第二の人生
2019年のラグビーワールドカップで大活躍した福岡堅樹選手が現役を引退しました。最後の試合となったトップリーグの決勝戦では5試合連続となるトライを決め、チームの5年ぶりの優勝に貢献しました。高校、大学、社会人を通じて、自身初の日本一となり、文字通り「有終の美」を飾りました。
高校時代にケガを治してくれた整形外科医に憧れて医師を目指すことに。医学部のある大学への受験に失敗し、一度は諦めたそうですが、ラグビーを続けながら受験勉強にも励み、昨年、順天堂大学医学部に合格しました。あの胸のすくようなカウンター攻撃でのトライが見られなくなるのは淋しいですが、新しい挑戦を心から応援したいと思います。
福岡選手は28才で第二の人生をスタートさせました。スポーツ選手は種目にもよりますが、平均30〜40才で現役を引退する人が多いようです。サラリーマンと比べると20〜30年近く早く、働き盛りの年齢でセカンドライフを送ることになります。指導者や解説者として、同じスポーツの世界に残る人は、ほんのひと握り。ほとんどの人が一般企業に就職したり、独立開業して飲食店やスポーツジムを開くなどして新たな人生を歩いています。
学生時代からスポーツ一筋だったため、他の知識や経験が乏しく、同年代の人たちとの差があり、再就職が難しかったり、また、仕事に就いてからもスポーツ選手時代の輝かしい成績へのプライドが邪魔をして、人間関係の構築に苦労する人も多いようです。こうしたスポーツ界のセカンドキャリア問題を社会的な課題として考えていこうという動きが出てきています。スポーツ庁やJリーグ、NPBなどの各種競技団体、民間企業が引退したアスリートへの就職支援を積極的に行うようにしています。
私たちに夢や希望を与えてくれたスポーツ選手の第二の人生が夢や希望に溢れるものになるように現役時代と変わらず惜しみない支援を続けていくことが大切だと思います。