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感情がジェットコースターだった頃のわたしに伝えたい。
「ともみさん、人間らしくて好きです」と言ってくれた、前職で仲の良かった同僚(Kちゃん)を思い出す。そんな風に受け止めてくれてありがとう。
彼女には、かっこわるい等身大の私をそのまま出していたなあと思う。落ち込んでいる私、やる気のない私、自己嫌悪にずぶずぶの私、恋愛で一喜一憂している私、もふもふの動物動画がかわいくて興奮気味の私、ゆるゆるした私。
当時30代に切り替わる頃の私は、相手が少しでも嫌な思いをする可能性のある感情は、外に出したくないと思っていた。だから、”愚痴にならないよう”に気をつけていた。相手への配慮は今でもしているけれど、大切なのは「自分の中では感情をすなおに感じているか?」というところだと思っている。
いま振り返ると、Kちゃんがニュートラルに、共感して受け止めて、”いい感じに深刻にならない”リアクションをしてくれていたから、わたしは等身大になれていたのだなあと思う。そして「人間らしくて好き」と言ってくれる天使に感謝が尽きない。
常に感情がジェットコースターだった頃
「感受性が豊か」の表裏
最近出会った方にはまだバレていないかもしれないが、ティーンエイジャーの頃、そして30歳に入る直前まではまだ感情のジェットコースターに悩まされていたと思う。
今でこそ「感受性が豊かだ」という表現を素直に受け入れて活かせるようになったし、生まれ持った素質に感謝しているが、当時は感情で消費されるエネルギーが半端じゃなかった。
どうやったら感情が安定するのか、おだやかに生きられるのかを、物心ついた頃から真剣に考えていたと思う。逆に仲の良い友人たちは「冷静で落ち着いた男女」がほとんどで、たぶん私のことを珍しい生き物のように楽しんでいたと思う。
ロンドンの大学院に留学していた頃、時を同じくしてアメリカに留学中の友人(Hくん)が遊びに来てくれ、「どうやったら精神のアップダウンが安定するんだろうか?」「テンションが上がらないように頑張ったら下がらないのか、検証してみた」なんてことを夜中まで真剣に話していたことを思い出す。
当時はあまり知られていなかったけれど、”いわゆる”最近の分類でいえば、私はHSS型HSP、彼はADHDにぴったり当てはまっていることが数年後に腑に落ちた。(ちなみにHくんは「京大→ハーバード」の物理学の天才である)
生まれ持った性質の「表裏」は、コンディションでどちらに現われるかが左右される感覚があり、お互いに留学のプレッシャー下ではよりハードな方に出ていたのだと思う。
だから私が書いている言葉は、かつて私が知りたかったこと。本や人から学んで、実践して、失敗して繰り返してきて腑に落ちたこと。どうやったら生きやすくなるかという悩みが真剣だったからこそ、時間もお金もかかったけれど、人体実験の結果、たくさんの学びが身についた。
だから、偉そうに伝える気持ちはまったくなく、「自分のためだったこと=同じような誰かのためになるはず」という気持ち。
〇〇型などの分類上の話は他の方がたくさん情報発信しているので詳しく触れないが、「感受性が豊か」ゆえに疲労困憊していた(いる)仲間たちに、メッセージを届けたい。
すこしでも何かの生きやすさになったらいいなと願うのだ。
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感情をさぼらない。
わたしが2024年の4月よりアートコーチとして関わらせてもらっている、MY geniusというアート・コーチング・プログラムがある。
参加者のひとりである「かおりん」が、プログラムの中で伝えてくれて印象に残っている言葉が「感情をさぼらない」だった。
彼女は、側からみれば「明るくてハキハキした仕事のできる女性」「元気のない人を励まして元気にしちゃうタイプ」で、華やかさもあり憧れられる人だと思う。最初の方の作品はいわゆる”側から見た時の彼女らしい”色を放っていた。
でも、「私は感情をさぼってきたかもしれない」という言葉を出してくれた。彼女が自己開示をしてくれるまでは周りは気づけないくらい、自分の中にある”ネガティブに見える感情”を完ぺきに隠してしまっていたのだ。
まじめに社会と向き合って生きてきた優しい人ほど、共感する方は多いと思う。社会人として、みんなを取りまとめる立場として、部下を抱える上司として、社員を抱える会社の代表として。パートナーとして、親として、子供として、一家がどう世間的に見られるか、気にしながら。”自分のことなんて”向き合う暇がなかったくらい、誰かのためにがむしゃらに動いてきた人はたくさんいる。本当にあなたはよく頑張っている。
私のように、感受性が豊かすぎて大人になってから蓋をしようとした人も、子供の頃から感情を出せない環境だった人も、両方いると思う。そんなときは「他者の目」を気にし過ぎていることに気づいてほしい。もし傷ついた体験があるなら、それはもう過去のことだから手放して大丈夫。
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誰かのために生きるのをやめる時間
長い間、誰かのために生きてきた方にとって、「あなたはどう感じている?」という「考え」ではなく「感情」と向き合うことはすこしハードルがあるかもしれない。でも、練習する価値がある。なぜなら、「心の声」を聞けるようになるためには、素直に感情を出せるくらい安心して、ゆるむことが必要だから。
「心の声」「心が望むこと」「魂のセンサー」呼び方はなんでもいい。それはあなたを生きやすくしてくれる。
今こうやって誰かに伝えることができているのも、常に感情がジェットコースターで悩んでいた私が、自分をごまかさずに心と向き合い続けてくれたおかげ。
MY geniusの参加者インタビューがあるのであわせて読んでみてほしい。社会で頑張ってきた方々が、自分のために生きる時間をとり、等身大の自己開示をしてくれている。次回の開催は2025年3月予定。
主催は「生きづらさを、面白さに」をモットーに活動してきたふーみん。
《聞き上手のリアクション天使》を召喚する
冒頭のKちゃんのような親友やパートナーが周りにいる方は、ラッキーだ。でも、まずは一番簡単な「自分を自分で受け止める」方法をやってみてほしい。
思ったことを書き出すジャーナリングもおすすめなのだが、「白い紙と向き合うと何を書いたらいいかわからない」人もいるので、今日は別の方法を紹介する。心や頭の中でぐちゃぐちゃと拗らせる前に、日々少しずつ出す、というのが大切なのでやってみてほしい。
あなたの周りに聞き上手な人はいるだろうか?あなたが普段無口だとしても、なぜか話をしたくなってしまう人。具体的にイメージできる方は、その方を脳内召喚してもいいし、ここではあなたの親友になってくれる《聞き上手なリアクション天使》をご紹介する。
《聞き上手なリアクション天使》プロフィール
・あなたのことを絶対に否定しない
・どんなあなたもジャッジせずに好きでいてくれる
・どんな話も楽しんで共感して聞いてくれている
・リアクションが大きくて面白くなってしまい、深刻さが吹っ飛ぶ
・悩んでいたことは、「まあ、いっか」という気持ちになる
・ちょっとした喜びでも、報告すると喜びが倍増する
なにかがあったら、この天使を頭の中に召喚して、お話をしてみてほしい。
「えーーーー!うそーーーー!!!そんなことがあったの!!!大変だったね、よく頑張ったよ!!!!早く寝な!!!」
「わーーーーーー!!!!すごいすごい、おめでとう!最高だね!!!!」
という感じでなんでもテンション高めに聞いてくれる。
感情をひらく質問
あなたは今どんな気持ちですか?
その気持ちを引き出した今日の出来事はなんでしたか?
「あのとき、あの人に、本当はこう伝えたかった」言葉はありますか?