旬杯リレー小説参加します

起ストーリー【B】
旬杯ストーリー【承】

「夢と目覚めは各駅停車」

菜々は部屋の窓越しに突き抜けるような青い空を見ていた。

今年も暑くなりそう・・。

今週中に仕上げなくてはいけない原稿があるのだが、
窓に照りつける日差しが集中力を奪っていく。
エアコンは効いているとはいえ、部屋の温度は25度だ。

「休憩しようかな。」

菜々は面倒くさそうに立ち上がると、
台所まで行き、冷蔵庫の扉を開けた。
冷えた乳酸菌飲料「カルピル」を取り出した。
菜々が幼い頃から馴染みのドリンクで、
1:3程の割合で水を入れるタイプだ。
菜々はいつも目分量で入れる。
慣れたもので、どんなグラスでもピッタリと合わせることができた。
菜々は原稿のアイデアに詰まると、
儀式のように決まってこの乳酸菌飲料を飲むのだ。

ふと、テーブルに置いてある本が目についた。

こんな本あったかな・・。

菜々は本を手に取るとタイトルを読んだ。

(幻想鉄道ドリームライン最新時刻表)

菜々は首を傾げた。
この時刻表を買った覚えはない。
発行年月日を見ると今日の日付になっている。

菜々は時刻表を開いてみた。

(ドリームラインは時刻表改訂に伴い、以下の時間になりました)

何の電車のことだろう?
菜々は不思議に思った。
更に読んでいくと次のように書かれていた。

駅   時間 (夢見方面 折り返し大宮方面は24:15発)
大宮  20:30
浦和  20:40
東京  21:05
横浜  21:25
大船  21:45
小田原 22:05
夢見  22:15
美夢郷 22:30

こんな電車あっただろうか?
菜々は乗ったことがない。
暑さが少し和らぐ夜の発車だ。
何だか、この電車に乗ってみたくなった。