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羽田空港と成田空港を間違えないで【最所あさみと2人旅】#UK留学Challenge
2019年12月14日、朝
「今夜のフライト大丈夫かな? 私は今日、終日 #旅と写真と文章と のイベントだから、空港に着くのギリギリになるかも!搭乗口で会おうね!」
なぜかFBのメッセンジャーでやり取りを続けている最所あさみと私。
バタバタと朝イベント会場に向かう途中、イベント準備の諸々をこなしながら、合間を縫ってこれだけは、と思うメッセージを彼女に送る。
イベント準備に向かう電車の中で送ったから、電波不良で送信未完了、とかがあったら怖いな。そう思って、送信がきちんと完了したかどうか、確かめてからスマホを閉じる。
今は朝9:30前で、イベント終了は17:00。撤収作業をして、18:30から打ち上げ兼忘年会。イギリスはスコットランド行きのフライト出発は23:50の予定だった。
今日は少し、バタバタだ。全部、無事に進むといいんだけど。
***
「イベントの後、私が終わって間に合う最後の便を取ろう」と今回の渡航のパートナーである彼女と話し合って、この便を予約した。
「成田空港では間に合わなさそうだから、羽田空港の便にしよう」と約束して、何度も「これな!」「この便ね!」とPCのスクリーンショットを送りながら確認し合い、フライトを取った。
たった1ヶ月、否、3週間くらい前のことだったと記憶している。
***
2019年12月14日、夜 20:49頃
なのに。いやいやいや、なんでやねん!(笑)
「羽田空港だからね」とか、言っておけばよかった……!(笑)と私は羽田空港に向かう20:49発の電車の中で軽く後悔の念を覚えていた。
※フライトは23:50羽田空港発
※現在:離陸3時間前。最所あさみ、成田へ向かう
〜何故〜
イベントの合間も、「仕事が落ち着いたから、先に空港に向かって、仕事しながら待ってようかと思う!」「無事に出発」とかって、あさみからメッセージが届いていた。
イベント中は忙しくしてしまっていたから、「よかった」「おっけ!」とか、短い返事しか送れていなかった。
どこかで「羽田だよ」と伝える暇が、私にはなかったのだろうか? いや、あったはずだ……。嗚呼……。
「無事に打ち上げも忘年会も終わって、羽田空港に向かう電車に乗れたよ!待っててね〜!」と送ろうと思ってスマホを開いたけれど、それどこではなさそうである。
電話をかけ始める。この時20:50。
フライトは今からジャスト3時間後で、チェックインは2時間前が定石。でも最悪1時間半前の22:20くらいまでに羽田空港に戻ってこられたら、きっと間に合う。
大事なのは、「今彼女がどこにいるのか」だ。21時頃に着く、の「頃」とは一体いつか。
まずは聞かないと。正確には何時に着くのか。それによって、電車で引き返せるのか、タクシーに乗るのか、運よくシャトルバスでも間に合う未来があるのかとか、そもそも間に合いそうもないのか、とかが見えてくる(笑)。
いや〜でも、今もう21:00前だしな……(笑)。これ、いけるのか……?そう思いながら電話をかけ始めて、数十秒。
すでにメッセージを確認したらしいあさみが、「えっ……?」と動揺した声で電話に出た。
「あのさあのさ、違ってたらごめんなんだけど。今日、羽田説ない?」
「えっ?」
「私は羽田発のチケットなんだけど。けどほら、もしかしたらあさみのチケットだけ、成田発とかもありえるかもしれないし、そういうことも、あるかもしれないし!とりあえず、チケットもっかい確認してみてほしいんだけど……」
「……羽田だ!」
「……かぁ!(笑)」
「うわ〜確かにそんな話、してたね……!今日、羽田だわ!えっ」
やっぱりチケットは一緒だよね〜!だって、めっちゃ一緒に確認しあったもんね〜!
