【古典邦画】「帝銀事件 死刑囚」
NHKの特集「下山事件」を見逃してしまったので、Amazonプライムで、1964(昭和39)年の熊井啓監督のデビュー作となる「帝銀事件 死刑囚」を。
社会派の熊井監督らしく、敗戦で混乱を強いられる日本人のジレンマを描きつつ、新聞記者の視点を中心に、実際の映像を交えて、犯人とされた画家の平沢貞通を描くドキュメンタリー風のドラマだ。
そういえば、昔、事件の舞台となった帝国銀行椎名町支店があった場所を散策したなぁ。
なにかと怒鳴りあってケンカをする新聞記者の演出は、ちとやり過ぎじゃねえのかい。まだ新聞記者が正義と真実を代弁すると思われていた時代だね。
平沢が、なんか呑気過ぎるけど、当時のことだから、多分、暴力も含む厳しい取り調べが行われて、諦めの心境で“自白”を認めたと思われる。
大体、映画に描かれた通りに、平沢は犯人ではなく、GHQ他の思惑に合致したスケープゴートとされたのであって、真犯人は、やはり関東軍731部隊の関係者だと思う。つまり冤罪だ。
直接の犯行の動機は金を奪うことだった訳だが、731部隊の関係者だったから、その毒薬製造技術をソ連より先に横取りしたいGHQが犯人隠匿を図ったものだと考える。GHQから追求を止めるように要請もあったし。
この占領軍が支配する時代は、インボー論の材料になりそうな、きな臭い謎の事件が多発している。
平沢は、確定死刑囚となったが、獄中で1987年まで生きていた。
新聞記者と事件の生存者である女子行員の結婚は、創作ではなく事実であった。
平沢の遺族は、まだ再審請求を続けている(2015年)。
不幸にも、大きな社会の渦に巻き込まれて、究極には、理不尽にも死ぬことを余儀なくされるということは、日本ではたまに起こることだ。家族がどこまでいっても、マスコミや世間に追われるということも現代に通じる。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。