カナダの薬局で買える薬って日本とどう違うの?
こんにちは。
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カナダ在住薬剤師の卵、Tomokoです。
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日本では、お医者さんに出された薬(処方薬)以外に、ドラッグストアなどで購入することのできる医薬品がありますが、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品...というように分類されています。これは、副作用や相互作用、他のお薬との飲み合わせなどから分類されています。
1.カナダの医薬品分類〜National Drug Schedules (NDS)programって?
カナダでも、日本のような医薬品の分類があります。
カナダで医薬品のことについて管轄しているのは、Health CanadaとNational Association of Pharmacy Regulatory Authorities (NAPRA)で、これらの機関がNational Drug Schedules (NDS) program;通称 Drug schedulingを決めています。
《Health Canadaって?》
ーHealth Canada has the authority and responsibility to authorize health products (e.g. drugs, natural health products, medical devices) for sale in Canada.;カナダ保健省は、カナダで販売される健康製品(医薬品、自然健康製品、医療機器など)を認可する権限と責任を負っています。
《NAPRAって?》
ーThe National Association of Pharmacy Regulatory Authorities (NAPRA) is an alliance of the provincial and territorial pharmacy regulatory authorities as well as the Canadian Forces Pharmacy Services. Our members regulate the practice of pharmacy in their respective jurisdictions in Canada and their primary mandate is protecting and serving the public interest.;NAPRAは、州および準州の薬局規制当局とカナダ軍薬局サービスの同盟です。私たちのメンバーは、カナダのそれぞれの管轄区域での薬局の慣行を規制しており、その主な任務は、公共の利益を保護し、奉仕することです。
カナダは合わせて14の州と準州がありますが、すべての州・準州で独自の法律が定められています。基礎 ベースはこのNDSにありますが、州によって例外となる医薬品やルールがあることもカナダならではの特徴です。特にケベック州は、ほとんどのことが他州と異なることも少なくありません。
日本では全国どこでも同じなので、都道府県をまたいだとしても、薬剤師として働くことが可能ですが、カナダではそれぞれの州・準州でできることも違うので、法律を知ることが必要になることだと思います。
さて、このDrug scheduling、実際にScheduleⅠ、ScheduleⅡ、ScheduleⅢ、Unscheduledの4種類に分類されていますが、詳しく見てみていきます。
1-1. ScheduleⅠ Drug
ScheduleⅠの医薬品は処方箋が必要であり、医師によって処方された医薬品を薬剤師が提供します。この販売については、州の薬局の法律で定義されている規制された環境の管理下にあります。基本的には、患者さんの目につくところにも置かないという分類です。日本で言う”処方箋医薬品”と同様の分類です。
1-2. ScheduleⅡ Drug
ScheduleⅡの医薬品は、処方箋は必要ありませんが、購入にあたり医師または薬剤師の介入が必要な医薬品です。ただし、ScheduleⅡの医薬品は、患者が手にとって選んで購入することのできる(self-selection)状況を作ることはしてはいけないので、薬剤師がいるカウンター内に陳列(患者さんの手の届かない場所)する必要があり、これをBehind the counter (BTC)と呼ぶこともあります。日本の要指導医薬品・第1医薬品の扱いといったところでしょう。
1-3. ScheduleⅢ Drug
ScheduleⅢは、処方箋なしで購入が可能な医薬品です。ただし、自己判断(self-selection)によって特定の集団にリスクをもたらす可能性はあります。したがって、薬剤師の管理下に置かれている薬局のOver the counter (OTC)のエリアで販売されることが認められています。患者が直接手にとって見ることができるが、プロフェッショナルのサービスも受けられる環境にあるというのが、このScheduleⅡです。日本での第2類医薬品といったところでしょう。
1-4. Unscheduled Drugs
Unscheduled の医薬品は、プロフェッショナルの管理下でなくても販売が認められている医薬品です。患者が、安全で効果的な選択を行うために適切な情報がパッケージなどに記されています。これらは、今までのScheduleⅠ Drug ~Schedule Ⅲ Drug に含まれず、薬剤師がいない、どの小売店でも販売が可能とされています。
これは、日本の第3類医薬品と少し分類が異なります。なぜならば、第3類医薬品は薬剤師または登録販売者のいる場所でなければ販売することができないからです。
2.カナダの処方権限者は誰?
カナダでは、州・準州によって、薬剤師が処方できる場所も存在します。
日本では、医師・獣医師・歯科医師のみが処方権限者として法律で定められていますよね。では、カナダでは誰が処方権限者になるのでしょうか?
もちろん日本と同様に、医師・獣医師・歯科医師は処方権限が与えられています。カナダでは、医師の中でも細かく分類されているのが面白いなと思います。例えば、通常の開業医や内科医などはPhysician、外科医はSurgeonsと呼びますが、その他にも Naturopaths 自然療法医、Chiroprodists 足病医、Optomentrist 検眼医、Midwives 助産師、Nurse practitioner 看護師(ナース・プラクティショナー)、Pharmacist 薬剤師が処方権限を持っている場合があります。これは、本当に州によって異なるのですが。
特に、薬剤師は下記の表のように各州によって、できること・できないことが大きく変わってきます。(2021.1現在。)アルバータ(AB)州は最も多くの権限を薬剤師に与えている州であることが分かります。
3.カナダの処方権限者に処方薬の制限はあるの?
これは、私も現在勉強中ではありますが、制限があるのは確かです。
例えば、上記の表から見てみると、上から4番目の禁煙外来 Smoking cessation。禁煙外来時に使われるNicotin Replacement Therapy (NRT)、Varenicline やBuproprionなど処方できる薬剤師はAB州、SK州、MB州、ON州、QC州、NB州、NS州、PEI州、NL州の9州・準州で、BC州、YT州、NWT州、NU州では認められていません。(カナダの禁煙外来についての詳しくはこちら)
さらに、Controlled substances (Drug)と呼ばれる、誤用されたり、違法な闇市場に転用される恐れのあるような、規制薬物を処方できるのは、
Medical doctors 医師、Dentists 歯科医師、Veterinarians 獣医師
そして、*Nurse practitioner 看護師(ナース・プラクティショナー),*Midwives 助産師、*Posiatrists 足病医 [* 連邦規制及び州・準州の法律、規制の対象となる。]と決められています。
4.最後に
日本の薬局と、カナダの薬局、比べてみると医薬品の分類も処方権限も全然違います。働いている人、生活している人も違えば、ルールや当たり前となることも変わってきます。
カナダの薬局についてはまだまだ分からないことが多いですが、少しづつ知識を増やして、仕組みから理解していくと全体像が見えてくるのではないかと思います。
毎日少しづつ、着実に、でも確実に。
英語では、こういう時にSlowly, but surelyという言葉を使うのですが、この言葉が好きです。コツコツと、続けていきます!
*参考
ーNAPRA Drug scheduling
ーNAPRA outline of Schedules and four categories of drugs
ーNAPRA Implementation of National Drug Schedules
ーPharmacist's Expanded Scope of Practice
ーControlled substances
*この記事は、私が日々勉強する中で得ている知識を元に書いています。事実に基づいた作成を心がけているつもりですが、一部で間違いがあったりする可能性もあります。ご了承下さい。