「今どこ?」
「次もう成田」
やっぱりそうよね、次成田〜!(笑)
「何分着?」
「わかんない、あと10分くらい。多分21:00ちょうどとか……」
会話をしながら、同時並行で、何が最善か探し始める。
現在時刻20:51。21:00発の成田エクスプレスに乗れたら、22:15には羽田空港国際線ターミナルに到着できる。
それは余裕で間に合える手段だけれど、21:00に到着するらしいあさみは反対ホームにきっと乗れない。
次の手段。21:03発の京成線特急。乗れたら22:30に羽田空港国際線ターミナルに到着できる。
乗れるか? いや成田エクスプレスと京成線って、そもそも別会社でホームが違う上、電車の乗り換えが苦手な(よく反対方向とかに乗ってしまう)あさみには、ちょっと多分、レベルが高い。
その上、きっと今日は大きなスーツケースを引っ張ってる。
……お金かかっちゃうけど、タクシーかなぁ。
でも、今日は土曜日の夜。高速が空いているとは全然思えない、というかむしろ混んでいると思うから、安易に車道は薦められない。タクシーも、お金をかけたとて怪しい……。
最善は、電車な気がする。時刻は20:58。私が検索して話しかける間に、あさみは電話を繋いだまま、近くにいたらしき駅員さんに何事かを聞いていた。
「正確な時間はわかりませんが、京急蒲田まで戻って、蒲田から羽田空港に向かうルートが最短」
「お時間ありますか?」
「え、ない……?」
「23:50羽田発、正確な列車の時刻がわからないので」(おそらく他社の時刻表の話をしている)
など、途切れ途切れだけど声が聞こえた。
そしてその奥から聞こえてきたのは、「まもなく成田空港」の車内アナウンス。時刻は20:59。
21:03の京成電鉄の特急に乗れたら、22:30着で希望が見える(フライトは23:50発なので、オンラインチェックインさえしてしまえば、なんとかなるはず)。
「あさみ、京成線乗れる? 21:03の京成上野行き!成田エクスプレスからは遠いかもしれないけど」と電話のこちら側から、伝えてみる。
聞こえているかは知らない。成田エクスプレスと京成線のホームの移動は、荷物なしでも数分はかかる。割とアウトめの案なので、多分NGだこれ。
じゃあ次点は……と考え始めたら、電話から久しぶりにはっきりした声が聞こえてきた。
「いや、成田エクスプレスじゃなくて京成線に乗ってたから、京成線のホームにはいるの!」
「成田エクスプレスじゃなかったのかよ」
〜よかった & なんでだ〜
「21:03発の京成上野行き!探して!乗って!」
間に合うといいな〜。21:03まで、あと2分。
「乗れるかも!」の声のあと、また駅員さんとの話し声が聞こえてきた。
「チケットがないと」
「こればっかりはどうしようもない」
「難しい」
途切れ途切れだけど、そんな言葉たちが聞こえてくる。なるほど、チケット。特急だから、特別なチケットを改札外で買ってこないといけないみたい。うーん……そっか……!
致し方ない。やはり次点か、と考え始めていたら、「乗れた」とあさみ。
「乗れたって何!?」
「乗れたみたい〜あは〜」
私は結構、トラブルが好きだ。だからこういうのは歓迎している。
だってなんかこう、ピンチを乗り越えていく感じで、ワクワクして楽しいじゃない。
でも、まあだいぶやらかしてくれるな〜! 私もかなりのおっちょこちょいなんだけれど、あさみは時折私の上をいく。
おっちょこちょい同士が旅に出ると、相対効果で「どちらかがしっかり役になる」という側面があって、古性のちと二人の場合は、私の方がおっちょこちょいになって、こないだのトルコ旅でも私がだいぶやらかした。
あさみの今回が霞むくらいやらかしている。
まあけど、今回はあさみがおっちょこちょい役の気配がするな、とほんの数十秒の間に思う。
どうやって駅員さんと交渉したのかは全然わからなかったけど、あとでこうツイートしていたから、何かコツがあったんだと思う。きっと彼女自身が、noteを書いたりもしそうである。
みなさんにお伝えしたいのですが、成田と羽田を間違えたときはとにかく第一声は「成田と羽田を間違えました!!!!!!」からはじめるとあらゆるゲートが即突破できます。
— 最所 あさみ(asami saisho) (@qzqrnl) December 14, 2019
そして私は現在搭乗時間2時間前にも関わらず上野なうで気絶しそうです
いいね、付きすぎである
って、第一関門は突破したけど、成田から羽田空港までは、2度ほどの乗り換えがある。
なぜ、浜松町のJRからモノレールへの乗り換え時間が
たったの4分なのか……
※ちなみに、伊佐自身も二度ほど
国境をまたぐ船に乗り遅れたことがあるので
この会話はレベルの低い二人でお送りしております
***
なんだかんだで、22:27を迎えようとしていた。
私は先に羽田空港に到着し、出国手続きをせずにあさみリクエストのマスクを買ったり、彼女がなぜか成田空港で借りてしまった(最初から思い込んでいたらしい)WiFiの変更手続きができないか問い合わせたりしていたら、あっという間に時間が経っていた。
カタール航空のチェックインカウンターで、荷物を預ける彼女の後ろ姿を見つけた時、なんだか遠恋のカップルみたいな気持ちすら芽生えた。
ここはスコットランド・エディンバラの空港とかなのか? めちゃくちゃ久しぶりに会った彼女か? とにかく羽田空港にあさみがいる!よかった〜!!!!!
