世界のスマキチの”今”がわかるスマートキッチン業界カオスマップ 2019年上半期版
みなさんこんにちは、スマートキッチン事業部の住です。スマートキッチンサービスOiCy(オイシィ)の事業戦略、広報、対外折衝、各プロジェクトのサポートなど、事業全体の構想に関することを担っています。
OiCyの事業戦略を考えるにあたり、世界中のスマートキッチンやFood Tech動向を調査したり、海外の展示会やカンファレンス等に良く行きます。
今回半分は自分のためでもあるのですが、日本からももっともっと良いスマートキッチンのサービスやプロダクトが産まれてほしいし、少しでも何かのお役にたてればと思いましてカオスマップ+考察という形でまとめてみました。
「スマートキッチン」と聞くと調理家電ばかりイメージするかもしれませんが、実はものすごく広い領域なのです。
今日は、食材を入手してから、何を作るか決めて、料理をして、食べる・・・といった流れの中で”スマートキッチン化”すると何が起きていくのか、今何がおきているのかマップを見ながらみなさんと見ていきたいと思います。
各カテゴリ内の説明は僕が今まで国内外の展示会やピッチで見たり、聞いたものを中心に書いています。
とても広い領域で全部は書き切れないので、特に気になっているサービスやテーマに絞って書いていますので、もし「ここがもっと知りたい」等ありましたらリクエストください。
「食材を調達する」(Map赤の線)
Grocery Delivery - アメリカでは即時配達が当たり前に
最も成功しているのはアメリカのInsta Cartで、Uberのように運び手と買い手をマッチングするC2C型の買物代行サービスです。大手小売と続々と提携を実現し、米国全世帯の70%ものカバー率を誇ります。
一方でInsta Cartと提携を解消する小売も出てきています。米大手スーパーのTargetはInsta Cartの競合サービスShiptを買収したために解消。また、2017年にAmazonが買収したWhole Foodsも徐々に提携を解消する方向で動いています。
外部の買物代行サービスと組むことで、今までスーパーに来なかった顧客を掴める一方、顧客接点の一部を外部サービスに委ねることになるため、影響力が増してきたInsta Cartを中心に再編成が起きていくようです。
普及している背景としては、そもそもアメリカでの配送サービスの体験が良くないという所も大きいように思います。実際数年前にシリコンバレーに僕が住んでいたときは、ECの配送が来るのは日本と比べて非常に遅いですし、配達人が玄関前に荷物を放置していくのは当たり前(それが重要書類でも)と再配達や時間指定ができる日本と比較してサービスレベルがそもそも低いのです。
そこを飛躍的に解決してくれたのがUber的なモデルで、外食のテイクアウトを買ってきて最短で届けてくれるDoor Dashや、日本でも展開しているHonestBee(現在サービス停止中の模様)や、前述のInsta cartなど、だいたい1時間程度で買ってきてくれ、かつ価格もそこまで高くなく、運び手と買い手が相互評価されるためにサービスレベルも高いとある意味革命的な体験を提供してくれるようになったのです。
Meal Kit - 業界全体では下降気味?
レッドオーシャンになっているのがこのジャンル。国内外で様々なサービスが立ち上がる一方クローズするサービスも出ています。
2017年にIPOしたBlue Apronや、最近資金調達したはSun Basketはこの領域のトップランナーに入るベンチャー。シェフクオリティの料理や、糖尿病フレンドリーな料理など、特定の領域にフォーカスしたサービスです。
クローズしたベンチャーはChef`dやMunchery、日本でもTastyTableがサービスクローズを発表し、その後運営会社が変わって再開しました。
時短簡単を売りにするミールキットは送料がかかる分、ユーザーの競合行動である外食や中食と比較して十分な強みを発揮するのが難しく、特定領域で魅力あるサービスを作っていく傾向にあります。
Meal kitカテゴリ全体としてみると、ビジネスを拡大するには競合となる外食やスーパーマーケットとの差別化をしつつ、ユーザーにとって魅力ある価格で提供する必要があります。
ユーザー獲得をしていくためには、知名度をあげるための広告を出し続け、かつ競合よりも安い価格で提供しなけばなりません。しかし、Blue Apronの例ではユーザーをせっかく獲得しても1年以内に90%のユーザーがいなくなる解約率の高さが課題となっており、2017年のIPO時15ドルだった株価が現在0.6ドル程度まで暴落し、非常に苦戦しているというのが実情です。
ただ、今後スマート冷蔵庫等の登場で食材がIoTによって管理され、ジャストインタイムでユーザーが欲している食材が手に入る等の状況になってくるとミールキットへのニーズも大きく変わる可能性があります。
私個人的には、買物代行のようなインフラが出来てくると配送等の課題も解決し、状況が大きく変わるのではないかと思っています。
In-Store - IoTが買い物体験も、ストアの管理も変える
機械学習やIoTによって店舗での買物体験も変わります。
Retail Nextは、店内カメラの画像解析によりユーザーを識別して、年齢、性別などの属性情報、その人が店内のどこを回遊して、何を良く買うのかなどのマーケティングデータを蓄積します。そのデータをもとに店内のサイネージや棚作り、ユーザーにリアルタイムに発行するクーポンなどのマーケティングに活用します。
最近では接客しているスタッフのApple Watchへ「目の前の顧客にどのような情報をオススメするのが一番効果的なのか」サジェストしてくれるソリューションも出てきました。
2015年にミラノ万博に展示されたSUPERMARKET OF THE FUTUREでは、来店者が指をさすとその野菜の産地や栄養素などが表示されたり、レシピもオススメされます。
スーパーはただ買い物して買えるところから、様々な新しい情報と出会う場所に変わる(ある意味戻る)のかもしれません。
Next-Gen Food ー 本物の肉に出会えない日がくる?
