団地コミュニティ「団地ヨガ」の絶大効果②
団地生活の中で大事にしている時間が、ヨガ後のお茶タイム。
主催している牛乳店のにて数人で1時間ほどのんびりとしていく。どんなに余裕がなくてもこの時間はキープするようにしている。自分にとっては交流が楽しく、とても心地よい時間だからだ。
毎回人も変化、話題もさまざま。介護の話になることもあるし、団地初心者のわたしが部屋のことを相談することも多い。
その際にとても興味深い話も聞く。
いつも親しくおしゃべりするご婦人たちがいて、てっきり団地内の長年の友達だと思っていたら、このヨガがきっかけで仲良くなったこと、ヨガを通してこの牛乳店を知り(巨大団地なので店を知らない人も多い)、牛乳やプリンのファンになってしまったこと。こちらの牛乳を飲むのが日課になった方もいる。
中でも私が感動したのが、毎回2人で参加している若い夫婦がいてヨガ教室が始まって数か月もしないうちに牛乳店のオーナーが経営する北海道の牧場を訪ねたこと。しかも彼らの新婚旅行であり、まず目的地がオーナーの牧場であったこと。新婚旅行であることをオーナーさんは現地で知り、自分の牧場だけでなくくまなく案内したそう。さぞどちらもうれしかったであろう。
これらから言えることは、
・コミュニティ(ヨガ教室)が生まれたことで、新たなつながりが生まれること
・コミュニティ(ヨガ教室)がつながり(若い夫婦)に影響を与えること
・コミュニティづくりが目的であった場(牛乳店)にリピーターがつき、すなわち売上増につながる、という効果があったこと
三方良しといえる。
団地ヨガが始まって3~4か月、月2回、10~15人ほどでヨガをしているだけの、決して活発ではないコミュニティなのに、コミュニティができることでこんな動きと効果があることが私には(当たり前のことかもしれないが)とても刺激的で唸ることだらけなのだ。
といっても、団地=つながりがよくある、というわけでは決してない。
総じて民間のアパートやマンションの感覚で住む居住者がほとんどと思われ、つながり感、コミュニティ感が全体的に薄いな、というのが昭和の団地も知る私の実感だ。
例えば私の住んでいる団地では隣り合う2戸が向かい合わせで共用階段を持つため、階段ごとの計10戸が一つの班であり、
それぞれが話し合ってルールを決める形態になっているという。
しかしながらその最少単位の「ご近所さん」とはつながりが全くない。
エレベータなどや共用のゴミ捨て場であっても、挨拶を交わす程度。
なかにはこちらが挨拶してもめんどくさそうに顔を背ける人もいる。
そういえば引っ越して来た際、どこまで挨拶するか迷い、居住歴40年の棟の班長さんに相談したところ「同じ階段の人には挨拶にまわったほうがいい」とのアドバイスを受けて全戸にピンポンしに行ったが、お向かいと階下以外は2回ともでてこなかった。
私の手元には中川政七商店の同じてぬぐい8枚が空しく残っている。
そんな特別な場所でもなんでもないところで、、私は「つながるきっかけ」と「つながりにより、そのエリアに新しい動きが生まれる」過程に興味があるのだ。
自分自身の研究は 旅行者をはじめとした多様な移動者と地域のつながるきっかけと関係性の構築についてだが、
そのコミュニティの生まれ方、動きを観察、実体験することで共通点やヒントを得たい、と楽しみながら、実践している。