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「見る」という価値観が圧倒的に変わった話
少々久しぶりの投稿です。
この5〜7月の間は、不測の事態と、両手足使っても全然足りないほど多くの課題が降ってきました。
いろいろなことがようやく落ち着きつつあります。
その間、自分の中でも意外な部分を発見したり(まぁ、それだけ追い込まれたということかもしれませんが 苦笑)、実は頼り頼られる身近な人の存在に気づいたり、2ヶ月とは思えないほどボリューミーな時間を過ごしました。
中でも、かなり新鮮な驚きとともに助けてくれたモノは、新しい眼鏡でした。ド近眼とは40年以上の付き合いですが、「見る」の価値観がこれほど大きく変化したのは初めてです。
眼鏡がなくなった!
5月半ば、人生最大級に緊張するイベントがあった翌日。
少しその緊張から離れたいと思い、庭のカエデの伐採をしました。
(「切る」行為で、感覚的にも切り離し感が生まれるんですよね)
伸び放題でモサモサだったので、ハシゴをかけて高いところの枝を落とそうと躍起になっていました。
半ば背伸びしながら鋸を引き、切れた!と思ったら、落ちてきた枝がメガネを道連れにしてしまいました。
小さな庭だし、楓の下に落ちたのは間違いないので、すぐ見つかるだろうと思ったのに、これがなかなか見つかりません。
目のいい末っ子にも助太刀してもらいましたが、結局見つからず。
仕方がないので、眼鏡を新調することにしました。
ちょっと前に友人に教えてもらった「眼鏡のとよふく」を思い出し、電話してみました。
「お電話でのヒアリングに30分程度いただいております。今、お時間ございますか?」と電話口の人。事前のヒアリングで30分とは、かなりなボリューム感です。
いつからどんな経緯で目が悪くなったのか、普段はどんな仕事をしていて、どんな目の使い方をしているか。パソコンやスマホは1日どの程度使用するか。
そんなことを根掘り葉掘り質問され、挙げ句「あなたが眼鏡を作りたい理由は何ですか?」と聞かれました。(今更?)と思いつつ「もちろん、よく見えるようになりたいからです」と答えました。
「残念ですが、それですと、うちの眼鏡は合わないかもしれません。」
「ええぇ!どういうことですか?」
「うちの眼鏡はあくまでも目を正しくお使いいただくための眼鏡です。ですので、場合によってははっきりと見えないこともあるのです。正直に申して、うちの眼鏡をかけていただいて、必ずしもよく見えるようになるかどうかは、わかりません」とのこと。
それを聞いたら、逆に興味が増し、どうしてもとよふくさんで眼鏡作りたい気になりました。検眼では2時間以上、フレームを選ぶのに1時間で、合計3時間ちょっと見てくださいとのことでした。結構な滞在時間ですが、乗りかかった船、最後にどんな景色が見れられるのか、むしろ期待が高まります。
いざ、とよふくさんへ
1週間後、横須賀線「佐倉駅」ほど近くの、とよふくさんに伺いました。
「視野を広く確保でき、且つ見たいものにピントが合う」眼鏡の強度を細かく調べてくださいました。その間に伺った話が1つ1つ衝撃的で、価値観が激変しました。
1つ目。
今までは裸眼か、裸眼に限りなく近い弱い眼鏡で過ごしてきたのですが、「それは、身近な範囲だけで生きようとしていて、外とのコミュニケーションを遮断している、非常に危険な状態」とバッサリ。
2つ目。
今までは、写真を撮って初めて美しい景色だなと思うことも多かったんです。それに対してはこうバッサリ。
「平面な写真と、ご自身の目で立体的に見る景色と、どちらがいいでしょうか?写真はあくまでも立体には見えません。見ることの楽しさや喜びを味わってください」
そして、山に登るなどして、遠くの美しい景色を楽しむ趣味などを持つのがいいと勧められました。
3つ目。
糸の先に玉をつけたものの動きを(顔は動かさずに)目で追っててみましたが、目が全然ついていかない。「これは、脳が全く動いてないということです。このままでは認知症になる可能性が大きいですよ。」と怖いことを言われてしまいました。
