[tabinote #13]旅のスタイルは人それぞれ
プーケットでフランス人のトーマスと仲良くなり、有名なビーチ沿いの町で一緒に数泊過ごした。
4人ベッドドミトリーには僕とトーマス、それとカナダ人のキャシー、オーストラリア人のダンが泊まっていた。
ドミの中に共同のトイレとシャワーがあり、男3人は特に問題なかったけど、とびきり美人なキャシーが問題なく僕らと一緒に生活していたのには、外国人と日本人の違いを感じざるをえなかった。
実は、この町にやってくる際、僕とトーマスは別々で移動していた。
トーマスは僕より1日先に到着していて、後から僕が追っかけた形になった。
彼は、僕が到着するとどうやってここまで来たかと尋ねた。
僕は最初バスに乗ろうと思ったけど、バスが全然来ないため、結局バイタクで来たことを話した。
バスだったら30バーツのところ、バイタクは交渉して150バーツ支払った。
トーマスは、呆れた顔をしてこういった。
「とも、バイタクは贅沢だよ。最低でもバスを捕まえなきゃ。俺はスケボーできたからタダだぜ?」
なんとなく、彼がいってるように自分でも贅沢な移動をしたとは思っていたが、あの炎天下の中でこれ以上待てないというところまでバスを待って、それでも捕まえられなかったのだから仕方ないとも思った。
また、ある日、僕達は日中皆別々に行動していた日がある。
部屋に戻るとトーマスがいて、彼からどこ行ってたのかと聞かれた。
あそことここに行って、最後はあまりに暑かったからマクドナルドに入って涼しんだよと笑って答えると、トーマスは「バックパッカーは決してマクドナルドになんて行かないぜ」と言った。
ある朝は、僕がシャワーを浴びて髪をバスタオルで乾かしながら整えていたら、同室のダンから「バックパッカーは髪型なんて気にしないぜ」と言われた。
みんな、それぞれの「旅人とはこうあるべきだ」というルールを持っていることを知った。
しかし僕は、その全てがどうでもよかった。
日本の社会で今までずっと「have to」ばかりにフォーカスして生きてきた。
ああしなさい、これをしたらダメだ。いついつまでに完成させないと。提出期限、レポート、宿題、行儀良く。全てhave toの世界だった。
旅はもっと自由でいいと思った。
僕は「want to」に従って旅がしたかった。
だから、食べたいと思ったものを食べるし、行きたいと思った場所に行く。
旅に食べなきゃいけないものもなければ、行かなきゃいけない場所もない。
自由。それが僕の旅のテーマであり、唯一のルールだ。