生き残りをかけて
省資源が求められ、リモートワークの普及も相まってオフィスのペーパーレス化が進んでいます。これに伴い、紙の需要が減少し、製紙会社の中には異業種へ参入するところも出てきています。日本製紙は紙の原料である木材の繊維を細かくほぐしたバイオマス素材を活用して化粧品メーカーと共同で化粧水や洗顔料を開発。インターネットで販売します。保水性にとても優れている素材ということで化粧品事業の売り上げを2025年度には5億円まで拡大させたいとのことです。
化粧品への異業種参入の先駆けとして知られているのが富士フィルムです。デジタルカメラやスマートフォンの普及によってカメラフィルムの売り上げは激減しました。写真フィルムの半分は肌の主成分と同じコラーゲン。写真を色褪せることなく美しいまま残すために紫外線のダメージで劣化しないような抗酸化技術を研究し続けてきました。これをスキンケア商品に活用できないかと開発されたのが「アスタリフト」シリーズ。2006年に発売されてから順調に売り上げを伸ばし、4年後の2010年には売り上げ高100億円を突破。スキンケアブランドの1つとして化粧品メーカーと肩を並べています。
時代の流れとともに消えていくものもあれば、新しく生まれるものもあります。目まぐるしい速さで移り変わる21世紀。企業が長く生き残るには柔軟な発想の転換が欠かせないようです。