師の偉大さを思う
昨年、私が「バトンズの学校」でとてもお世話になった古賀史健さん。本当に、本当に偉大な師匠だなあ、と思う。
特に私がすごいと思うのは、古賀さんの添削の仕方だった。古賀さんがやってくれたのは、誤字脱字や表現を直すような単純な朱入れではない。一人一人の受講生の文章を読んで、根本的な構成の面から指摘をしてくれるのだ。
おそらく古賀さんからすれば、私の拙い文章なんて、ゼロから書き直してしまった方が簡単なはずだ。古賀さんには書く上での古賀さんのロジックがあって、彼なりの「正解」があって、いちいち説明するよりも最初からそれを提示してしまった方がラクだったはずである。そんな近道を選ばずに、文章を丁寧に分解し、「なぜ」の部分を言語化して、受講生に分かるように示してくれた。それができるというのは、本当にすごいことだ。
受講生がなぜそのような文章を書いたのかを考える。どうしたらもっと良い文章になるかを考える。「こうすればもっと良くなる」という理由を、感覚ではなく論で説明する。受講生に対しても、自分自身に対しても、考えることから逃げない。それを半年間もやっていたなんて……。受講生一人分をやるだけでヘロヘロだっただろうに……。その気力と体力を想像しただけで、恐ろしくなってしまう。
今更ながら、ものすごい方に教えていただいてしまった。
でもきっと、古賀さんは最初から「バケモノ」だったわけではなくて(そもそも「バケモノ」ではありませんごめんなさい)、「思考することから逃げない」という積み重ねが、彼を形成したのだろう。だとすれば、その鍛錬を積めば、私にも古賀さんのような添削ができるようになるということなのだろうか。
逃げずに、修行を続けるしかないのだな。