リーズユナイテッドから見る新時代のマンツーマン
皆さんこんばんは。お久しぶりです。全然更新できずすみませんでした。本当はCL決勝のレビューを書こうと思ったのですがDAZNのアジア市場縮小(?)かは分かりませんが、CLが見れなくなってしまったので内容を変えてお届けしたいと思います。今回はEL Loco(狂人)ことマルセロ・ビエルサが率いるリーズユナイテッドのマンツーマンディフェンスについて掘り下げていけたらなと思います。なおオフェンスにつきましては今回は取り上げないのでご了承ください。
1.リーズのスタメン
リーズのスタメンは以下の11人です。
2.マンツーマンって何?
ビエルサのチームは現代では珍しいマンツーマンで守ることが特徴です。マンツーマンとはディフェンダーがマークする相手選手を決めて、その選手をマークし続けながらディフェンスをすることです。現代で主流(というか当たり前の)ゾーンディフェンスのようなマークの受け渡しなどは存在しません。このマンツーマンはアリーゴ・サッキが率いるACミランのゾーンディフェンスが姿を表すと同時に、サッカー界の主流のディフェンスメソッドでは無くなってしまいました(セットプレーなどではマンツーマンを採用しているチームもありますが、組織的守備の局面でマンツーマンを採用しているチームはほぼ無いです)。そんな現代の潮流に逆らうかのようにビエルサはマンツーマンを採用し、20-21シーズンのプレミアリーグ開幕戦で、昨年王者リバプールを相手に素晴らしい戦いを見せてくれました。
3.リバプール戦でのマンツーマン
リーズはリバプール戦でほぼマンツーマンと言える守備をしていました。ほぼと書いた理由ですが、一部ゾーンディフェンスのエッセンスも加えられているからです。今から具体的に説明します。
まず右SBのエイリング、左SBのダラスは基本的にマッチアップするウイングをマンマークします。エイリングはマネを、ダラスはサラーをマークします。そして右SHのエルデル・コスタ、左SHのハリソンはそれぞれマッチアップするロバートソン、アレクサンダー・アーノルドをマンマークしていました。またアンカーのカルビン・フィリップスはワイナルドゥムを、2列目のクリシはナビ・ケイタ、パブロ・エルナンデスはヘンダーソンを基本的にマンマークしていました。まとめると以下のようになります。
基本的にマンマークなのでリバプールの選手がポジションチェンジをいくらしても、リーズの選手はそれについていって対応していました(例外もあるのですが、それについては後述します)。特に右SBのエイリングはマネが逆サイドに移動しても、それにピッチリついて行っていました。彼はほとんどマネに仕事をさせず、十分な働きをしたと思います。また前半途中に、エルデル・コスタとハリソンがポジションをチェンジしていたため、その時はハリソンがロバートソンを、エルデル・コスタがアレクサンダー・アーノルドをマークしていました。
そしてCBのコッホ、ストライクは2人でフィルミーノをマークします。この時1人がフィルミーノのマークに行き、1人はカバーのポジションを取ります。要するにゾーンディフェンスです。フィルミーノがボールを受けるサイドに応じて、CBの2人はマークを受け渡しながら守っていました。
*図のようにフィルミーノが左サイドに落ちてボールを要求した場合にはストライクがマークに行き、コッホはカバーに入る。
最後に1トップのバンフォードはリバプールのゴメス、ファンダイクの2CBに対してサイドを変えさせないようにパスコースを誘導しながらアプローチを行なっていました。
4.ゾーンディフェンスのエッセンス
しかしリバプールの選手は驚異的なフィジカルや卓越したテクニックを持っているため、マークを外される、またはDFが突破されるという場合も当然あります。そこでそのような場合に備えて、ビエルサはゾーンディフェンスのエッセンスを加えることで対応しようとしていました。
まずは先述した2人のCBのところです。2人でマークを受け渡しながらフィルミーノを監視します。
またSBとCB間でもマークの受け渡しが行われる場合があります。サラーがハーフスペースに移動してボールを受けようとした場合には、CBのストライクがサラーをマークして、SBのダラスはアレクサンダー・アーノルドにアプローチに行くというシーンがありました。
加えてサラーがダラスを突破した際には、左SHのハリソンが戻ってきて、カバーに入る時もありました。
他にもカルビン・フィリップスが例外的にカバーのポジションを取る場合もあります。
例えば右サイドでマネがボールを持っていた場合、フィリップスがエイリングのカバーをするようなポジションを取っているシーンもありました。
さらにフィリップスは前線からの守備でもカバーに入る場合があります。
バンフォードがファンダイクへのパスコースをカットし、アリソンからゴメスへパスが出たシーンです。この時ヘンダーソンをマークしていたパブロ・エルナンデスは、カバーシャドーでヘンダーソンへのパスコースを消しながらゴメスへアプローチしています。その時フィリップスがポジションを前に移動して、パブロ・エルナンデスのカバーをしながら、ヘンダーソンにもアプローチに行けるポジションを取っています。
5.まとめ
ビエルサ率いるリーズユナイテッドではマンツーマンをベースとしながら、マークの受け渡しやチャレンジ&カバーなどゾーンディフェンスのエッセンスを加えて、インテンシティの高いサッカーを展開し、リバプールに善戦していました。以前彼がビルバオを率いていた時は、ガチガチのマンツーマンだったそうですが、マルセイユ時代から受け渡しなどゾーンディフェンスのエッセンスを導入し始めたそうです。現在のリーズではアンカーを採用することによって、より受け渡しやチャレンジ&カバーなどのゾーンディフェンスで守る場合とマンツーマンで守る場合を使い分けやすくしているのかなと感じました。
以上で終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。