誰の目にも映えない日々を生きる #路上文藝 014
「インスタ映えしないラーメン屋」
いいです、いいです、それで。
むしろ「インスタ映えするラーメン」の方が、抵抗ありますよ。
インスタ映えするラーメン、なにがトッピングされているのやら。
アヒルのおもちゃでも浮かんでいたら、そりゃ間違いなく映えますが。
かく言う僕も、誰の目にも映えない仕事をしております。
まともな人なら就寝している丑三つ時に、ちまちま調べ物をしたり、情報を求めてネットをさまよったり、ぽちぽちキーボードを打ったり。
そうかと思えば、太陽に背を向け、真っ昼間から惰眠をむさぼる日も。
どこの産油国の貴族ですかね。
でも、この「映えない作業」が楽しくて仕方がない。
ライターの仕事の喜びは、大きく分けて3つあります。
●クライアントさんに早く、確かな成果物を納品して喜んでいただく
●取材先に内容をご満足いただける
●読者に楽しんでもらえる
この3つです。
でもこれって「そうなって当たり前」。
そうあるべき、絶対的な使命、命題じゃないですか。
楽しいor.楽しくないの問題じゃない。
ですから、この三原則はつねに念頭に置いています。
ただ……罰当たりな発言をしますと……。
僕にとって「ライターの楽しみ」って、もっとくだらないものなんです。
夜中にスナック菓子や、それこそインスタ映えしないインスタントラーメンをすすったり、調べ物をしなきゃならないのについつい漫画に逃避したり、インタビュー起こしをしながら先様の言葉に「くくくっ。でもヤバくて書けねえ」と笑って作業が停まったり、椅子でぐんにゃり寝落ちしたり。
そういった誰の目にも映えない、映えてちゃいけない、デビルマンの主題歌みたいな日陰の部分に「楽しみ」があるんです。
不摂生で怠惰、背徳的。
ひと目に触れていいもんじゃない恥態です。
発注元の皆様、申し訳ございません。
でも、こういうだらしなさを積み重ねながら記事が完成に近づいてゆく、あの「むずむずっ」とした時間が僕は大好きなんです。
「認められたい」「ステージあがりたい」。
そういった向上心、というか自己顕示欲は少なからずあります。
けれども、それでも「誰の目にも映えていない豊かな時間」の優勝は揺るがないかな。
誰の目にも映えない、自分だけしかないそこに存在しない堕落した時間、これがないと無理。
承認欲求だけではなく「非承認への欲求」も同じように満たさないと、人って壊れるんじゃないでしょうか。
*「 #路上文藝 」とは「街のいい文章を見つけ、味わい、名も知らぬ文学者たちをリスペクトする運動」を意味します。
#路上文藝 013 情報収集の基本は「野菜の値段を知ること」
画像は「縦」「引き」「アップ」でも撮影しています。