写真展壁が、終わった。
写真展という水滴が私の上に落ち、
時間と共に水紋となって凪ぎ、いつしか私にしみ込んでいく。
B's写真展壁が終わって1週間、そんな感覚で見事に写真展ロス真っ盛り。
夢から覚めていくGWの最終日に、初noteで振り返ってみました。
1.「B’s写真展 壁」って?
参加した写真展は、4/25-4/30の6日間、渋谷ルデコで開催されました。ちょうど1週間前になります。
テーマは「壁」。コロナ禍の約2年前に発足した別所隆弘さん主催のオンラインサロンメンバーが、各々の壁と向き合った作品を3、4階の2フロアで展示。5階ではPixel展も開催され、スマホで撮影されたとは到底思えない作品が並んでいました。
私にとっては初めての写真展。
何もわからないままに3階でスペースをいただきました。
とはいえ、写真をどのサイズにプリントするのか?
額装は? いや、そもそも写真どうする?
そんな右も左もわからない初心者を、あたたかく細やかにサポートしてくださった運営メンバーの皆様がいたからこそ、私はこの写真展後を迎えられていることは間違いありません。
そんな写真展が、主催者である別所さんによってまとめられています。
まずはこちらを。
2.写真展を前に
さて、写真展シロウトの私、ルデコに着くまではこの曲が頭から離れませんでした。
大した経歴もない田舎モンが東京で写真見てもらおやなんて…
そもそも、参加するなんて言うてよかったんか…?
そもそも展示する皆さん、SNSでいつも見とったどえらい人ばっかやし…
きっとキラキラしとるんやろな…
しょうがない、私は渋谷でベコ飼うだ!
いかんせん気おくれが過ぎた上に、渋谷に行く目的すら見失いかけてました。吉幾三、大好き。
3.在廊という経験
そんなこんなで、私が在廊したのは最後の2日間でした。
渋谷駅で迷子になった田舎者を、出展者の皆さんがあたたかく迎えてくださって、それまでオンラインでしかお顔を見たことのなかったあの人、この人が目の前にいる、そのことがまずとてもうれしかった。不安いっぱいの中、東京という地にホームができたような気分でした。
そして、いよいよ作品を前にして、来場者のかたとお話しする機会がやってきました。
一瞥して次の展示に歩を進めるかた、足を止めてくださるかた、ブックを手に取ってくださるかた、そして私の話を聞いてくださるかたがいて、そのすべてが私にたくさんの刺激を与えてくださいました。
正直なところ、私の写真は、展示作品という意味では少しパワーの足りない内容だったのかとは思います。ある写真家さんからも、「展示にもっとも大事なのは、印画紙より額装より、作品にチカラがあるかどうかだよ」と教えていただきました。その言葉は展示前も今も、私のなかに額に入れて飾ってある言葉です。
そのうえで、あえてインパクトの強くない写真にしたのは、妥協ではなく、私の「壁」の解釈によるものでした。
4.展示テーマ ”no title” の理由
ご来場の皆さまには、私の「壁」の解釈を ”壁にかけたい写真” にしました、とお話ししました。
当初、私はこの「壁」ということばを ”自分の中にある壁" ととらえ、超えるべき壁、超えられない壁、とは? を自分のなかから見出そうとしていました。この解釈を私の展示テーマとするにはどうにもまとまらないことに苦しむ日々が続きましたが、結果的に、展示した3枚のうち1枚はこの "内省的な壁" の要素も内包しています。
この内省的な壁については、Instagramでも。
在廊日、私はこれが浅はかにも聞こえないかと少し不安になりながらも、自分のなかで咀嚼しつづけたこの解釈を、及び腰にならずに話すことができました。
初心者の私が話せたのは、展示に向けたオンライン相談会で、自分の考えを運営メンバーの皆さんに聴いてもらい、こうしたらもっと世界観が出せるんじゃないか、みたいなアドバイスや改善点と共に背中を押していただき、自分で考え抜いたからこそだったと思っています。
話を聞いてくださったかたの中には、「この写真好きです」「ほんとうに、壁に飾りたくなります」「日常の暮らしにぴったりですね」と返してくださったかたがありました。
渋谷でベコ飼おうとすらしてた私の写真に共感してくださるかたが、いた。いた。
こんなにうれしいことがあるのか。伝わるって、こんなにうれしかったか。
気おくれしていた私を肯定してもらったような、「写真展壁に出展したよ」ってちゃんと言えるような、そんな気持ちになる宝物のような言葉をもらいました。
5.夢のあと
そんなこともありつつ、在廊の2日間を終えるとき、想像もしていなかったさみしい気持ちに襲われました。
思えばずっと展示のことを考えてきた約4か月。
オンラインでいろいろと導いてくださった皆さんは、リアルでもそれ以上に優しく、あたたかった。何よりそのことが、そんな皆さんと展示をご一緒できたことが、本当にうれしくてたまらなかった。私には苦しくて悲しいコロナ禍を乗り越えたごほうびのようにも思えました。
そしてもうひとつ、景色が少し輝いて見えるようになりました。
ただの田舎に住み、横着とも言えるほどに近くばかりで撮った風景でまとめたブック。それを見たかたから「家の近くでこんな景色を見られるんですか?」と驚かれたことに驚きました。
冷えた朝には霧が出て、夕方には山の向こうに夕焼けが見え、夜には星や天の川が見え、そして四季折々の花が咲き誇る。そんな、ある意味当たり前にもなっていた景色に目をとめてもらえたのです。
そうして、私の目が少し変わりました。
風景撮るなら遠くても有名な絶景を撮るべし、みたいに無意識に自分で縛っていたんだな、と気づきましたが、私はこれでいいんじゃないかな、とも思わせてもらえました。もちろん絶景スポットには行かないということではありませんが、私のスタイルも悪くなかったし、当たり前と思っていた近くの景色にも美しさというチカラがあったんだな、と感じられるようになりました。
今は、写真展に参加してよかった。
最初に展示したのが、「B's写真展壁」で、本当によかった。
また写真がちょっと好きになりました。
そんな思いと感謝でいっぱいです。
また展示やりたいな。
改めて、会場にお越しくださったかた、ありがとうございました。
展示の仲間に入れてくださったサロンの皆さん、ありがとうございました。
展示に向けていろいろと惜しみなく教えてくださった別所さん、井上浩輝さん、プリントで全面的にお世話になった富士フイルム クリエイトの高橋さん、そして何よりもスムーズな運営のために文字通り尽力してくださった運営メンバーの皆さんへ、最大の敬意と感謝をここに込めて。
本当に、ありがとうございました。
さまざまな「壁」を展示された皆さんのnoteも置いておきます。
もう一度、あの写真展を体験できるはず。ぜひご覧ください。