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memento mori

こうしてあの世へ来てみると、
そこには僕の親父がいて、
むくれた顔をして立っているのだ。
何をそんなにムッとしてるのだと聞くと、
お盆になっても家からの、
お盆を過ぎても家からの
ご馳走がなかったとスネているのだ。

告別式 高田渡&武蔵野タンポポ団 「系図」

お盆が終わります。
生物の死はいつなのか、
昔から考えている。

生物学的な話は抜きにして、
僕にとっての死は、
僕がその人の存在を知らなくなった時、
その人の死は、
こっち側の人たちが誰もその人を、
知らなくなった時。

そんなこと考えているのか、
僕には分からないが、
この前、おとんが、
お前や孫たちの記憶にもっと残りたいと、
言い始めた。

普段、酒とタバコばかりの父親も、
もっと生きたいんだなぁと思うと、
妙に感心して、
笑ってしまった。

あちらに行く時に、
記憶だけでも手土産に渡せるように、
あとは、何ができるかな。

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