この領域で一番ホットなのは「代替肉」です。
背景として、地球人口の増加に伴って2050年には2005年と比較して2倍のタンパク質供給が必要になると言われています。従来のタンパク質として主流な牛や豚は、一頭育てるために必要は水や肥料といった資源がとても多く資源交換率が悪いために、このままでは増え続ける地球人口を賄うだけのタンパク質が供給できないといった問題があります。
それを解決すると期待されているのが、資源交換率がいいコオロギを原料にして肉や油等を精製するBiteback Insectや、鶏肉の細胞を人工的に培養したSuperMeat、見た目はほぼ生肉だけど植物性タンパク質で作られた人工肉のBeyond Meatなどの代替肉というわけです。
日本ではこういったテーマへの実感はあまりないかもしれませんが、産学協同で培養肉を研究しているIntegri Cultureや、コオロギを原料にしたナチュラルフードを作るBugmoなど様々なベンチャーが誕生しており、代替肉が店頭に並ぶ日も近いかも知れません。
京大がゲノム編集をして短期間で肉厚に成長するマダイの研究をしているのも個人的には注目しています。
「今日何食べる?」(Map青の線)
Recipe Servises - 家電とつながる次世代レシピサービス
OiCyもこのカテゴリに入るけど、スマートキッチンの普及によって再編が起きつつあるのがレシピサービスと家電メーカーの関係です。
今まではレシピを調べて、その設定を自分で家電に入力していましたが、スマートキッチン化することによって、レシピと家電がシームレスにつながるようになります。
たとえば、冷蔵庫が食材を庫内管理し、作れるレシピを人に提案し、決めたレシピに伴って家電が調理を支援する世界の実現が近づいています。
その結果起こりつつあるのが、レシピサービスと家電メーカーの関係性の変化です。米家電メーカーWhirlpoolは、米レシピサービスYummlyを買収して家電とレシピのプラットフォームを統合しようとしています。
独家電メーカーBOSCHの子会社BSHが運営するスマートホームプラットフォームHome Connectは、中国やEU圏を中心とした様々なレシピサービスとの連携を発表、米レシピサービスChieflingへも出資しています。
また、家電との連携を念頭に置いた次世代レシピサービスも生まれており、代表的な所ではInnitやSideChefなどが家電メーカーとの提携を発表しています。
日本では、シャープがAIoT戦略を中心にスマート調理家電を展開しはじめ、パナソニックも昨年の100周年イベントで2021年までに全カテゴリの家電をスマート化すると発表していますが、家電メーカーとレシピサービスの関係はまだそれほど進んでいないというのが実態だと思います。
あまり詳細なことはまだここでは言えませんが、OiCyとしては日本のスマート家電シーンを飛躍的に進めるべく色々進めています。
Healthcare ー 健康状態のパーソナライズ
スマートキッチンでレシピ選びといったときに良く出てくるのがこのテーマ。
遺伝子検査の23andMeや腸内バイオームのuBiome、日本ではトイレに設置したデバイスで尿に含まれたタンパク質を分析して、健康診断より詳しい健康状態を把握するSymaxなど、技術の発達によって、個人の健康状態を把握するための手段が増えてきています。
また、個人の健康状態に合わせて相性の良い食事を提案してくれるHabitや、買い物する時に商品のバーコードを読み込むと、似た商品の中から自分に合う成分を含む(またはアレルゲンなどを含まない)商品を教えてくれるShopwellなど、パーソナライズされたレシピや食材とマッチングするサービスも生まれています。
Sharing Community ー 食が繋ぐ人と人の絆
いわゆるミールシェアという領域で、大きく分けると料理のスキルや体験をシェアするサービス、日常的な料理のシェア、フードロス的なサービスに分かれます。
EatwithやFeastly、日本のTadakuなどは前者の料理のスキルや体験をシェアしつつ一緒に食べるというちょっとしたアクティビティ的な要素として楽しめるサービスです。
回家吃饭はご近所さんがご飯を作ってくれるサービスとなっており、一時期下水油(違法な汚染された油)問題などで外食の安全性に疑問をもたれていた中国マーケットなどで受け入れられています。
