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#24 努力の上に辛抱という棒を立てろ
1月29日。桂 小金治さん。
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より。
桂 小金治さん(1926年~2014年)
落語家、俳優、タレント、司会者。
十歳の頃、僕にとって忘れられない出来事があります。
ある日、友達の家に行ったらハーモニカがあって、吹いてみたらすごく上手に演奏できたんです。無理だと知りつつも、家に帰ってハーモニカを買ってくれと親父にせがんでみた。
すると親父は、「いい音ならこれで出せ」と神棚の榊の葉を一枚取って、それで「ふるさと」を吹いたんです。 あまりの音色のよさに僕は思わず聞き惚れてしまった。
もちろん、親父は吹き方など教えてはくれません。
「俺にできておまえにできないわけがない」 そう言われて学校の行き帰り、葉っぱをむしっては一人で草笛を練習しました。だけど、どんなに頑張ってみても一向に音は出ない。諦めて数日でやめてしまいました。
「一念発起は誰でもする。実行、努力までならみんなする。そこでやめたらドングリの背比べで終わりなんだ。 一歩抜きん出るには努力の上の辛抱という棒を立てるんだよ。この棒に花が咲くんだ」と。その言葉に触発されて僕は来る日も来る日も練習を続けました。
そうやって何とかメロディーが奏でられるようになったんです。
まるで小説みたいな
幼少期のお父様とのやりとり。
こういうエピソードって一生心に残ると思う。
このあと、何かできても偉そうにするな!感謝しろ!
と感謝の気持ちまで教わり
さらにさらに、翌朝、枕元には念願のハーモニカが!
「努力の上に辛抱を立てたんだろう。花が咲くのは当たりめえだよ」
完璧すぎる!
ハーモニカを買ってあげることは
もしかしたら簡単かもしれなかったけれど
あえて、試練を与える。
そして成功体験もさせる。
すごい!
今まででの中で一番好きなエピソード。
「ハーモニカは三日も前に買ってあったんだよ。お父ちゃんが言っていた。あの子はきっと草笛が吹けるようになるからってね」