福岡伸一とサカナクションと三木成夫とゲーテ
「生物と無生物のあいだ」や「世界は分けても分からない」など、
生物学から世界の在り方を提示してくれる福岡伸一先生。
多くの方がご存知かと思います。
福岡先生の言葉を紹介し始めると、
信じられない文字数になるので、
本のタイトルにもなっている
「動的平衡」という言葉に絞って、
紹介したいと思う。
「生命とは何か?」という問いに、
生物学者だけでなく、多くの人々が魅了され、
そして自分なりの見解を発表してきている。
そもそも、この問いにどのように答えるのかで、
その人のバックボーンが見えたりもする。
例えば、まさに問いを本のタイトルにしている(まぁ邦題だけど…)
シュレーティンガーは、
(負の)エントロピーを食べ、平衡状態を保つものが生命である、
と述べている。
エントロピーとは、乱雑さのこと。
難しい話を抜きにすれば、
この世界は、秩序から無秩序へと変化していく。
水の中に一滴のインクを垂らしたときに、
インクが広がっていく。
そういうことである。
つまり、エントロピーが乱雑さを表すとすれば、
この世界は、時間と共にエントロピーが増大するのである。
学生時代の教室を思い出したって、
まぁそうでしたよね。
この法則が、万有引力などと同じようにこの世界の初期設定のルールである。
そして、生命も例外なく、この法則に従うはずなので、
生物のような緻密に設計されている複雑な構造も、
エントロピーの増大とともに崩れていくはずである。
これが崩れないのは、エントロピーを食べているからだよね。
ってそういうことです。
(負の)については、割愛。
シュレーディンガーは物理屋さんであるが、
生物屋さんも、もちろんそんなことを考えていた。
ルドルフ・シェーンハイマーという科学者。
時代はちょうど第二次世界大戦あたり。
ユダヤ系であったこともあり、
(おそらくそれが原因で?)
アメリカで研究を行っていたようである。
このシェーンハイマー自身は、日本ではあまり知られていないが、
シェーンハイマーにスポットを当てたのが、冒頭で紹介した
福岡先生である。
福岡先生は、シェーンハイマーの研究から影響を受け、
生命の特徴を次のように紹介している。
「動的平衡」
動的平衡とは、
まぁ、字の如く、
動きながら、平衡を保っているということだが、
簡単にいうと、
生物は、常にエントロピーの増大で壊れていく前に、
自らを捨て、新しい部品(機械論的で嫌だけど、語彙力不足)を取り込むことで、
平衡状態を保ち、生物としての状態を維持しているという考え方だ。
この考え方は、とても面白いし、
深掘りしたいけど、
この記事で書きたいのは、そういうことではなくて、
この発想の空間的な広がりの魅力を書きたかったからである。
ここまでで、物理学者と生物学者が、
エントロピーの増大に視点をおいて、
生物について考えていることを紹介した。
だけど、科学畑でなくても、
同じ境地に至るのかな。
サカナクション。
サカナクションが2011年に発表した「DocumentaLy」。
アルバムのジャケットに注目すると、
面白くないですか?
僕は見た瞬間に、「ビビッ」ときました。
そして、アルバムのリードトラック「アイデンティティ」。
偶然か。
山口さんに聞いてみたいから、この記事をWeb上に公開してみた。
他にも、最近読んだ東京芸術大学で解剖学を教えていた
三木成夫先生の「生命とリズム」という本。
この中で、ドイツを代表する文豪、ゲーテが紹介されている。
紹介されていた一文を、引用。
あぁ、なんか物事を極めていく人たちって最終的に同じ真理に辿り着いていくのかなって。
刺激を受けた。
そんな話でした。