4つ目。
今まで、書類をたくさん読まなきゃいけないとき、目で追ってても全然頭に入ってこないことが度々ありました。「これは、老化現象ですよね?」と言うと、ため息混じりでこんな答えが返ってきました。
「あなたくらいの年齢の方は皆そうおっしゃいます。でも実は脳ってあまり老化しないんですよ。脳の本来の役割は、読んだものを要約して簡略化したり、まとめたり、整理したりすること。むしろ、歳を取ってからの方が得意なはずなんです。あなたの現象は、脳が見ることに精一杯になってしまい、本来の働きができていないということ。正しく目を使えば、解消します」
これで健康寿命が10年は伸びたな、と急に前向きになりました(笑)
新しい「見る」を獲得
検眼から2週間後。
新しい眼鏡を取りに行き、かけながら帰宅したのですが、遠くの方の木とか山とか、空の雲や風が吹いた時の木々の揺れの質感等がすんごくリアルで驚きました。
五感のうちでも触覚が最もプリミティブだと聞いたことがありますが、そこから視覚が派生したのがわかる気がしました。
遠くの木々や雲の質感が、触ってないのに、触ったかのようにわかる。
私たちは、「見る」という行為をするたびに、触覚→視覚の派生過程を再現しているのかもしれません。
人生を変える眼鏡
眼鏡を新しくしてから1ヶ月半ほどになりますが、単に「見る」行為がめちゃくちゃ楽しくなりました。真面目に人生が大きく変わったと感じています。
大きくいうと4つの変化がありました。
まず、世界はものすごく美しいこと。
輪郭や奥行きがあることってそれだけですごいことです。
2つ目は、通りがかりの知らない人にも興味を持てるようになったこと。
今までは挨拶はしても、その人に興味が向くことはあまりありませんでした。
でも、挨拶した時に表情が細かくわかると、その人が何に興味があってどんなふうに生きているのか、知りたくなるのがわかった。
どれだけコミュニケーションを遮断していたんだ!と怖くなりました。
3つ目は、膨大な情報量を処理しようとした時に、「付いていけない」ということがなくなったこと。目がオーバーワークになる前に、瞬きをしたり、じっと見過ぎないようにしたりと工夫できるようになったからです。
4つ目は、肩こりがなくなったこと。
肩こりは常態化していたので、無自覚になっていました。でも、肩こりのない生活は、本当に楽ちんなことがわかりました。逆に、目を凝らすなどして、目を酷使したり無理したりすることが、どれだけ人生を辛くしていたかがわかりました。
連動するウチとソト
例えば、「見えてなくてもある程度空想で補える」と言う考えもあるかと思います。でも、その「空想」だって、リアルに見るものに制限があったら、空想も萎む一方です。
ウチとソトは常に連動しているので、ソトのリアルな風景が反映できなければ、ウチも充足しないことがわかりました。
目の正しい使い方
こうしてとよふくさんの眼鏡に出会ったおかげで、正しく目を使っていくことを学んだわけですが、最後に、目を正しく使うための注意事項を教えていただいたので、共有します。誰にでも当てはまると思いますので、参考していただけたらと思います。
1)目の視野の広さを常に確保すること。
本やスマホを見るときも、周りまで全体的に視野に入っているようにする。じーっと目を凝らして見つめない。
2)瞬きをするだけで目が休まるから、瞬きを意識してやること。
3)目が疲れたら、無理しないで休めること。
この辺りを留意しながら使っていくと、いつの間にか目が正しく使えるようになるそうです。そもそも、近眼の人間というのは、目を無理して使うのに慣れてるので、普通にしていてもかなり負荷がかかっているようです。
脳が新しい見方に慣れると、目の緊張が取れ、さらに楽になるとか。
もう少しでその域に達することができそうで、楽しみです。
*眼鏡を買ってから1週間くらい経った時、庭からレンズのかけらが見つかりました。末っ子が見つけてくれたんです。意外にも、愛おしいような気持ちになってカケラを見ている自分に驚きました。