大量の検査結果を適切に評価する方法
今日はアセスメントに必要な各種検査結果・情報提供書類との付き合い方について書きます。
各種情報提供書類とは
採血、心エコー、心電図、下肢エコー、骨密度、便潜血等の検査結果を記したものや診療情報提供書、看護サマリー、介護施設の家族向けアンケート等の他職種のアセスメントを記したものです。
僕の手元には月間でおよそ150枚の書類が来るようです。(昨日数えました笑)
これらはすべて在宅患者さんに関するものですが、医療チーム全員がほぼ時間差なく目を通せるようになっています。例えば採血結果であれば、クリニック→訪問看護師・僕→患者さんという順に共有されます。
他科への外来受診時や退院時の診療情報提供書や検査結果も少なくとも一両日中に僕の手元にいただけるようになっています。
これらにすべて目を通してアセスメントできるまでには少し工夫が必要でした。これまでの書類との付き合い方を変えることで解決できました。
僕なりに工夫した点を書きますので、もしご参考になれば幸いです。
1)書類がタイムラグなく手に入るようにする
そもそも他の医療チームメンバーより遅く手に入っていては効果的なアセスメントにつながりません。
以前は僕の手元来るのはせいぜい採血値くらいで、しかも少し遅れて、こちらからクリニックにお願いして初めて手に入る状態でした。
これを解決するためには他の医療チームメンバーからの自己に対する認識を変える必要があります。
端的に言えば、他の医療チームメンバーにこの人に採血データを共有する価値があると認識してもらう必要があり、この姿勢を示すことから始めます。
看護師さんとの会話や、医師への報告書の中で検査値を根拠に評価を書いてみます。医師とのやり取りも往診同行ができていれば会話がベストです。
例えば、「フロセミドからスピラノラクトンに変えてカリウム良くなりましたね。」のように提案でなく、経過報告のような形でも良いと思います。(薬剤師が言い出さなければ忘却されていることもあるので言う価値はあると思います)
これを繰り返せば周囲の認識も変わり、検査値をタイムリーに共有してもらえるようになりましたし(本当にありがたいです)、なにより治療の質が上がることで患者さんが良くなります。
まずは患者さんに貢献する姿勢を口に出して表現してみることが大切だと思います。思っていたり、報告書に書いているだけだと難しいです。
2)書類の薬歴への取り込み作業をタスクシフトする
月間150枚に上る書類が毎日数枚ずつに分けて手に入るようになると、割と大変なことになります。
具体的には書類をスキャンしてファイル名を入力して薬歴に取り込んでアセスメントするという作業に追われることになります。(以前は検査値を手入力していたこともありました・・)
そこで以前ご紹介した図を用いて業務を整理しました。
上記の作業を仕分けすると、最終段階の検査値に対するアセスメント以外は薬局パートナー(非薬剤師スタッフ)にタスクシフトできることがわかります。
そこでチームの薬局パートナー3名にお願いをしました。今ではほぼ当日中に薬歴に取り込んでくれています。
具体的な業務フローは、僕がスキャンして欲しい書類を指定の場所Aに置く(スキャンと書かれた箱)→その書類を薬局パートナーが当日中に薬歴に取り込み→薬局パートナーが取り込み済の書類を指定の場所Bに置く(スキャン済みと書かれた箱)→僕が薬歴・報告書を清書する際にBを確認するという感じです。
最終的に書類が僕の手元に戻ってくるのがポイントです。
スキャンした直後に書類を廃棄してしまうと、書類がスキャンされたことを僕が認識できないためです(ダメ人間)。
ここで捻出した時間・気力・体力をアセスメントに集中させることができるようになりました。
3)スキャンする前に簡単に評価をメモしておく
「僕がスキャンして欲しい書類を指定の場所Aに置く」前に簡単にデータを評価した内容を書類にメモしています。
異常値や、あとで報告書を清書する際に改めて確認したい数値や所見などに印やコメントをつけています。
どうせ書類を受け取った際と報告書を書く際に2度目を通すことになるなら、受け取った際に(1度目)ある程度処理しておくとラクです。(基本的にタスクは受け取ったときに処理しておくことを心掛けています。その方が脳が楽です。)
画像は今日書いたメモです。
虫垂炎の術後でCRPが異常値を示していますが、術前に比べて低下しており経過狩り良好なことを示しています。これを書いておかないと、あとで検査値をみたときに「うわーー!炎症反応でてるやん!なにこれ!」と小パニックになります(ダメ人間)。
今日はここまでです。
薬局パートナーと連携することで捻出した時間・気力・体力を患者さんのためのアセスメントに集中させることができるようになりました。
同じようにお困りのどなたかのご参考になれば幸いです。
ありがとうございました。