フリーランス音楽療法士のお仕事事情〜場所を確保してセッション編〜
前回は、施設や病院に訪問して音楽療法をする【訪問セッション】のお仕事をどうやって開拓していくかがテーマでした。
今回は、フリーランス音楽療法士の仕事としてもう一つメジャーな働き方【場所を確保してセッション】について書きます。
一口に場所を確保すると言っても、どこでするかは難しい!何をするかも悩みます。
そこで今回は【場所】【内容】【集客方法】のアイデアとメリット・デメリットについて考えていきます。
かなり情報量が多いお得記事となっております!
が、長いので、時間のない方は目次を活用しながら、必要なポイントを読んでくださいね♪(見出しをタップするとそこに飛べます)
どんな場所でするのか?
①地域の公民館・コミュニティセンターなどの公共施設
ほとんどの自治体にある、公共施設。
・比較的安いお値段で借りられる
・ホールや音楽室にピアノがあることも多い
・交通の便が良い(地方では広い駐車場があり、都会だと駅やバス停から近いところが多い)
といったメリットがあります。
しかし、お部屋によっては音出しNGの場合もあるので要チェック。
そして、最大のデメリットは、営利目的の使用ができないところが多いこと。
材料費などの経費回収以外は認めていなかったり、営利目的の場合はお部屋代が高くなったり。
仕事として音楽療法がしたいのに、営利目的NGでは、使いづらいですよね。
認知を広げるための体験セッションや、単発イベントやコンサートなどをするには、とてもいいと思います。
私も、そういうときには公共施設を利用しています。
でも、自治体によっても、施設によっても決まりが違うと思うので、お住いの地域の規約をチェックしてみてください!
②スタジオやカフェなどのレンタルスペース
公共施設ではなく、民間の方が営業しているレンタルスペース。
カフェに広めの個室があったり、一画がオープンスペースになっていたり。
バレエやヨガなどができるスタジオや楽器の練習ができる音楽系のスタジオもありますね。
オーナーさんによって、個性がさまざまなので、使いやすさと難点は、それぞれだと思いますが、良いご縁があって素敵な場所と巡り合えたら、とてもいいと思います♪
概ね共通するデメリットは、公共施設に比べてレンタル料金が高いこと。
セッション料をいくらに設定して、何人来てくれるかにもよりますが、手元に残る収益を考えると、場所代の負担がキツイと感じることも・・・。
③自宅の一室
自宅に一室、音楽療法用の部屋を用意する。
これができると、
・仕事の移動時間がかからない
・楽器や楽譜などセッションに必要なものを運ばなくていい(忘れ物しない←大事!)
・いつでも自由に使える
・毎回場所を借りるための手続きをしなくていい
など、メリットが多いです。
しかし、現実的には難しい場合も多いですよね。
まず、賃貸のアパートやマンションでは、そもそも部屋がない。あっても音が出せない。
一軒家の場合も、住宅街の一画だと出せる音に限界がある。
環境に恵まれて音が出せたとしても、一般的な住宅だと、あまり広い部屋がなく、グループセッションができない。
間取りによっては、生活スペースとの区切りが曖昧になる。
このような制約はありますが、個人や少人数グループのセッションなら、自宅でされている方も結構いるんじゃないでしょうか?
私も、実家が音を出せる環境だったので、一室を使って個人セッションをしていました。
今の自宅にもセッションできる部屋があります。(今はセッションはしていませんが)
④テナントを借りる
賃貸契約で事業用の場所を借りる。
これは、結構勇気と採算が取れる見込みが必要かもしれません。
でも、上手く運営できれば、メリットも大きいです。
③と重複しますが、
・移動時間がかからない
・楽器や楽譜などセッションに必要なものを運ばなくていい
・いつでも自由に使える
・毎回場所を借りるための手続きをしなくていい
さらに、広さや音出しについても納得のいく物件を借りられたら、その問題も解決します!
