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古本というSNS

本が好きである。
本の魅力は、読むことだけではない。
眺めることも魅力の1つ。
そして、著者と対話できることも魅力の1つ。
さらにいうと、それを読んだ他の人と対話できることも、
また魅力。

古本屋さんで本を買うと、
前の持ち主の人生が詰まっていたりする。
たまに、栞代わりによく分からない紙切れが入っていたりもする。
これは、たまらない。

持ち主がどういった人だったかも、


これは、片山さんが読んでいたのかな?
片山で良いのかな?
自分の本に印鑑を押すなんて、
事情があったのか、
几帳面な方なのか。
きちんとした方が読んでいたであろう
「エミール」を受け継ぐのは、
身が引き締まる想いになる。

片山さんという知らない人がどんなところに注目していたのか。


オレンジの線がたくさん引いてあった。
僕も気になったら、同じように鉛筆で線を重ねたり、
片山さんには響かなかった部分が僕には生まれたり、
逆に僕にはあまり響かないオレンジ色の線について、
じっくり考えたり。

古本は、現代が忘れかけている要素を多分に含んだSNSだと思っている。
知らない人と、同じ興味で繋がっていく。
発信をした人には、リプライは届かないけれど、
僕が、この本を売ることで、また他の人に繋がっていくと思うと、
ワクワクする。

この本を売るときは、片山さんの隣に自分のハンコを押して、
「オレンジが片山さんで、鉛筆が僕です。あなたはどうですか?」
という一文でも加筆してルソー・片山・僕の共著を発表したいと思う。

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