ヘパリンを使うとなぜ血小板が減るのか?
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カナダ在住薬剤師の卵、Tomokoです。
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昨日、Venous Thromboembolism (VTE) 静脈血栓塞栓症について勉強しました。今回は、治療方法とヘパリン使用時に危惧されるヘパリン起因性血小板減少症について。
このヘパリンを使用した際の血小板減少には、メカニズムにとても興味が湧いた。なぜ血小板が減少するのか?血栓を止めるために使用するはずのヘパリンで、なぜさらに血小板が増えて、また血栓ができるような悪循環が生まれるのか?この疑問に行き着いた。
1.VTEの治療
治療には抗凝固療法として、Unfractionated heparin (UFH) 未分画ヘパリンかLow molecular weight heparin (LMWH) 低用量ヘパリンとWarfarin ワルファリンが併用される。Warfarinは効果を示すまでに時間がかかるため、5日間継続し、INRは2.0~3.0に維持する。
New/novel oral anticoagulant (NOAC) 経口抗凝固薬のApixabanアピキサバンまたはRivaroxaban リバーロキサバンを開始するか、Dabigatoran ダビガトラン開始前はLMWHかUFHで5-10日間治療する。
2.PEの治療
VTEと同様に、Unfractionated heparin (UFH) 未分画ヘパリンかLow molecular weight heparin (LMWH) 低用量ヘパリンとWarfarin ワルファリンの併用。LMWHでの単独治療もある。Warfarinは効果を示すまでに時間がかかるため、5日間継続し、INRは2.0~3.0に維持する。
NOACのApixabanアピキサバンまたはRivaroxaban リバーロキサバンの単独治療、Dabigatoran ダビガトラン開始前にLMWHかUFHで5-10日間治療。
3.ヘパリンの使用について
Unfractionated heparin (UFH) 未分画ヘパリンは治療域が狭いので、モニタリングしながらの治療が必要であるが、CrCLが30ml/minの腎機能障害の患者でも使用できる。
一方で、Low molecular weight heparin (LMWH) 低用量ヘパリンはCrCLが30mL/min以下の患者には投与できない。ただし、Heparin-induced thrombocytopenia (HIT) ヘパリン起因性血小板減少症を起こしにくいのはLMWH。LMWHとしては、Tinzaprin チンザパリンやEnoxaparin エノキサパンなどが使用される。
4.ヘパリンによって血小板が減少するのはどうして?
Heparin ヘパリンは、 Platelet factor 4 (PF4) 血小板の第4因子と結合して免疫反応を起こす。この複合体 であるPF4-heparinに対してB細胞からるIgG抗体=HIT抗体が産生される。このIgG抗体とPF4-heparin が結合し、IgG抗体のFc部位と、血小板上のFc受容体が結合すると、血小板が活性化される。
血小板が活性化されると、
①さらにPF4が産生され、このカスケードが繰り返される。
②ヘパリン様物質が血管内皮に集まり、血管内皮障害を起こす。
③トロンビンの過剰生産(トロンビンの嵐と表現される事もあるそう)が起こり、血小板の減少さらには、血栓塞栓症の誘発を起こす。
5.HITの臨床診断とは?
4つのT'sと呼ばれる診断基準があるそう。
①Thrombocytopenia 血小板減少
②Timing 血小板減少のタイミング
③Thrombosis 血栓
④oTher case 血小板減少の他の原因
これらの4項目をスコア化して、考えるそう。薬剤師がココまでは介入することは少ないと思うが(臨床における診断について)、知っておくことは重要だと思う。
6.血小板の基準値
基準値は、150,000~300,000/mm^3 (15万〜30万)である。
*この記事は、私が日々勉強する中で得ている知識を元に書いています。事実に基づいた作成を心がけているつもりですが、自己判断にて読んでください。