「ハウルの動く城」
なんだかんだ言って、宮崎駿監督作品はけっこう観てきた俺。今度は、2004年の「ハウルの動く城」だ。
原作となるファンタジー小説があるとは言え、よくぞこんなに、次から次へと空想の世界を創造できるものだね。ハリー・ポッターみたいだ。
冒頭から、ガシャン、ガシャンと4本の細い足で動く、重ねたブリキの不細工な怪物の様な、デッカイ城(!)が出て来て、さすが宮崎監督だと感心する。
街の帽子屋で働く19歳の少女ソフィーは、裏道で兵隊にからかわれていたところを美少年の魔法使いハウルに助けられる。そのハウルも、彼を付け狙う魔女に追われていた。ハウルが気になったソフィーはその夜、魔女の呪いで老婆に姿を変えられてしまう…と話が進んでいく訳だが、基本的に少女が夢を叶える恋愛物語だと思う。
地味な少女がハウルと出会い恋心を抱き、紆余曲折、いろいろあって、最後はハウルと恋愛関係になって家(城?)とファミリーまでゲットする。ハウルの声もキムタクだし。
宮崎監督の少女恋愛志向?が現れたかもしれないが、これまで通りに、少女が世界を握ってるという“処女信仰“はそのまんまだ。ソフィーの「ハウルは弱くてもいい。いつものハウルで」という台詞でもわかる。「私が闘う。ハウルを守る」みたいな。
ただ、他の作品みたく日本の民俗的ではなく、欧州的な作風だ。
基本はソフィーのハウルを相手にした恋愛物語がベースだと思うが、そこに宮崎監督ならではのグチャグチャごちゃごちゃ変わっていく要素をぶち込んだ感じだ。
宮崎駿監督作品は、「自然と処女」信仰だと思ってたけど、善悪も、右左も…自然でも文明でも、戦争でも平和でも、特定のイデオロギーを抜きにした、全部ひっくるめての大好きな表現行為(アニメ)に対する大賛美じゃなかろうかと思った次第。「俺はこれが好きなんだ、それ以上でも以下でもない」というような。奥が深いと思う。
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