初の写真展示を終えて
初めて自らも展示準備をした写真展が終わり、早くも1週間が経ちました。
展示終了後の翌日から普段の生活が当たり前のように始まり、一気に現実世界へと引き戻される日々にゆっくり展示を振り返る余裕がありませんでしたが、ようやく少し落ち着いたので少し備忘録としてこちらを残します。
まずは展示詳細について。
展示のきっかけ
今回機会をいただいたのは、僕がメンバーとなっている別所隆弘さんのオンラインサロン「B’s」の合同展示会でした。
テーマは「壁」
アナウンスがあったのは確か2022年11月末だったかと思います。
折しもこの月の中旬、父が約2年間闘病した末に他界しました。
そして僕が「壁」というテーマに選んだ作品は、父の病が分かってから他界するまでに撮りためていた、父と母の写真でした。
「壁」というテーマに選んだ所以は以下の通りです。
準備期間
展示アナウンス後、実際に展示が行われた2023年4月25日から30日まで、準備期間としては約5ヶ月ありました。その間、「月に最低10箇所の写真展を見にいく」ことを課して、休みの日にはいくつも展示会場をハシゴしました。その中には、今回実際に展示が行われた渋谷のギャラリー・ルデコ での展示も訪れました。
ただ、完成された展示を見に行くのは、どのように設営から撤収までが行われているのかもわからなかった自分にとっては、なかなかリンクできないところも多く、結果ぼんやりとした感じでしか見れてなかったんだなと今振り返ると実感します。
年が明けて早々の時期は、当然既に展示予定の作品撮りは終わった状況である程度候補も決まってはいたので、準備に関しては悠長に考えていたところがありました。その反面、プリント発注は行ったことはあっても額装までは自ら行ったことや発注したこともなかったため、本当に展示することができるのかは、最終的にお願いした銀座クリエイトさんで出来上がりを展示前に見せていただくまでは半信半疑でした。
今回は設営に関われなかったので、次回チャンスがあれば携わってみたいです。
展示を終えて 改善点
展示した作品は全てで6点でしたが、モデルの両親を強調したものばかりだったこと。全体的に単調な感じがしました。深く考えを巡らすような、違ったアプローチの作品もあってよかったのでは。
キャプションボードや名刺を用意しなかったこと。
展示作品のバックグラウンドを説明するキャプションについては、始まる前にはそこまで必要ではないのではと思っていました。撮った作品だけを見て、興味を持っていただけたらと考えていました。当日来館者に配布予定の冊子で、作品やテーマについては語っていたので補完できるかなと。
あと、ふと思ったことは、配られる冊子を見てから、或いは見ながら展示を楽しむというより、当日はまず展示作品から見るよねという話。そして、すぐ横には周りには、圧倒的に魅力的な他の展示者の皆さんの作品で溢れているわけです。
あと余談として、少し期待をしていた冊子の納品が遅れ、初日から配られなかったごさんもあり、在廊した初日はほぼ自分の作品を通り過ぎる方ばかりでした。その後、3日目から急遽キャプションボードを展示近くに用意。少しお話ししたり、立ち止まっていただける方が増えました。
やはり立ち止まって見てもらわなければ始まらない。
作品のみで立ち止まるほど絶対的な魅力は持ち合わせてないわけで、補う努力た準備を怠ったんだなと。
つまりは、展示周辺のデザイン力みたいなものが足りなかったです。
よかった点
そんな中でも、在廊している際、数少ない方々ですが気に入っていただける方お話できたこと。感想やお話を、直接リアルタイムで生の声を伺えることは、SNSでは得られない感覚でした。
来場者や出店者の方々であってお話した方々、みなさん写真が大好きで自分の知らない分野の方のお話を伺うだけでも、かなり刺激的で新鮮でした。撮影先で偶然お会いしたカメラマンさん達と会話するというような機会も、ここ数年のコロナ禍の元でほとんどありませんでした。
「実際に対面でお会いして、大好きな写真の話をする。」
ここ数年で忘れていた感覚を思い出させていただいた気がします。
また、今回の写真展がなかったら、テーマが「壁」というものでなかったら、表だって展示や発表することもなかったかもしれない、あまりにも個人的な作品ばかりでした。
そのような作品を、いろんな方々にみていただき、中には個人的にお世話になっている方も来館いただき、父と母を思いがけずこのような形でも紹介することもできたこともありがたかった。
そして、これから
期間だった4月25日から30日までの6日間、在廊したのは4日間でした。
昼から終了時間の21時(最終日は17時、その後撤収)まで在廊。その後帰宅すると普段は感じないような疲れを感じました。初日だけかと思いましたが、その後も毎日。体力に自信がない方では全くないのですが、ただただ何もしたくないほどの疲れを毎回感じました。何が原因なのか、今でも考えることがありますが、はっきり納得いく答えは見つかってません。
桜と花火を撮りたくて手にしたカメラ。フィルムからデジタルに移行し、その間時間を見つけては日本の美しい風景を追いかけました。そして2020年のコロナ禍、今までのようなフットワーク軽くカメラと一緒に旅をしていた生活が一変しました。次第に選ぶ被写体が、風景写真からごく身の回りのものに。そんな折、大好きな写真家のハービー山口さんに個展でお会いする機会がありました。お話しの中で「人は撮らないんですか?」と聞かれた際に、『綺麗に見た目よく撮ってあげたいけど、そのような被写体の魅力を引き出すことなど今の自分にはできないだろうから撮れない。自信がない。でも、ゆくゆくは撮ってみたい。』というような言葉を返したところ、「撮りたいという気持ちがあるから、いつか撮るようになりますよ。」と言われました。気づけば、最初の展示に人物を撮影したものということが、今考えるととても面白いです。
いろんな方の写真展示を見る機会も増え、自らの被写体の傾向の変化、キラキラした美しい風景写真から少しダークで派手さのない街のスナップも最近は好んで撮るようにもなりました。ただ、移動緩和が徐々に進んでいく2023年の5月以降、再びキラキラしたものを追いかけたくなるのか、これからどのような方向性に向かうのかは、もしかしたらまだはっきりしていないのかもしれません。
ただ、初めての写真展が終わった後に思ったことは、とりあえずほっとしたという安堵の気持ちと、新たなる撮影への欲求でした。
父が亡くなってすぐは、カメラを持ち歩くことを少しやめていた時期もありました。ようやく3月ごろから写欲が戻ってきて、今までとは違った作風のアプローチも試みるようになりました。やはり写真を撮る、表現をすることは好きなんだなと。
とりあえずはゆっくり撮影したい。
次に展示に臨むときはどのような作品だろうか。
楽しみです。
最後に、
今回展示に協力していただいた方々、さまざまなアドバイス一つ一つがこれからの糧になります。そして別所さんを初め、このような機会を設けていただいた運営スタッフの皆さま、わざわざ足を運んで見にきてくださった方々、ご一緒に展示・在廊時間を過ごした心優しきメンバーの皆さま、おかげさまで充実した楽しい時間を過ごすことができたことを心より感謝いたします。
ありがとうございました。