デメリットといえば、やはり毎月の家賃や光熱費がかかるというところ。
どんなにリーズナブルなところを探しても、【音が出せる環境で、ある程度の広さがある物件】を維持していくのは、軌道に乗るまでは、なかなか大変です。
私は、18年前から、ご縁あって恩師が繋いでくれた物件でセッションしています。
二方が畑と駐車場、隣家の方はご理解があり、幹線道路沿い、というありがたい物件。
オーナーさんがとてもいい方で、かなり良心的に貸してくださっています。
はじめは鉄骨剥き出しの倉庫でしたが、みんなでリフォームを重ねて、快適に使えるようになりました!
⑤理想の建物を建てる
いっそのこと1から建てちゃう!という選択。
メリットは③④とほぼ同じ
・移動時間がかからない
・楽器や楽譜などセッションに必要なものを運ばなくていい
・いつでも自由に使える
・毎回場所を借りるための手続きをしなくていい
さらに、最大のメリットは、建物全体を自分の理想の間取りで作れることです。
デメリットと言えば、やはり土地代、建築費用と、相当なコストがかかることでしょう。
そりゃ、その点さえクリアできたら、みんな欲しいですよね・・・MY セッションルーム。
私も欲しいです!これが今の目指すところ!!
どんな内容を提供するのか?
①介護予防講座・歌声喫茶(高齢者)
地域の高齢者の方向けの介護予防講座。
みんなで、音楽に合わせて身体を動かしたり、脳トレになる活動をしたり。
音楽療法士の自主開催もできますし、自治体や公民館からの依頼開催もよく見かけます。
歌声喫茶は、地域の方が集って、生の音楽と共に歌をうたう場です。
リクエストをもらってその場で応えたり、事前に用意したプログラムをみんなで楽しんだり。
その日のテーマを決めて、テーマにちなんだ曲を集めるのも楽しいですね!
このような活動は、地域の高齢者への居場所提供や日常の安否確認、社会性の再構築などに役立ちます。
②親子のための音楽遊び・リトミック(親子)
親子を対象とした音楽遊びやリトミックは、就園前のお子さんを中心としたニーズが期待できます。
健常児さん対象だと、音楽療法とは言えませんが、地域の方に存在を知ってもらうには、対象範囲を広げるのも1つの選択。
【発達ゆっくりさんのための音楽遊び(リトミック)】など、対象を絞ると地域の教室に行くのを躊躇う保護者の方が参加しやすいかもしれませんね。
リトミックは専門性の高い音楽教育なので、もし【リトミック】と銘打って講座をする場合は、きちんと学んで知識と技術を身につけましょう。
音楽遊びやリトミックは、子どもの発達支援はもちろん、子育て支援として、保護者の産後うつや引きこもり、虐待の予防などに繋がる社会的ニーズの高い活動です。
③コミュニティー音楽療法(全ての領域)
コミュニティー音楽療法は、さまざまな見方や括り方ができるので、企画・開催が難しく感じるかもしれません。
まずは、いろんなケースを調べて、学んで、今あなたが活動している地域に必要な形を見つけて提供できたらいいのではないかと思います。
実は、私はコミュニティー音楽療法については、知識も理解も浅く、実際にチャレンジしたことはまだありません。
しかし、これからの地域社会には必要な考え方であり、必要な活動となるのではないかと思っています。
勉強していきたい分野の1つです。
④音楽療法の個人セッションやグループセッション(全ての領域)
音楽療法の仕事の話なのに、なんでこれを最後に書くのか、と言いますと……
正直な話【いきなりこれを始めてもクライエントは来ない可能性が高いから】
です。
えっ?!そうなの?!!!
と、特にこれから社会人になる学生さんはショックかもしれません。
しかし、これが現実です。
チラシや告知記事だけを見る世間の反応は、
「音楽療法?なにそれ?」→わからんから見ない
「どんな人が受けるの?癒やされたい人とか?」→必要なさそうだから見ない
「どんなことするん?えっ?料金高くない?」→受けないから見ない
みたいな感じです。ですので、
まずは、【わかりやすい活動で間口を広げて地域に出る】→【自分の認知度を上げる】→【馴染になった人たちに音楽療法の話をする】→【音楽療法を始める】の順番がおすすめです。
もちろん、同時進行で音楽療法のセッションを準備しておくのは良いと思います。
いつクライエントが来てくれてもすぐに始められるようにしておくのは大事なことです!
