(ライブスコープを買うかわりに、)バスマスタークラシック2022に行くことにした
アメリカにはバスフィッシングのプロ組織がある。
なかでも長い歴史と伝統を誇るのが「B.A.S.S.」だ(以下、バスマスター)。1960年代から賞金の発生するプロトーナメントを開催し続け、現在では世界中に下部組織がある。
その選手たちのピラミッドの頂点にあるのが「エリートシリーズ」というカテゴリー。2022年現在、ここには日本人選手が4人エントリーしている(青木大介、伊藤巧、木村建太、松下雅幸)。
彼らは年間9試合ほどを戦って総合順位を競っているのだけれど、それとは別に、選ばれたプロだけが出場できる特別なトーナメントがある。それが「Bassmaster Classic」だ。
メジャーリーグならワールドシリーズ、フットボールで言うとスーパーボウル的な存在。ここで勝つことは、すべてのバスプロの頂点に立つことに等しい。
2022年は3月4〜6日の3日間、サウスキャロライナ州のレイクハートウェルで開催されることになっている。
今年のクラシックに出場する55人のなかには、ふたりの日本人選手がいる。まずは昨シーズンのエリートシリーズで年間ランキング16位に入った伊藤巧。昨年に引き続き2回めのクラシック出場だ。
もうひとりは初出場の青木大介。2021シーズンにバスマスターOPEN(エリートシリーズの下部シリーズ)で優勝して、クラシックの出場資格を獲得した。
彼が日本のトーナメントを離れ、アメリカでの活動を主軸にしはじめたのが2019年。それと同時にスタートした雑誌連載を、僕が試合ごとに電話インタビューしてまとめていた。タイトルは“IN THE RIGHT PLACE”という。
そんな縁もあって、今年、クラシックに取材に行くことに決めた。
決めたはいいが、大きな問題がふたつある。ひとつはコロナ。そしてお金だ。
今どき、釣り雑誌で海外取材に行かせてくれるほどの予算は出ない。ならば釣具メーカーなどに交渉して、なにか仕事を作って行く? いやー、カタコト英語しか話せない人間がどこまで取材できるのか、不透明なのに「予算ください!」と交渉するほど図太くない。
考えたあげく、自腹で行くことにした。ライブスコープを買ったと思えば安いものじゃないか。ライブスコープの液晶にクラシックの風景が映るとでも?(※ライブスコープに恨みはないです)。続く。