空 - Sky
私の育った街はポツポツとあるビルと山とお城の後ろに水色の空が広がるところだった。夏になると街の中心を流れる川岸で花火大会があって、その時期は花火の咲き乱れる濃紺の空を見上げたことを覚えている。
初めて都会の空を見たのは大学受験で東京へ行った時。高層ビルで縁取られ、四方八方に走っている電線で切り刻まれた灰色がかった水色の空だったように覚えている。当時は東京の雑多で忙しない雰囲気に興奮してそんな空が刺激的に思えた。
東京に住み始めて、大学生活、就職活動、そして仕事に追われ、周りと合わせるため、つまづかないように、私の目線は周りや下を向いていたためか、この頃空を見た記憶があまりない。でも春の桜の時期には桜色の後ろに広がる少し灰色がかった水色を観て、気分が幾分明るくなった。
東京での生活に疲れてCareer Breakを兼ねて、初めてオーストラリアの地へ降り立った時に私の目を奪ったのは、深く明るい青色の雲一つないどこまでも広がるSky。影を感じさせない光と吸い込まれるような青さに癒されつつ、それまで感じたことのない大きな空間にいる自分が、とてつもなく小さな存在に思えてちょっと不安になった。
オーストラリアで生活を始めてから時間の流れが変わり、木陰の芝生の上で友人たちと話したり、海で泳いで砂浜で特に何もせず横になるような時間ができた。そんな時に自然と目に入ってくる鮮やかな深い青色。やがて広くどこまでも続くBlue Skyをいつも見ている自分に気がつくと共に、このままちょっと単調なBule Skyだけを見ていていいのだろうかと疑問に思った。
そんな頃にふとしたきっかけでロンドンへ行くことになった。オーストラリアで友人たちからイギリスではBlue Skyは見られないと散々聞かされ、おおらかなBlue Skyに慣れた私が、スッキリしないGrey Skyの続くロンドンで生活できるのかと心配になった。また東京でのような生活に戻るかも、という一抹の不安もよぎった。
そしてロンドンで6年の月日が経った。今ではすっかり見慣れた古い街並みや街路樹のBackgroundになっているGrey Sky。古い歴史、Artや興味深いClutureに囲まれて周りや下を見ることが多くなった。けど、1日のうちに四季があるようなロンドンで、Grey Skyの合間に顔を出すBlue Skyを敏感に感じ取るようになり、空をよく見上げるようにもなった。
そんな刻々と変わっていく空模様を眺めつつ、次はどんな空のもとで生活するのかと、ふと思った。
*タイトルの写真はロンドンにしてはお天気の良い日のLondon Skyline - 作者撮影
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