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”神の山” 摩周岳で思うこと

NHKさんの取材としてカムイヌプリへ。

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 標高857m。第一展望台を登山口として山頂まで約7km(往復約14km)(黄色の線)西別岳登山口からのルート(水色の線)もあり、道東の野山としては珍しく広大な景色&ほぼずっと摩周湖を眺めながらの稜線歩き、ちょっとした縦走ができる山だ。ご覧のとおり高低差も少ないので子供から山好きのご年配の方まで楽しめる、とても親しみやすい山なのだ。僕自身もかなり好きなトレイルでもある。
環境省が作ってくれているパンフがわかりやすいので貼っておく。
http://hokkaido.env.go.jp/kushiro/nature/data/mashu_2020jp.pdf

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 摩周岳は別名「カムイヌプリ」アイヌ語で「神の山」を意味する。
それはハイカーにとって明らかに“そそる”名であり「一度は」と登ったこともがある人も多いのではないだろうか。今回はその摩周岳にNHKさんの取材件ガイドとしてご案内させていただいた。
※放送は6/10(木)18:00〜NHK ホットニュース北海道内

企画者と制作者の皆様に敬意を。

 番組の企画として弟子屈町が舞台となっているわけだが、今回「サクッと済む観光ロケ」ではなく、あえて阿寒・摩周国立公園の魅力でもある大自然のフィールドを「わざわざ終日歩き倒すロケ」としていただいたのも、この地でガイドしたり写真撮ったりしている身としてとても嬉しいことだった。この場を借りてお礼申し上げます。

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 さて、テレビという力はこれだけ多様化している世の中においても今で絶大であろう(僕はあまり見ないが)。つまりだ。大変僭越ではあるがこのタイミングに便乗して僕個人の視点としてもこのエリアの自然の魅力を伝えるチャンスであると感じている。
 それに、これまた余計なお世話なのかもしれないが、番組制作の都合上、伝えたくともどうしても伝えきれない部分もきっとあることだろう。せっかくの機会だと都合の良い勘違いをして、僕が普段フィールドで感じている魅力や、視点などもこのタイミングに合わせてツラツラと書かせていただく。 

 それから僕が取材時にカメラに向かってうまく伝えることができなかった情けない自分自身へのフォロー(これがメインなのか?)としても意味合いも多いにあるだろう。例えば、最近紅白歌合戦も副音声が聴けるわけだが、この記事もそういった視点で「取材のちょっとした裏側」的なフォトエッセイとして楽しんでいただけたら幸いだ。


これは取材の裏にあった自分視点のフォトエッセイです。

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 風衝草原。この日は雲が美しかった。山開きしてすぐの日曜日。天気も良かったこともあり、たくさんの登山者とすれ違った。僕は日曜日に山に入る機会はあまりないので正直人の多さに驚いた。そして同時にトイレ問題は急務ではないかと思った。囲いだけでも建てて、その中で各自携帯トイレでやってもらうようにしたほうがいい気がした。しょっぱなから言いたかないのだが帰りには人○では?のようなのも見かけた。

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 摩周岳に伸びるトレイル。たまらない。これを見て興奮する人が増殖したらな・・・と僕は思う。

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 西別分岐を超え、摩周岳へ向かう途中。カバの木も山の上は葉がついていない。木々の間からも西別ピーク、リスケピークが見える。

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 登山もほぼ初めて、長距離歩くのも記憶の限り初めてに近い。という平原D。息があがろうが足がくたびれようが流石はテレビマン。ディレクター脳は常に動いており、突然のタイミングでカメラを向けられ僕はたじろむ。

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 ピーク手前にあったチシマザクラ(たぶん)。6月に桜など山に来ないと見れないもの。こういった瞬間が嬉しくなるし記憶としても深く残る。それは葉桜であろうが、ある意味ぱっと車で見に行く満開の桜よりもずっと美しく感動的。僕はそう思ってしまう。

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 摩周岳、登頂。若い2人は余裕も余裕だ。もうこの辺では有名人。弟子屈町の地域起こし協力隊、川上くんと高橋くん。今回は弟子屈公式チャンネルの取材も兼ねていたようだ。演者であり取材者であり僕からするとゲストでもある。「コンテンツが渋滞していてヤバいんです」と苦笑いだけど楽しそうに話していた川上君。そして高橋君はどこかひょうきんで柔らかくニコニコしている。彼ら2人の関係と仲の良さは深いところでつながっているようで見ていてとてもバランスが良く心地よかった。昔からの友達とうのは特別だよなぁ。

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 ピーク手間の坂を抜ける瞬間、突然目に飛び込んでくる摩周湖。この瞬間の川上君のリアクションは僕の思い出にもなった。

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 爆裂火口側を眺める。吸い込まれそうになる。

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 いつ見てもかっこいい稜線。本当は右のピークも行きたい。

