら手帳へのメモとサインではないでしょうか。私の場合、メモはローラータイプのボールポイントペン、サインは万年筆と決めています。流れるようなサインを考案すると流れるような書き味の筆記具がもっとも気持ちよく、かつ生産性の高い道具になるでしょう。万年筆は筆先に適度の弾力があり、数十枚の書類に一気にサインをするような場合、ボールペンとの疲労度の差は如実に現れます。
三つ目のアドバイスは、
独自のインク(色)を使う
ということです。いくつかのサインが並んでいたときに、ぱっと見て自分のサインがそこにあるかどうかが分かりますか?色に特徴を持たせると、それが簡単です。社長や経理責任者の方からも、「書類に君のサインがあるかどうかはすぐ分かる。」と好評です。
また、サインはオリジナルを正確にトレースすれば偽造は比較的簡単ですが、インクにオリジナリティを持たせると、偽造のハードルが一つ高くなります。色だけでなく、紙へのにじみ具合も含めて独特な風合いが出れば最高ですね。海外の万年筆愛好家の中には、発色と紙へのにじみ具合含めたオリジナリティにこだわりを持ち、オリジナルインクを調合して作るツワモノもいるようですが、一般市販品の中でも人とは少し違った、それでいて落ち着きのある色は見つかるのではないでしょうか。
ちょっとしたことですが、そこに皆さんのオリジナリティとアイデンティティを発揮してみてください。
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