無題~詩~2021・8・4
西日が差す頃
ぬるい電車に乗って
ぬるい世界に旅に出る
僕の命は
ありがたいことに
このぬるいサイクルで
繋ぎ止められてる
毎朝定刻に乗る電車
毎朝定数詰め込まれる人
あの日
なにかの仇のようにその決まった銀色のヘビに
一矢報いてやろうと
頬を紅潮させて
やぁやぁと身体を揺らしていた
僕の人生のなかで
あの日は
1番勇敢で無敵だった
不死身な気さえした
けれど僕のそんな意気込みなんぞ
定数は分かるはずもなく
僕はワラワラと銀の蛇の腹に連れ込まれた
あの日 僕は勇者にはなれかかった
そして
ワラワラと追い出された次の駅で
僕はぬるくなった
西日が差す頃
僕は働きに出る
前の仕事より格段に収入は落ちたよ
でもね
ぬるいサイクルでも生きられる
それはそれで楽しめる
そんな意気込み