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アメリカ横断旅行に出るきっかけを探しているという話

20歳の時、アメリカを旅行した。ロスからシカゴ、シカゴからニューオーリンズ、ニューオーリンズからロスを旅客鉄道 Amtrakで。

一緒に行ったのは高校のときの親友。感性が同じ子で、好きな本や音楽、映画が似ていて、すきな本を貸しても借りても共感できる、数少ない友達。いまでもかけがえのない親友だ。

本当は車で横断する予定だった。しかし免許を取ってすぐだったため、あえなく断念。鉄道に変更した。金銭的にも余裕がなくて一ヶ月ではなく二週間になったし、横断ではなく、半周になった。

それでも、月並みな表現にはなるが「一生忘れられない旅」になった。

ロスの空港で到着早々「宿取ってあげるわよおばさん」にぼったくられたこと、ロスからシカゴまでのコーチシート(普通の座席)では、後ろの黒人親子のいびきが大きすぎて寝れなかったこと、Amtrakで食べたスナック・日替わりで一緒になる旅行者と笑いながらすごしたこと、地平線から昇るとんでもなく美しい朝日、シカゴで見たほとんど理解できなかった映画、ニューオーリンズでジャズの聖地プリザベーションホールでの聞いた生バンド、同じユースに泊まっていた日本人たちと食べたオイスター、彼らと飲みに行き、夜中にストリートで人生を語りあったこと。

全部が全部、忘れられない思い出だ。

そもそもアメリカに憧れた理由はなんだったんだろう。思い返すと一番古い記憶は映画『テルマ&ルイーズ』だ。

主人公の2人、テルマとルイーズは、アーカンソー州に住む親友同士です。テルマは支配的な夫に縛られた専業主婦で、ルイーズはウェイトレスとして働く独立心の強い女性です。2人は週末旅行を計画し、日常から逃れるための冒険に出かけます。

しかし、旅の途中で事件が発生します。立ち寄ったバーでテルマが酔ったところを男性に襲われかけ、ルイーズが彼を射殺してしまうのです。この出来事をきっかけに、2人は逃亡生活を余儀なくされます。

旅を続ける中で、2人は自分たちを取り巻く理不尽な社会や抑圧と向き合いながら、絆を深めていきます。
最終的に、2人は警察に追い詰められますが、自分たちの選択を尊重する形で壮絶な結末を迎えます。

テルマ&ルイーズのあらすじをChatGPTに書いてもらいました

多分初めて見たのは中学生かな?大好きだったんです。この映画。主役の2人がカッコよくてカッコよくて。多分、私の憧れの原点。売れる前のブラピ兄さんもカッコよかった。アメリカ=テルマ&ルイーズ=解放・自由みたいなイメージがあったのかもしれない。

映画を親友にも紹介したらドはまり。二人で高校生の時からアメリカへの憧れを募らせていた。

さらに、私が当時好きだったB'Zの『赤い河』という歌の詞にこんなフレーズがあった。

何億の月日をかけ大地を削ってゆく 泥も涙も 飲み込んで流れる

B’Z『赤い河』

タイトルの「赤い河」とは、アメリカにあるグランドキャニオンのコロラド川が由来になっているらしい。絶望している主人公が、壮大な赤い河を見て、自分の悩みなんてちっぽけだぜ!と思って前を向いていくような詩

この河を見てみたいと思った。(学生時代の私、相当鬱憤が……)最終的に河は見れなかったけど、リアルで見た赤い大地は人の悩みなぞ鼻息で吹き飛ばしてしまうくらい、強くただそこにあって、私たちを包んでくれた。

とにかくこんな憧れがつまったアメリカ旅行は、ほんとうに素晴らしい旅だったのだけれど、私は当初の予定通り、アメリカを横断できなかった悔しさというか、消化不良な思いをいまだに持ち合わせている。

それは24歳の時に親友と計画したリベンジアメリカ横断旅行が、直前で消えてなくなってしまったせいもあるのかもしれない。出発まで2週間、今回は計画もお金も免許も準備はできていて、あとは飛行機に乗るだけだった。

そんなときに流れてきた、ワールドトレードセンターへ飛行機が突っ込んでいく映像。さすがにその時点でアメリカに行くことはできなかった。

そこから、仕事が忙しくなり、結婚し、子どもが生まれ、気が付いたら、あれから20年以上も経ってしまったが、今でもアメリカ横断への憧れは喉にささった小骨のように、私を小さく刺激し続けている。

親友とたまに会うとその話がでる。色々落ち着いてきた今だからこそいけるかもしれないね。と。

でも、今現在、私はアメリカ横断旅行はしていない。年齢的にあの時のような無茶な旅ができないからだろうか?それとも、もうそんな体力はない?

でもきっとこれらが理由ではないのだ。テルマ&ルイーズに憧れたような、赤い河を見たいと切望したような、そんな「情熱」が今はない。必要なのはきっと「情熱」なんだ。

アメリカ横断という喉に刺さった骨を、抜きたくなるほどの「情熱」を見つけられた時に、私はまた旅にでるのだろう。

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