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原爆を語ることは、未来を作ること

自分が老いて、わかったことがある。

若い世代が今日も生まれているのは、先代の想いを受け継いでいるからなんだと。

自分たちが成し遂げられなかったことを託すように、同じ失敗や挫折をできることなら体験することのないように、

子どもが生まれるたび、ああこの子には、同じ想いを味わってほしくない、とにかく幸せに人生を全うしてほしい、と

言葉にしなくても、意識しなくても、そうやって私たちは、誰かの想いを背負いながら、命をつないできた生き物なんだと。


今日は原爆記念日。
何年かぶりに広島での平和式典をライブで鑑賞。
黙祷を捧げました。

もう終わったことは、いいじゃないか、こうして平和な世の中になって、健康で、前向きに生きていられている今があるんだから、とそんなふうに「先人たちが起こした」歴史を人ごとのように考えていた時期もあるけれど。


その歴史があったから、私が今こうして生きている。
その歴史が起こしたあらゆる成功と失敗と犠牲が、私を作っている。

それは、誰しもが負っている、
逃れようのない、事実。

だから、「過去は知らん」と投げ出すのは、
「自分なんかどうでもいい」と言っているのと
同じかもしれない。

こんなことを、四十も半ばになるまで気付けなかった。


戦争を起こしたのはあの時代の大人たちだ
と、外側を責める前に、
戦争を引き起こすのと同じ火種が自分の日常にもあるではないか
と、振り返る。


誰かをコントロールしたいと思ったり
言うことを聞かないからってイライラしたり
「あなたのため」と言いながら相手の想いを無視したり
大勢の前で意見をいうのは恥ずかしいことだと思ったり
大勢の言う通りにしておけばとりあえず正解だと考えてみたり
メディアのいうことを鵜呑みにして情報拡散してみたり
他人からの評価のために自分を犠牲にして徹夜したり
嫌われたくないから行きたくない飲み会に行ったり

・・・

戦争が起こったのは、そんな「私」のせいかもしれない。

と、今は思う。


今年の夏は苦しいくらいに暑いですが、
外にも長く出られない、
人とも交わることができない、
遊びも出会いも極端に減った今。

自分と向き合って
76年前に起こった悲劇が、
もしかしたら自分のせいかもしれない
と想像してみるのは
決して馬鹿げたことじゃないと
思います。

全身ケロイドで生きねばならなかった女性
家族と行き別れただけで差別された子どもたち
まだ生まれていない子供の未来まで
不安に思わなくてはならなかった

原爆に燃え尽きた人々の犠牲の上に

今の、豊かさと平穏な暮らしがあること。
1年に1回でもいいから、思い出したい。


原爆記念日の今日、広島・山口を拠点に活動する演劇集団ふらっとさんが、今年も「被爆体験詩朗読会」を公開されました。

被曝体験のない私たちが
原爆に向き合うことは決して生易しいことではないですが、

こうして「朗読」という形で
原爆に向き合って表現を続けていらっしゃる皆様の覚悟に
心から感謝の気持ちでいっぱいです。

今回は、平和記念公園内、当時の爆心地を巡りながら
朗読をしてくださっていて、
場所の歴史と記憶を一緒にタイムワープするような構成で
非常にわかりやすく、心を揺さぶらされました。

個人的には、最後に朗読くださっている
水野潤一「静かに歩いてつかあさい」。
次広島を歩くときには、ゆっくり、心静かに
街を歩きたい。

想いの捧げ方は人それぞれ。
この動画を見ることも、その一つだろうと思います。
よかったらぜひ。

<以下、演劇集団ふらっとさんのnoteより抜粋>

****作品概要****

今年は、コロナ禍のため直接広島に来ることができない方にも広島を身近に感じていただけるよう、爆心地のすぐ近くの平和記念公園で朗読会を収録しました。公園内の慰霊碑や原爆の被害を紹介しながら、原爆を体験した方々の詩を朗読します。

●朗読する作品
①香川征雄「無題」
②大島美代子「土とかわら」
③河合賢治「ぼくのあたま」
④水野潤一「静かに歩いてつかあさい」
(出典 ①〜③:峠三吉・山代巴編『原子雲の下より 詩集』青木文庫、④:水野潤一『交響詩集 ヒロシマ』丸ノ内出版)

●登場する場所
原爆ドーム
元安橋
相生橋(原爆投下目標)
原爆供養塔
平和の観⾳像(中島本町町⺠慰霊碑)
原爆の子の像
広島⼆中原爆慰霊碑
原爆死没者慰霊碑

こちらで公園の地図がご覧いただけます。▼
https://note.com/katherine_go/n/n137d...

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制作:演劇集団ふらっと
出演:竹峰幸美 百合野真由 横山義弘 三浦雨々
構成:梅屋サム(あなたとアート)・竹峰幸美
演出:梅屋サム(あなたとアート)
演出助手:キャサリン
撮影・編集:千葉春人
Special Thanks:水野キヌエさん、西本雅実さん、横山博さん、横山潔実さん
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