「バス釣りのセオリー」に関する本を作りはじめました。
釣りの本にはいくつかの定型がある。釣り場ポイント紹介。特定の個人のスタイルや流派を解説するもの。自分語りエッセイ。スペシャルで新規なテクニック披露。多魚種の仕掛け図。図鑑系。ビギナー向け入門書。
バス釣りの場合はここに「パターン解説系」が加わる。なぜならブラックバスは季節ごとに特定の行動パターンを繰り返す(と、されている)から。さらに期間を狭めて、どこかの水辺で1日釣りをしたときにも、反応しやすいルアーの種類やバスの居場所などには一定のパターンが見出せる(と、されている)から。
「春、水温が14度を超えるあたりから多くのバスは産卵行動を意識しはじめる。冬を過ごしたディープエリアに隣接するシャローは要チェック。バスたちはいったん産卵場所になるワンドの入り口の岬などに待機していることが多い。こうした場所をステージングエリアと呼び……」
こんなふうにパターンが解説される。なるほどわかりやすい。冬は寒いからディープにいて、そこからシャローを目指すのだから、ふたつのエリアがなるべく隣接しているほうがすんなり移動できる。「バスはワンドみたいな、浅くて温かくて水の落ち着く場所で産卵するのね」というイメージも伝わってくる。よし、今は冬と春の端境期だから「ステージングエリア」を意識しながらやってみよう!
問題は、誰かの語る「パターン」どおりに釣りをしてみても、なかなか結果が出ないということだ。
それが本当に再現性の高いものなら、どんな場所でも誰がやっても役に立つはず。ところが、たとえば琵琶湖の地図を広げてみると、そもそも「ディープに隣接するワンド」って……どこの話? 最大水深が104mある北湖に、冬はすべてのバスが集結するってこと?
いったい「パターン解説系」の本は、なにを伝えようとしているんだろうか。この手の本って、役に立つんだろうか。パターンとかセオリーとかそういう曖昧模糊とした言説に、振り回されてないか。そんな本を、作りはじめました。ぼちぼち続きます。
(数年前に作った青木大介さん『適材適所のルアーセレクト』のキャッチコピーも“さよならパターンフィッシング”だった)