毎週ショートショートnote〜書庫冷凍
「休日の読書タイム」
コラは、それを楽しみにしていた。
久しぶりの長期休暇。
積んでいた本を読もうと思ったからだ。
冷凍庫を開ける。
(わぁ、やっぱり劣化しないで済んだね。
新品同様)
コラは、それの新鮮さに感動した。
冷凍庫には、本がびっしりと入っている。
以前買った、また読んでいない本だ。
今まで時間がなかったので、この休日を利用して、
たっぷりと読むつもりだ。
最初に読みたい本を手に取る。
ずっしりとした感触。
電子レンジで温めて、元の柔らかさに戻す。
読み進めると、とてもワクワクした。
タイムカプセル。
過去、本が劣化しないように保存することがブームになった。
本は、そのままだと、劣化が進み、茶色く変色したり、
破れたりする。
そこで、本を保存することが流行となった。
コラも30年前の、あの時に買った本を読んでいる。
言語統制が敷かれ、規制により、デジタルでも書籍が保管されなくなった時代。
冷凍された貴重な本は、鮮度を保ったまま、
時代を超えて、読者の心に響いている。