[travel note #44]いきなり洗礼を受けるインド
チェンナイで初めて迎えたインドの朝は明るく清々しいといった印象だった。
ここに来る前は、インドと言えば汚い、臭い、大勢の人、なんてイメージがあったが、人はつくづく自分の想像で世界を作り上げてしまっているのだと実感した。
僕達は初日だけこの宿に泊まり、今日は自分たちで安宿を探すことにしていた。
部屋に荷物を置いて、セントラルの方へと出向くことにした。
インドで初めて捕まえるリキシャ。
交渉もうまくいき、すんなりと乗ることができた。
なんだ、思ってたよりも色んなことが簡単じゃないか。これならインドでもやっていけるかもしれないと思った。
そして、駅が向こうに見えてきたところでリキシャは何故かストップした。
運転手は振り返り、僕達の方を見てこう言った。
「交渉した50ルピーだとここまでが限界だ。あそこに見えているのが駅で、もしあそこまで行きたかったら、もう50ルピーだよ」
ん?笑
僕達は駅まで50ルピーという交渉で承諾したはずだったのに、いきなり道の途中で再交渉が始まったのだ。
これがインドか、、、
僕は色々と初めに交わした交渉について延々と戦ったが、敵わなかった。
相手は頑として自分の意見を主張してくる。
なぜインド人がこれほど強いのか、僕なりにインドを旅して得た教訓はこうだ。
彼らは圧倒的に時間を持っている。ということ。
別に、このまま延々と十時間でも首を縦に振らずにいても、彼らにとって全く問題ない。しかし、僕達は時間に追われていない旅人と言っても、こんなところで一時間も無駄な戦いをしたいとは思わない。
時間を圧倒的に持っていることからくる余裕を武器に彼らはいつもこうして戦いを挑んでくるのだ。
僕達は仕方なく、OKと言って駅まで行ってもらう事にした。
何事も経験であり、勉強である。郷にいれば郷に従う。
これを教訓に、次回からリキシャに乗るときは最初に目的地と値段を交渉し、さらに目的地につかなければ料金を払わない、と約束してから乗り込むことにした。
あと、もう一つ気をつけなければならないのは、通貨の単位だ。
例えばセントラル駅までいくら?と尋ねて、相手が50とだけ答えたとする。
そしてOK。と乗り込んでしまったら最後、彼らは到着してから50ドルだよと言う。
なので、絶対にルピーかどうかも確認しなければならない。
これがインドを旅する数多い中の一つのルールであった。
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noteには旅の思い出の一部を簡単に綴っています。
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※noteの方は思い出しながら書いているので、詳細が本書と違っていたりします。あくまでストーリーとしてお読みいただけたらと思います。