Olioはご近所で余っている食材を共用冷蔵庫に入れて分け合い、フードロスをなくすといったコンセプトのサービスです。
いずれのミールシェアサービスも日本でいう食品衛生法に抵触するかしないかといったグレーゾーンのサービスになることが多く、また受け渡したり行く手間がどうしても発生するため外食やミールキット等と競合する事が多く、難しい領域といえます。
「食材を保管する」(Map緑の線)
Smart Fridge - 冷蔵庫がスマート化すると料理が変わる
世界規模の家電見本市で、大手メーカーがこぞって発表しているコンセプトが冷蔵庫による食材管理です。
SamsungのFamily Hub 2.0やLGのInstaviewなどは、冷蔵庫内に設置されたカメラで食材を認識して食材管理をしてくれる製品です。独家電メーカーLiebherrはマイクロソフトと協力して後付けで設置するカメラオプションFridge Camを製品化しています。
まだまだお世辞にも認識率が高いとはいえませんが、冷蔵庫のレイアウト自体も食材認識しやすい形状に変えるなど、毎年進化が見られます。
冷蔵庫の食材が把握出来るようになれば「今つくれる料理を提案してくれる」や「足りない食材を自動発注する」などが当たり前にできる世界になり、料理自体の体験も大きく変わるでしょう。
Next-Gen Storage - 食材管理のあの手この手
「いまあるもの」がわかる冷蔵庫のスマート化だけではなく、他にも様々な食材管理のアプローチが出てきています。
たとえば、捨てたものを自動的に画像認識し、自動的に買物リストを生成してくれるスマートゴミ箱Genicanや、使い切った食材や飲み物のバーコードをスキャンしたり、音声メモをすると買い物リストを作ってくれるHikeといった「なくなったことがわかる」ことによりスムーズな補充と買物を支援するサービスが生まれてきています。
また、OvieやFreshFridgeなどのスマートデバイスは、食材が新鮮で美味しい状態をなるべく長持ちさせてくれて廃棄を減らしてくれることをコンセプトとしています。このように冷蔵庫をスマート化しなくとも、より効率的な食材保管や管理を支援してくれる製品もリリースされています。
日常生活において課題となる頻度がとても高い食材管理ですが、スマート冷蔵庫は50万〜100万円と非常に高価なため、こういった部分的に特化した体験を提供してくれる製品のほうが先に普及するかもしれないと個人的には思います。
Home Farm - 生育状況が料理と繋がる世界
スマートキッチンと連動する体験としてコンセプト展示されることが多いHome Farmは、海外の展示会にいくと結構な割合で一緒に展示されていたりします。
代表的なのはVeritableやAvaといったキッチンの片隅でハーブや葉物、果物といった作物を水耕栽培で育てるプロダクトや、EdynやRachioといった、家庭菜園での土壌や水の状態を検知して自動で水やりや生育アドバイスをくれるプロダクトなど、家庭菜園でのIoT製品が登場しています。
スマートキッチンと連動して、生育状況に合わせてレシピや食材を提案してくれるようなプロダクトはまだ発売されているものはありませんが、コンセプトレベルでは各展示会で見かけることも増えてきており、スマートキッチンの普及に伴い間違いなく増えてくるカテゴリだろうと思います。
日本ではクックパッドが主催したCookpad Accelerator採択ベンチャーのひとつPlantioが「みんなで野菜を育てる世界」を目指して、スマートプランターと連動した家庭菜園の支援から、ご近所同士生育状況をシェアして野菜を交換したり、販売するといった野菜の流通までを変えようとしている次世代プランターに挑戦しています。
「料理をする」(Mapオレンジの線)
Smart Cooktop ー 正確な火のコントロールによって変わる調理
スマートキッチン業界ではPrecision Cooking「正確な調理」と言われている領域で、料理といえば「火を使うこと」と定義されているほど火は料理の中心にあるのですが、それがテクノロジによって変わろうとしています。
まずはセンシングで、Meaterのように食材にセンサーを差し込んだり、フライパン自身にセンサーを仕込んで温度管理ができるSmartypanといったプロダクトが出てきています。