最所あさみ、無事羽田空港国際ターミナルに現れる pic.twitter.com/6hl3HEytfr
— 伊佐 知美🇯🇵→🏴🇬🇧 (@tomomi_isa) December 14, 2019
「おい最所あさみ!!!!!!!!!!!!!よかったな!!!!!!!!!!!!!!!!!」
荷物預け入れの手続きを放棄して、謎の熱い抱擁で再会する。手続きを止められて、謎のアラサー二人が抱き合う様子を前に、困った顔で優しく笑うカタール航空のお姉さん。
「間違って成田に行っちゃって」「そ、そうなんですか……」とやっぱり困ったように優しく笑う。営業スマーイル。
先ほど、私がチェックインした時に手続きしてくれたお姉さんは、別の人の対応を、隣のカウンターでしていた。
その時に事情を話して、最悪何時までだったら搭乗できるか、とあさみの実名を出してチェックインの確認をしてくれていた彼女は、この熱い抱擁(時刻は22:30を過ぎているのである)を、笑顔で見守っていてくれた。気がする。
そのとき、真面目な顔で「万が一、最所さまが一間に合わなかった場合、伊佐さまはどうされますか?」と聞かれた。
おそらく私の手荷物を預ける手続きの最中だったので、「乗らない」という選択があり得る場合は、「この荷物をどうするか」を相談してくれようとしていたのだと思う。
私は毅然と答えた。
「いや、私は乗ります」
(仕事の渡航も兼ねているので)
間に合ってよかった。
カタール航空は素晴らしくて、搭乗口が出国手続き場所から、めちゃくちゃ近かった。なんなら40分くらい時間が余った。「お腹空いた」と寿司を食べるあさみ。
めちゃ急いだ結果、余裕ができてしまって搭乗前に寿司を食べるなどする最所の図です。
— 最所 あさみ(asami saisho) (@qzqrnl) December 14, 2019
あの爆走はなんやったんや笑 pic.twitter.com/02VUGbrKtf
私はずっと思っている。
勝海舟、小林秀雄、大江健三郎がそれぞれ言葉を変えながら「集団的になること」への警報を鳴らしてきたのは、日本特有の中空構造から生まれる「空気」は避けがたいものであり、それ悪い方向に加速させないためには少なくとも知識層が「集団ではなく個人として正義を信ずること」が必要だからなのだろう
— 最所 あさみ(asami saisho) (@qzqrnl) December 14, 2019
過度な自己責任論や悪事を働いた人間に必要以上の社会的制裁を課すことはまさに「空気」の為せる技であり、いかなる人間にも守られるべき尊厳と権利があることを前提にしながら罪と人間性を切り分けて議論するには空気に屈しないだけの知性がいる。
— 最所 あさみ(asami saisho) (@qzqrnl) December 14, 2019
「ヤンキー=反知性主義」の定義はとてもわかりやすい
こんなツイートをしている暇があったら、成田に向かう道中で、羽田空港発のチケットだと、ぜひ気がついて欲しかった。
さて、今は経由地のカタールはドーハに無事到着したところ。
エディンバラ行きは直行便がないので、これが最短のルートのようだ。12月14日発、12月26日帰国の12泊13日の2人旅が、やっと始まる。
ふぅ。よかった。珍道中になってしまいそうで怖い。
最所あさみとの初2人旅は、2017年11月の佐賀取材。福岡空港からの帰り道、「もう一軒行こう」と余裕で寄った居酒屋で「あれ?これ最終便に間に合わないのでは」と気づき、福岡駅を爆走、数分単位でギリギリ間に合ったことを思い出す。空の上で震えている伊佐…大丈夫かこの2人https://t.co/mm1CS0BQuS
— 伊佐 知美🇯🇵→🏴🇬🇧 (@tomomi_isa) December 15, 2019
エディンバラを選んだのは、彼女と二人だからこそ。一人なら選ばないであろう季節、街だった。
一緒に飛べてよかった。こんなにも深く、思えるなんて。
なんでだよ。
そういうことも、時折あるよね! 羽田と成田を間違えちゃうこと。みんなも気をつけましょうね。
楽しい語学留学の旅の、始まりです。
最所あさみって、かわいい
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