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 考えても行動できない大人がどれだけいるだろうか。彼らは若くして、迷い、決断し、行動している。そんな2人の笑顔からは刺激と勇気をもらえる。

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 帰り道。急に走り出す高橋君。それ、わかる〜〜!!とすぐにカメラを向けシャッターを押した。この1枚は今回自分が一番好きな写真かもしれない。

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おお〜い。気持ちいよ〜。と手を振っているのだろうか。声は聞こえてこないがそう聞こえた気がした。

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 後ろを振り返ると、平原D。帰り道は膝が笑い始めたようだったので、携帯していたトレッキングポールをお貸した。これがあるとないでは全然違うのだ。同様の経験があるからこれもとてもわかる。「主な野生動物がみんな4足歩行な理由わかりますよね〜」と笑いながら話をした。平原D、その険しい表情と抜群の背景、絵になってましたよ。

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 標茶〜弟子屈方面の眺望。

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 たまには上を見上げると新緑が美しい。ミヤマハンノキ(たぶん)の葉。

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 花にだけ光が当たっていた。こういう瞬間もグッときてしまう。エゾノヘビイチゴかエゾノクサイチゴ(たぶん)。いわゆるワイルドベリーってやつだ。

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 西日の受けた新緑の中アオジが囀っていた。見つけれたあなたは目がいいです。

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 さぁ、もうちょいだ。日も傾いてきたぞ。「ここからが一番ドラマティックなんだよな。正直このまま山にいたい。」とボヤく。

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 あと少し!ここまで本当によく歩いた平原D。時々足を止めて・・

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 汗をぬぐい。

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 またうつむく。

・・・辛い人にカメラを向けて大変申し訳ないのだが、僕はその姿に感動したので撮らせていただいた。景色や花、草木、動物などにグッとくるのはもちろんだけど、やはり僕は人の必死な姿というものに心が震える。人もまた自然界の一部なのだ。ある人によってはなんでもない山道でも、ある人によってはちょっとした挑戦だったりもする。自然の懐に飛び込むとはそういうものだと思う。そしてそれが好きだ。

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 17:15下山。到着後の一服はたまらなかったと、思う。

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  皆さん無事で何より、笑顔でお疲れ様でした。

山やフィールドで思うこと。

 僕は普段ガイドとしてはカヌーなどの水モノのガイドなので野山をご案内することは多くない。とはいえ個人的に山も好きだし、カメラを持ってその辺のフィールドへ歩きにでかけることは多々あるし、今はてしかがトレイルクラブのメンバーとしてトレイルの整備も行なっているので、摩周岳への道は歩きなれた道でもある。「山のガイド」ではないかもしれないが、そういった点からの「自分なりのガイド」として肌感覚で何か伝わっていたり、何かのキッカケを掴んでいただけてたら、とても嬉しい。今後もガイドメニューにはないがもし問い合わせいただければご案内させていただきます。

 でも摩周岳は行くだけなら正直誰でも行ける山です。山にあるリスク、天気予報の確認と装備だけは甘く考えず、行ってことない人はぜひ行ってみてください(もちろんそういったアレコレも聞きたい!って人はガイド付きもいいかもしれません)。僕が大それたこと言える立場ではありませんが、歩かないとわからないことってたくさんあります。

 例えば、
 身体が火照っている時に肌をなでる風の気持ち良さ。
 車の音のない場所で聞く鳥のさえずり。
 しんどい時下向くと励ましてくれてるのか知らんけどやたら綺麗な花。
 腹減った時に外で食う飯の美味さ。
 一緒にいた人とする何気ない会話。
 上から町を見下ろした時に、普段の考えまで広がる感覚。 

 これは摩周岳や登山に限ったことではなく、自然の中に長く身をおくと、きっと当たり前すぎて普段思わないようなこと、そんな些細なことに喜びを感じると思うし、やはりこういったことはフィールドにで5km、10km、20kmと歩いた時に、1日、2日間、7日間自然の中にいた時に、初めてようやく身体の奥底から感じ取れることかもしれないのです。やっぱりちょっとつまみ食いするくらいでは感じれない領域っていうのもある気がする。それは僕もそう。まだ見えていない世界だらけ。
 あと、そこで得た感覚がクセ付いていくと、普段の生活でも些細なことで幸せを感じられるようになると思うのです。極端な話、太陽が昇って沈むのを見るだけで、季節が変わっていくだけで幸せだと思えます。

自然の中で過ごす →  幸せのハードルが下がる →   幸福度が高くなる

 屈斜路湖に住んで4年目。少し偏った考え方かもしれませんが僕は最近そう思っています。何か前が見えないとき、自然に身を寄せてみてはいかがでしょうか。きっかけがなければガイドとしてその機会をお手伝いさせていただきます。


しかし考えていることを久しぶりに文章まとめると、長くなっていかんな。

 







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