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提案はフォローアセスメントフィードバックがセットだという話

前回ご紹介したTweetの後半部分について解説・考察してみます。

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前回はジゴキシンとマクロライドの相互作用を示唆したところまでを解説しました。
今回は次回の定期採血の予定を繰り上げるよう進言した部分に加えてTweetに書ききれなかった部分に言及します。


提案したら終わりではない

提案するだけなら人をみなくてもできますし、意見だけを述べて去ることが仕事とは認められないのは医療も同じです。

医療現場では患者さんが抱える課題に対して医療チームがそれぞれの専門性を以て意見し合い話し合った結果、次の一手を選択・判断しています。
常に不確定要素を多分に孕んだ状況の中で、より適当と考えられる選択をし、継続的に評価していきます。

本件においても、ジゴキシンとマクロライドの相互作用はあくまであらゆる可能性の中のひとつなわけです。
あくまでその場その場のベストを選び取ったこの提案もまた不確定要素を残したままであり、それを最小限にするフォローが必要です。

今回僕が取った行動と計画は以下です。

1)定期採血の予定を繰り上げてもらう

チームは僕の提案を採択したとはいえ、そうではないかもしれないですよね。

具体的には、提案を聞いた医師と看護師が『なるほど。それなら納得がいくね。』と言い、チームはなんとなく次の患者さんに取り掛かる雰囲気になりました。
そこで『次の採血を繰り上げて早めに見たいです』と言いました。(''見たい''、''見てみたい''という表現をよく使います。これについてもまた・・)
その結果、3ヶ月後に予定していた採血が14日後に繰り上げられることになりました。

この辺りは新人には難しいかもしれませんね。

2)副作用発現の有無を確認する

とはいえ次回の採血までは14日程度空くので、その間はしっかりフォロー、アセスメント、フィードバックします。

①消化器症状
胃がムカムカするといった自覚症状に加えて、食事量などの客観的指標も併せて観察します。
情報収集のためにご家族やヘルパーさん、看護師さんの力を借りることも検討します。


②脈不整、徐(頻)脈

不整があっても無症候性のために経過観察している場合があるため、普段から様子を知っておかなければ評価が困難です。

単独訪問を行い、何も異常がない状態から継続的にみておきます。
つまり、いつもと違う!と気がつける準備をしておくわけです。

③その他の不定な主観的訴え

副作用をどのような形で患者さんが表現するかは教科書通りでいかない場合があるため注意深く観察します。

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あくまで処方提案はフォロー・アセスメント・フィードバック(FAF)がセットで成り立つものです。

ジゴキシンとマクロライドの相互作用を示唆したことはアセスメントとフィードバックにあたるでしょう。
このFAFは医療のPDCAサイクルの中で円環を成して繰り返されていきます(あるべき論?)。

つまり普段の状態を観察(フォロー)し、薬学的に評価(アセスメント)した内容を、医師に伝える(フィードバック)。その結果新たに立てられたプランの結果を観察(フォロー)し・・という営みが薬物治療をより安全で効果的に提供するのです。

いかがだったでしょうか。
本件に絡んで、他にも色々と書きたいことはあるのですがまたの機会に!

ありがとうございました😊

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橋本倫季(Tomoki Hashimoto)
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。