
わかりやすさと共感。10代に向けた本を私もいつか書いてみたい
小学館YouthBooksが面白い。
キャッチコピーは「10年後、世界を変える君たちへ」か。自分のことではないが、何故だかどうして、ワクワクする。子どもたちへ伝えたい、作家たちの珠玉のメッセージ。
中学生・高校生がよりたくましく、より幸せに生きるための新シリーズ。中学生・高校生の「どうしたらいいの?」という迷いや疑問に、樺沢紫苑、鴻上尚史、和田秀樹、鎌田實、池上彰ほか、ベストセラー作家がやさしく応えます。(HPより)
このシリーズ、娘に渡そうと思って買ったんではなく、自分が単純に読みたくて手にとった。
こちらと、
今回はこちらを読了。
どちらにも共通するけれど、この新書、とにかく日本語がわかりやすい。当然か。
樺沢さんの「極アウトプット」はあっという間に読み終えてしまった。
かと言って、内容が単純だったかといえばそんなことはなく、むしろ要点をつかみながら、自分の実践にしていける手応えも残っている。短時間の読書で必要な情報をえることができた、というお得感(笑)。
また、この新書が10代(のボキャブラリーや知識、生き様)に合わせて制作されているからといって、「降りてきてやってる」という大人たちの傲慢さを感じなかったところにも、私は救いを感じたのだった。
10代という、繊細で敏感な生き物たちに文章を届けようとする時、彼らを説得しようとしてはいけないのだ、というのはもう一つの気づきである。
自分の主張だけを一方的にのべ散らかしても、知識をただ広げて自慢げに晒しても、10代には届かない。
彼らにとって「わかりやすさ」とは、つまり「共感」であろう。
なぜ、これを伝えようとしているのか、それが、彼らの人生に、どう役立つのか。
作家たちの主張が鬱陶しく感じないのは、「共感」から伝えようとしているからなのだろうなと。この新書シリーズそのものが、<ナラティブ・アプローチ>のようなものだなと感じる。
そして、彼らが「これならできる」「自分のことみたいだ」と思える、その手法を知り尽くした著者たちの言葉に私が感じたのは、
わかりやすさというより、ある種の「平坦さ」だった。波も風もなく、穏やかに広がっている海のような、何事もなさ。
それは、豊富な知識と経験の海のようでもあり、それをわざわざひけらかす必要のない自信と信頼に裏打ちされるものでもあり。
ドラマチックな日常を生きている10代に、ドラマは必要ないのかもしれないね。
そういう大人たちが送り届ける言葉のリレーが、ただただ素敵だな、と思ったのである。
私もいつか、こんな本を書いてみたいな、と願う。あるいは、10代の心にも何かしらを届けられる文章が、書けるようになりたいのかもしれない。
あっという間に読み終えたはずのに、心にはごろりと何かが残っている。そんな本を作って、彼らの未来を祝福したい。
こんな自分が10代に何を伝えようというのか全くわからないが、いざ書こうと思い立った時、それが何歳の自分であろうと、”わかりやすく”伝えられる自分でありたい。