さらにセンサーだけではなく、調理システム化されたHestancueやTasty One Topといった、IHクッキングヒーターとセンサー、そしてスマートフォンが相互に連動する機器も登場しています。
こういった「スマートな火」を使うと、ユーザーはスマートフォンアプリでのビデオガイドをみながら迷わずに作業することができ、IHやセンサーの状況を見ながら火加減や温度をコントロールしたり、「今ひっくり返そう」とタイミングを教えてくれるため、誰でも失敗する事無く完成度の高い調理ができるようになります。
クックパッドのキッチンでも、こういった製品を実験的に導入して料理を作っていますが、完璧なミディアムレアなステーキや、最高な焼き加減のサーモンが失敗することなく作れるため、非常に満足度高く、自分の料理に自信がつく良い体験です。
大手メーカーもこうしたコンセプトを取り入れつつあり、CES2019ではGEとHestancueがビルトイン型のスマートコンロのコンセプトを発表したり、AEGがSense CookというビルトインIHと連動して様々な調理を支援する無線温度センサーなどを発表しています。
Multi Cooker ー 時短簡単でおいしい料理がつくれる救世主?
多くのプロダクトは時短、簡単をセールスポイントに作っており、煮る、蒸す、焼くといった工程をほぼ手間をかけることなく実現できるということで、海外の家電量販店では多くのスペースを占めて売られています。
海外の家電展示会でよく見かけるのはGourmiaで、スマートフォンと連動してレシピの検索や設定転送、遠隔操作などができます。また、クックパッドスペインではThermomixを使ったレシピが多く投稿され、盛り上がりを見せています。
海外に比べて日本ではまだあまり馴染みが少ないですが、シャープのヘルシオホットクックや、ティファールのCook4meなどはマルチクッカーに分類される製品です。
炊飯器とマルチクッカーは機構的にはほぼ似通っており、実際にクックパッドで「炊飯器」と検索すると2万件以上のさまざまなレシピがみつかります。
中にはご飯関連ではなく、煮物やローストビーフなどマルチクッカー的に使われているケースも非常に多く、忙しい主婦の救世主に日本でもなれるのか注目です。
Smart Oven/Microwave - 火がかわると料理がかわる
スマートオーブンの代表格はアメリカのベンチャーが作っているJune Ovenといっても差し支え無いでしょう。僕も使ったことがあるオーブンで、一番お気に入りのスマートキッチンプロダクトのひとつです。
特徴は、食材に刺す温度センサーが付いていて、良い感じに肉が焼け、さらに庫内にカメラが付いていて、自動的に記録も残ります。また、(あまり恩恵を実感しなかったですが)庫内で何を何個焼いているのか認識もしているらしいです。
やはり、食材の内部温度を直接確認しながらコントロールできるというのはとても大きなメリットで、僕はJuneOvenをつかってローストビーフに失敗したことはないし、肉を焼くプロに完成度を褒められたこともあります。
他のスマートオーブンでは、MieleのDialog Ovenという普通の電子レンジのマグネトロンではない違う方式をとることで、氷の箱に入った鱈を氷を溶かすこと無く鱈のみ焼き上げるといった今までの概念を変える製品や、Tovalaのようにプロクオリティのミールキットをスマートオーブンで完璧に美味しく焼き上げるといった様々な体験が産まれつつあります。
Coffee/Tea - プロのこだわりを自宅に
ある意味もっともスマートキッチンらしいとも言えるのがこの領域です。
コーヒーやお茶は挽き加減や淹れる時の温度や気圧で味がとても変わるのですが、今まで素人がそれをコントロールするのは非常に難しく、もしとても美味しいコーヒーを淹れられてもそれをまた再現するのがとても難しいという課題があります。
それが、スマートキッチンの登場によって今までプロしかできなかった微妙な変更や、周囲の温度や気温が変わったとしても同じクオリティで自分好みのこだわりのコーヒーやお茶が淹れられるという体験がこの領域です。
日本のGINAはコーヒー豆によっておすすめのドリップ方法をガイドしてくれたり、お湯や粉の量、蒸らし時間などの設定を自分好みに変更して試行錯誤する事ができます。お気に入りのレシピを発見したら他のユーザーにシェアすることができ、世界中の人々が投稿したおいしいレシピを再現することも可能です。
