花あれば、心躍る⑧
コウヤくんは 身体から抜け出したココロを 必死に追いかけました。
「ま、待って~!」
コウヤくんは ココロに向かって叫びながら 追いかけ続けました。
すると、 ココロは ある大きな木の前で ようやく立ち止まりました。
コウヤくんは 息を切らせながら なんとかココロに 追いつくことができました。
ココロは その大きな木の周りを フワフワと漂っていました。
コウヤくんは どうにかココロを 自分の身体の中にしまおうと 必死にジャンプをしてつかまえようとしますが、 ココロはまるで遊ぶように コウヤくんの手をかわして フワフワと浮かんでいます。
コウヤくんが思い切りジャンプして ココロをつかまえようとした時 大きな木の枝に 何か引っかかっていたものが落ちてきました。
それは 少しさびれたコンパスでした。
コウヤくんがコンパスを手にした瞬間、持っていた地図とコンパスが まるで磁石のように お互いを引き寄せ合いました。
そして 地図には 大きな山が浮かび上がりました。
コウヤくんは この山を見た時に なぜか女神のことをふと思い出しました。
すると、ちょうどその時 コウヤくんの頭上を優雅に飛んでいた一羽の鳥が 大きな木にとまりました。
(続く)