【古典邦画】「女人哀愁」

成瀬巳喜男監督の、1937(昭和12)年の作品「女人哀愁」。YouTubeにて。

多分、30年代当時の、自意識に目覚めたモダンな女性を描いたものだと思うけど、主演は入江たか子で、ラストの、涙目になりつつも、夫に、シッカリと自分の考えを丁寧な言葉で伝える彼女は、メッチャ美しくて、凛々しくて、ステキである。

親の言うなりに、なんとなく金持ちの家に嫁いだ広子(入江たか子)。
あからさまな嫁いびりってわけじゃないけど、嫁入り先で、都合の良い便利な小間使いのように扱われてしまう。

その家の娘の自由恋愛を応援することになったのを機に、それまで自分を殺して、大人しく振る舞っていたのが、家での自分の扱われ方に異議を唱えて、自分の本当の気持ちを伝えて、「お暇する時が参りましたわ」と言い放ち、家を出て行く。

もしや、広子が気さくに何でも話せる、いとこの良介とくっ付くかなぁと思ったけどそうじゃなかった。

広子は、その良介に言う。
「私、もっともっと苦しまなきゃいけないの。そして、自分を作りあげて、作り直していくの。何が世の中で一番美しいか、それがわかりさえすればいいの。ずるずるになっちゃいけないわ。仕方がないじゃいけないわ。人間の中にはもっと尊いものがあるはずよ。私、それをどこまでも追い求めていくの」。

やっぱり男は総じて情けなく描かれている。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。