いっぽうお茶の世界では、TeaBotは家庭では無く店頭にあるロボットで自分好みのお茶をブレンドしてくれます。将来カフェで自分好みのブレンドや設定を持ち歩いて楽しんだり、友人とシェアするといった未来がやってくるでしょう。
また、デバイスに付いている心拍センサでユーザーのストレスレベルを分析し、最適な温度や時間で抽出をしてくれるTeploはお茶をただ美味しいものではなく、ユーザーに寄り添ってリラックスさせてくれる新しい体験を産みだしています。
Alcohol ー 自分好みのお酒が造れちゃう体験
coffee/teaと同じく自分の好みを追求する体験が重要視されるのがこの領域です。
代表的なのは好みのホップと酵母を買ってきて、発酵温度や時間を入力することで誰もがイメージ通りのビールが作れるという家庭用クラフトビール醸造マシンPico Brewです。
今まで醸造所やプロでなければ作れなかったビールが、センシングとIoTによるコントロールによって誰もが作れるようになりました。ユーザー同士が自分好みの組合せを投稿するコミュニティもあり、とても盛り上がっています。
クラフトビールは世界共通の文化といっても過言では無く、世界地図上で「今どんなひとがどんなビールを仕込んでいるのか」がリアルタイムにわかるアクティビティマップを見ているだけでワクワクする体験を作っています。
また、今から飲むワインにより最適な状態にしてくれるワインディスペンサーD-Vineや、スマート注ぎ口Aveineなど、自動的により美味しくしてくれるプロダクトも出ています。
「食べる」(Map紫の線)
Table Ware - あなたの食べているものは何ですか?
センシング技術の発達によってスマート食器といわれるプロダクトも出てきています。
食器というだけあって、中に入っている物や触れている物を分析するプロダクトが多いのが特徴で、2014年頃に話題となった中国の百度が作った食品の安全性を検査するスマート箸や、食品にアレルギー成分や汚染物質が混入していないか検出してくれるNimaなど、安心安全を担保してくれる物から、中に入っている飲み物を自分の設定した温度にキープしてくれるスマートタンブラーEmberのように、ちょっとした利便性を提供してくれるプロダクトなどがそれに該当します。
日本のベンチャーではお皿の上にあるものの重量をセンシングし、食べるスピードやバランスの良い食べ方を提案してくれたり、さらには組み込まれた電子ペーパーで気分に合わせたデザインの演出や、離れた家族とのコミュニケーションを促進してくれるPlay-teというスマート皿が発売されています。
まとめ ー スマートキッチンが何を変えるのか?
スマートキッチンの普及が進むのか?または一部のガジェット好きのものであり続けるのか?という質問を良くいただくのですが、確信をもって「間違いなく普及する」といつも答えています。
理由とすると「センサー技術の発達」「AI技術の発展」「5Gへの移行」「より自分らしいへ趣向の変化」の4つが挙げられるのですが、この記事で挙げてきたサービスやデバイスがほとんどどれかの要素があることによって、従来とは大きく異なる新しい体験を産み出しています。
これは僕の予想ですが、2021年にはスマートキッチンは日本の家庭にもわりと広く普及するようになり、家庭での料理は圧倒的に便利になります。そして2023年頃には様々なスマート機器やサービスが連携して料理が便利だけではなく、生活に大きな影響を及ぼすインフラになっていくのではないかと考えています。
さて、スマートキッチンが普及すると何が変わるのでしょうか?ロボットが料理をして、家事をしないでも済むようになるのでしょうか?
僕はそうは考えてはいません。日常の料理が便利に簡単になっていくのは確かだと思いますが、その代わり1℃単位で精密にコントロールできる火や、欲しいときにすぐ自分に合った最高の食材が手に入る環境などが実現するのです。
その結果、人々の料理はより多様でより豊かになっていくのだと僕は信じています。
そんな世界を一緒につくりたいぜ!という仲間も絶賛大募集していますので、ご興味ある方ぜひコンタクトください。
9月にドイツで行われるヨーロッパの大型家電展示会IFAに行きますので、家電業界の最新情報もお届けする予定ですのでお楽しみに!
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