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「人生にはフェーズがある」から変わっても大丈夫。

「旅なんか、絶対にしないよ(笑)」と笑っていた友だちが、旅に出るのだという。遠く、遠くへ。ふら、ふらと。

そういうことを聞いていると、「人生に絶対、なんて本当にないよなぁ」と噛みしめるように思う。

今日思ったことは、明日も思っているかもしれない。でも、明日思っていたことが、5年経ったあとに変わっていないかというと、そんなことは決してない。

最初に世界一周の旅に出た時、当初の予定では、8ヶ月後に完全帰国する予定だった。けど、実際に旅に出始めたら、「あと3年はこの暮らしをしていたい」と感じて……。

旅が、本当に好きなのだ、できれば一生、このまま行けるところまで。と考えていた。

だって、世界はこんなにも広い。

実際に私は、その後、8ヶ月の予定を大幅に変更して、3年半ほど海外と日本を放浪する。

そして今は、それらの時間がちょうど経過した、というところ。

で、自分でもびっくりするけれど、あの頃あんなに信じていた「旅をし続けて生きていく」という気持ちの変化を迎えている。

もちろん、軌道修正、という範囲のことではあるのだけれど(旅は人生でやめないことは、もう分かっているから、頻度と程度の話だ)。

「世界がこんなに広くて魅力的だからといって、いま、このときの私がすぐに巡らなくても大丈夫」という気持ちが近い。

だって、行きたいなら、いつだって行ける。「死ぬまでに行かなきゃ後悔する」みたいな旅の仕方も、長い滞在も、軒並み終えた。

「満足」というボーダーを超えられた。これは、明らかな「しあわせな人生の時間の使い方だった」と、私は自負しているし、信じている。

そうすると。「前に語っていたことと、変わっていく」ということが、たしかにあり得るのだ。と自分の経験からも納得できる。きっとこれは、「人生にはフェーズがある」、ということだろうと整理している。

旅に出ないと思っていた人が、旅に出る。旅に出続けることが史上の喜びだと信じてやまなかった人が、日常を模索する。

きっとそれぞれ、人生の中の役割がある。季節に春夏秋冬、があるように。夏のような激しい恋、紅葉のような穏やかなスピードダウン、まっさらな凪だったり、しんしんと降り積もる雪が、やがて春を育んでいくような。

変わってゆくこと、をまずはきちんと受け入れてあげる(これに私は時間がかかった!)。真正面から受け止められたら、次のステージに行く準備。

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伊佐 知美
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