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pasteltime
森のどうぶつえん
ここは 森の どうぶつえん
夜になると 植物たちが 動き出すんだ。
真っ暗闇の 森の中 新月の夜にだけ
植物たちは 動物に変身する。
このことは きみと 僕だけの 秘密だよ。
今から 一緒に 動物たちに会いに行こう。
「ほら！」
大きな 大きな 木が ながーい 枝を 揺らしながら 歩きはじめた。
葉っぱを ゆっさゆっさと 揺らしながら ドシン！ドシン！ と歩く姿は
まるで 耳を パタパタさせて 鼻を揺らしながら 歩いている ゾウのよう。
「ほら、見て！」
スラリと 細くて ながーい 木も 一歩一歩 歩きはじめた。
細くて まっすぐに 伸びた幹を バランスを 保持しながら 歩く姿は
まるで ピンと 首筋を 立てながら 歩いている キリンのよう。
「ねぇ、みて！」
そんな 大きな木々の 足元に 負けずに ずっしり咲いている たんぽぽも 歩きはじめた。
黄色い 花びらを ひらひら なびかせて 歩く姿は まるで 孤高の ライオンのよう。
「あっちも！」
落ち葉の上に ポツンとある いがぐりも てくてく 歩きはじめた。
チクチクのいがに おおわれて 歩く姿は まるで 威嚇している ハリネズミのよう。
「こっちも！」
栗のお隣さんの どんぐりも ちょこちょこ 歩きはじめた。
小さい身体を 小刻みに 動かして 歩く姿は まるで 食べ物を 探している リスのよう。
「そっちも！」
落ち葉に 覆われた 石も 重い身体を 上げて のっそり 歩き始めた。
ゆっくり ゆっくりと 一歩一歩 慎重に 歩く姿は まるで 陸を 歩く カメのよう。
森のどうぶつたちは 新月の夜にだけ
動き出す。
これは きみと 僕だけの 秘密だからね。