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夫よ、再びさようなら_コロナ禍悲しみの上陸不可
今日、1年ぶりに夫が帰国する予定だった。
こんな時期にと思われるかもしれないけれど、こんな時期でもあんな時期でも、1年以上ぶりにやっと地続きで存在できる(実際に会えるのは当分先)日だったわけなのでご容赦ください。
そんで、やっと取れたチケットで、本日のお昼頃、夫は成田についたようで、その直後電話がかかってきた。「到着の連絡だろうな」と思って適当にとったら、ものっすごい下手くそな日本語で(日本語が急速に劣化)、
「俺の、な、名前の書いた、証明書、取れる?」
という。
「何? 戸籍のこと?」
「そうそうそうそう。それがいる。永住権が、ない」
え? え? どういうこと? 永住権って、あなた配偶者として10年以上やってきた実績は? カードは? 品行方正で犯罪歴ないよね? と混乱している私の電話口に
「奥様ですか?」
と出てこられたのは、国の水際対策を司る入国管理局の方で
「旦那さま、1年以上入国がないので更新手続きができておらず、永住権が失効しています。このままでは入国できません」
がーーーーん。当然配偶者として「永住権カード」だけを頼りに入国しようとしたわけだから、ビザもなんも、あるわけがない。っていうか、有効期限切れているの、見てなかったのか〜。
大好きなパン屋で買ったランチのパンがぱっさぱさになっていくのを感じながら、え、じゃあ、どうすればいいんですか、ともごもご聞きかえすと(まるで犯罪者になった気分)、
「14時に引き返しの便がありますから、それにのって帰っていただきます。あるいは、今日中にこの書類を送っていただけたら入国は可能です」
なんですかそれはすぐ準備します!といって確認したらば、必要なのは、戸籍謄本。あるいは住民票。いずれも、本人の名前が記載されており、結婚が証明できるもの、なんだなんだ簡単そうだ!
「わかりました!すぐとってきます!」
つって、電話を切って、ここ愛媛のとある市役所にやってきて、すぐまたがーーーーんてなった。
夫は、この住所に存在していない。戸籍は東京都豊島区だ。どちらも、「いつか移動するから」という前提で、その場でそのままにしてある私たちの怠惰が一気に「ほれどうすんのや」とまとめて問題を突きつけてきた感じ。
もう一度、もはや震えるおててで電話する。
「それでは、入国を許可することはできません」
無情。
いや、もうちょっとこっちの身にも・・・とは思ったが、この時期だ。そのうえ、この時期にこのお仕事に着任される方の、精神力の強さに感嘆するしかない。
ただのミスがきっかけで「すみません!どうか、お許しを〜」と入国を迫る私たちのような馬鹿者の類ではなく、
難民や支援など、命に関わる事情で今日にも明日にも国を出たり入ったりしたい人たちを、紙切れ一つで、感情なしに「拒否!」しなくてはならないお仕事を思えば、私たちを「拒否!」するのなど、蚊を殺すくらいなもの。って蚊が可哀想なレベルだな。
入国管理局の人は、10年くらい前まではもっと怖かった。すごく冷たかったし、偉そうだったし、人を機械のように扱った。でも、今日の人はちょっと「人」っぽい。だんだん、そうなっているのかもしれない。だとしたら嬉しい。
いやいや、う〜〜ん。
で、結局いろいろ調べたけれど、本命の戸籍謄本をゲットするには一週間はかかるらしいことがわかり、私は全てを悟った。そして折り返しの電話をかけ、こう言った。
「もう、帰ったら?」
「わかった」
というわけでさっき瀋陽行きの飛行機に乗ったらしい。まさかの1日かけて日中を往復。
「帰りの飛行機代は無料にしてくれた」とちょっと嬉しそうな連絡がきたけれど、その情報をどう飲み込めばいいのかわからない。瀋陽では再び3週間のホテル待機なんだそうだ。
以上、成田からでした。