Withコロナ時代の観光・文化・レジャー施設が実施すべき感染拡大防止のためのDX推進について
昨日18:00から安倍総理の記者会見にて、39県の緊急事態宣言の解除と、それらの地域での81団体の感染予防ガイドラインを厳守した上での経済活動の再開が表明されました。それを受けて、当社では緊急経営会議を開き、自社開発の電子チケットシステムの初期導入費(端末費用含む)の無償化を決定、プレスリリースを出しました。リリースは22:30過ぎのことです。
なぜ無償化によるシステム提供なのか、その理由をまとめます。
■感染経路と対策の整理
まず私自身、防止すべき感染経路(目的)とその具体的な対策(手段)、「3密」というキャッチコピーを混在していたので、厚労省の情報と知人の疫学者からの助言を元に整理をします。(感染症素人の私が解釈のために整理しているものなのであくまでも参考までに)
感染経路(防止すべき事柄・目的)
1)接触感染…ウィルスのついた手で目・鼻・口を触る
2)飛沫感染…ウィルスの含まれた飛沫を鼻・口などから体内に吸収する
具体的な対策(手段)
1)消毒(手指と環境)
2)換気 →密閉対策
3)2m以上のソーシャルディスタンス →密集対策
4)マスクの着用 →密接対策
5)保菌者の隔離(体温と症状の確認と隔離)
消毒の必要性は接触感染を避けるためであり、換気の必要性は飛沫感染を防ぐためです。ソーシャルディスタンスやマスクの着用は両方に有効な手段と考えられます。3密とはこれらのわかりやすく総称するためのキャッチコピーの役割を果たしています。
施設運営においては、上記の対策手段を様々なオペレーションの場で講じることができるかが、感染拡大防止において重要な論点となります。
■感染拡大防止対策に有効なオペレーション
施設運営における感染拡大防止のためのガイドラインとして、公益財団法人日本博物館協会の「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」が網羅性が高くまとまっています。
接触感染を防ぐ一番有効な手段は、そもそも接触しないことです。上記のガイドラインにもありますが、施設運営において、物理的な金銭のやりとりが発生する現金決済はリスクがあります。また、2m以上のソーシャルディスタンスを実現するためには、施設の敷地面積あたりに収容可能な人数を定義し、制限する必要があります。
それらのリスクを回避するための手段として、当社が提供している日時指定電子チケットシステムが有効であり、感染拡大防止に寄与できると判断したため、無償で提供することを決めました。
チケットの決済はオンライン、キャッシュレスで事前に完了し、また、入場時は端末でのQR消込みのため、現金の受け渡しや、チケットを手渡して半券をもぎるといった対人接触が必要ありません。また、日時ごとに販売上限数を設定できるため、入場人数の制限が可能です。
■消費者の満足度につながるUXの課題
私は5歳の子どもの父です。
Beforeコロナの平時では、子どもを連れて遊園地・動物園・水族館・プール・博物館・キャンプなど沢山の施設に毎週のように連れて行っていました。
チケットの購入は窓口に並びます。購入したチケットは入り口で渡して半券を戻してもらい、同時に施設案内のパンフレットをもらいます。一般的にはこれら2つの工程を経てようやく入場するわけですが、夏の繁忙期などは子連れは大変で、チケット売り場は混在していたり、コンクリートの照り返でとにかく暑かったりします。また、列に並んでいる間も、子どもは早く遊びたいのでゲートに走り去って行き、捜索活動を繰り広げることになります。
私達はスマホ時代に生きています。
家でも移動中でも、スマホでソーシャルログインでワンタップでチケットを購入し、そのままゲートに向かい、スマホをかざしてスムーズに即入場、というのが本来の姿だと思います。
これら平時のオペレーションの不便も、感染拡大防止のためのDX推進により一気に解消されていきます。また、施設としてもこれらのオペレーションに人件費を投資せず、施設内での顧客満足度向上に投資ができます。
■終わりに
私達は命を脅かす感染症から身を守らなければなりません。他方、自粛が長期化することによる、経済的打撃も避けなければなりません。これらの折り合いを見つけていくことが、いま時点での日本政府の決定ですので、その指針の中でできることをすべくこの決断をしました。
企業として経済的な見返りを一切期待していない、というのは綺麗事過ぎますので、もちろん中長期的には返ってきて欲しいなーという期待を込めてのwin-winとなるであろう判断です 笑。
自粛生活の中で、私たちは家族との絆、おでかけの大切さ、遊びの尊さを改めて実感しました。withコロナ、afterコロナ時代における、人間の幸福実感と、本質的価値を「遊び」を軸として追求していくつもりです。
■追記(5/19)
文化庁から、文化施設の感染症防止対策事業(補助金)が出ました。時間制来館者システムの導入経費として上限300万円で2/3補助が受けられます。導入費のみならず、顧客に対するシステムの周知にも活用できるようです。