びわを見ると思い出すGWの思い出
~父 康太朗の最後の演奏~
ちょうど それは5月のGWのこと。
父が最後の入院をする前日、両親と私はベランダで育った小さな小さなビワの実を「1番大きくて美味しいのはカラスに食べられちゃったねっ!」と 話しながら食べた後、ジャズピアニストだった父に「ピアノ 聴かせて~!」と お願いして弾いてもらいました。
2月に大腸がんの手術を成功させ 安心していた私達ですが、2ヶ月後には骨に転移。それもスキルス性で頭部以外…首から下の全身の骨に広がり、母と私は余命2ヶ月の宣告を受けていました。父には病状を伝えなかったのですが、あの時… まず ♪慕情(Love is many splendered things)を弾いてくれて 次に母のリクエストの ♪ロミオとジュリエットを弾いてくれた…あの瞬間、父は何を考えていたのでしょう?
いつ どこで聴いても父の奏でるピアノの音色はキラキラしていて美しくダイナミックで、生み出すフレーズは自身と一体化していました。一生を費やして磨きをかけた素晴らしい感性に 母も私も涙を抑えることが出来ませんでした。
弾き終わると「ママにはバレなくても TOMOKOには(練習不足が)バレるなぁ~。指が動かないもんなぁ~。」と 笑っていましたが、テクニック以上の魂の響きは 素晴らしいサウンドでした。
それから約2ヶ月後、父は旅立ちました。
母も高齢になり 今 あのビワの木はないのですが、5月…スーパーで びわを見付けると思わず買ってしまいます。 今日もスーパーのびわの前でウルウル…。
あれから11回目のGW。今年も母と あの日のことを話しながら びわを食べました。買ってきた びわは あの日のびわより2~3倍大きくてジューシー。甘くて美味しいびわでした。もちろん、父にも「あの日の演奏、ありがとう~!」と お供えしました。Love is many splendered things!
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