もしかしたら、はじめから「音楽療法を受けたい」と思っていた人が、近所にいるかもしれないですしね♪
集客どうする?
①SNSやホームページ
手軽に告知できるのは、やっぱりオンラインで発信すること。
InstagramやXなどのSNSでの発信は、手軽ですぐに始められます。
canvaを使えば、素敵な告知記事を作ることもできます。
canva、WIX、ペライチなどを使うと、無料で簡単なホームページを作ることができます。(機能を追加するには有料プランが必要)
オンラインで告知をするときに大切なのは【申し込みの導線をしっかり引くこと】です!
・申し込みフォームを作ってリンクを貼る
・申し込みや問い合わせはDMで、と書く
・インスタストーリーズのアンケート機能を活用する
など。
「参加したい!」と思ったときに、すぐ申し込み方法がわからなければ、絶対に次はありません。
②チラシを配る、掲示する
こちらは、アナログな方法です。
実際に来てもらいたいのは、地域の皆さんなので、生活圏内の目に止まるところにチラシがあるのは効果的です。
チラシもcanvaで作ると綺麗にできますよ♪
場所を借りる場合は、その会場に設置や掲示してもらいましょう。
その他、スーパーの掲示板・公共施設のチラシラック・小児科や整形外科など対象者が通院しそうなクリニックに貼って(置いて)もらえるよう、営業するのもオススメです。
一般住宅へのポスティングは、メンタル的にも体力的にもダメージが大きく、非効率だと、私は感じています。
昔、300枚ほどをポスティングして、一件も問い合わせがなかったことがあります。
私自身、自宅にポスティングされているチラシは、よーーーっぽど魅力的でなければ、即ゴミ箱!というのが日課なので、受け手サイドから見ても効果薄だと思います。
チラシの申し込み導線は、
・申し込みフォームやメール送信画面に繋がるQRコードを載せる
・メールアドレスを載せる
・電話番号を載せる
です。
QRコードはネットで検索すると、無料ですぐ作れます。
メールアドレスや電話番号は、個人情報なので心配かもしれませんが、特に高齢者向けの活動をするなら、やっぱりこれが有利。
今は、格安SIMの選択肢が増えているので、お仕事用として、一番安いプランで前に使っていた機種を再利用する、などを検討するのも1つかもしれません。
③広報誌に載せる
地域の広報誌や地元密着型情報誌の【イベント情報コーナー】に載せてもらう。
記事として取り上げてもらうのはハードル高めですが、イベント情報コーナーは一般募集していることが多いです。
その場合は、早めに申し込むと開催前に載せてもらえます。
この方法は、地域への拡散力があるのでオススメです!
④やっぱり口コミ
ここでも効果的なのは、やっぱり直接知っている人同士の口コミ。
まず、知っている人に宣伝して参加してもらうのはよい方法です!
また、①②③の方法で、集客できてきたら、そのクライエント同士の口コミも広がってきます。
ファンを作ると強いって、よく聞くと思いますが、本当です。
参加してくれるクライエントもですし、あなたの活動を「応援したい!」という人が増えると、どんどん良い繋がりが生まれて活動の幅が広がりますよ♪
なにかを始めないと始まらない!
今回は、いろいろ書きましたが、どれもこれも一長一短ですし、迷うことも悩むこともありますよね?
残念ながら、これ!という成功法則やすぐにうまくいく近道はありません。
でも、「これ、やりたい!!」と思えることに邁進するときって、不思議と楽しくてどんどん行動できると思うんです。
なにかを始めないと、結局今のまま、なにも始まりません。
これは当たり前ですが、意外と【悩む時間】って長くもったいないのです。
なにから始めればいいのか、迷って迷って難しい……という人は、誰かに相談してみてくださいね!
近くに相談できる音楽療法士さんがいない方は、ぜひ、私に聞かせてください♪
次回は、気になるお金のハナシ。
セッションの料金設定どうしてる?というテーマを書いてみます。