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「廃市」
偶然、故人となった大林宣彦監督の「廃市(はいし)」(1983年)を借りてたよ。
大林監督は、面白く観たのは尾道三部作の「転校生」だけで、後のアイドル映画など、そんなに観てるわけじゃないけど、つまらないものばかりで好きじゃない。
この作品は作家・福永武彦原作でちょっと期待したけど、やっぱりつまらなかった。
「転校生」の小林聡美が主演で、尾美としのりも船頭役で出てる。
運河だらけの町、福岡・柳川市での、大林監督お得意のご当地舞台映画だ。
卒論執筆のために柳川市の旧家に滞在した大学生。そこの美人姉妹が一人の男(姉の夫)を巡ってドッロドロの愛憎劇を…いや、単に好きな想いを巡らせ、大学生がそれを見てるという、なんとも中途半端な、ハッキリとしない、表面だけをさらったような、薄っぺらい、何を表現したいのかわからないクソ映画だった。
小林聡美と根岸季衣が美人姉妹って、それはないだろう。若い小林聡美の80年代風可愛さは好きだけどさ。
当時、新人の山下規介の演技もまだ下手で危うい。
姉妹から好かれる男が峯岸徹で、これはピッタリ。男から見れば単なる悪人ヅラでも、若い女から見れば、多分、影のある、憂いを帯びた、アッチも強そうな魅力的な顔で、さすが故・岡田有希子を狂わせただけあるね(笑)。映画で彼は結局、他の愛人と心中しちゃうし。
古い運河だらけで常に水が流れる音がしてるのは風情があって良いと思うけど、何回も「この町はもう死んでるのよ」「こんな田舎町は終わり」等と貶めなくてもねぇ。当時は柳川市の人も良い気分じゃなかったのでは。
ちょっと期待したけど、エロチックなことは何もなし。
演出や撮り方も下手クソにしか思えない。
福永武彦の原作もこんなにつまらなかったっけ?
出てくる柳河駅と佐賀線はすでになく、廃線となってるんだよね。見に行きたいなぁ。
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