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[travel note #30]バンビエンへの移動

ルアンバパーンの街は白を基調としたような建物が多かったり、メコン川沿いに広めの道路があってそこをレンタサイクルして走ったりした思い出がある。

とても住み心地の良い、気持ちの良い街という印象だ。

メコン川沿いに建てられたマッサージ屋で1回200円とかでマッサージを受けられたり。

赤十字がやってるミストサウナがあったり。

街中にある少し小高い丘を登ることができたりと、色々とアクティブに動いた。

ルアンバパーンは強烈な印象があるわけではないが、「あの町良かったな〜」とずっと思える町だった。

そこからヒッピーの町とも呼ばれるバンビエンへと移動する。

あたりがまだ真っ暗な早朝にバスターミナルへと向かった。

ターミナルの周辺には早朝にもかかわらずもうお店が開いていて、僕はいくつかお菓子を買ったりして、またチャイのような温かい紅茶を飲みながらバスが来るのを待っていた。

すると、そこに若い男女のドイツ人カップルらしき二人組が現れて、僕に「少しカバンを見ててくれないか」って言葉を交わすわけでもなく、目で挨拶をされた。

僕はチャイを飲みながら静かにコクッと頷いた。

彼らも僕と同じように周囲のお店でお菓子などを買い込んでいた。

彼らが戻ってくると同じタイミングでバンビエン行きのバスが到着した。

どうやら彼らもバンビエンに向かうらしく、同じバスに乗車することになったが、そこでも言葉を交わすことはなかった。

それからバスは出発し、絶景が見渡せる山みちをひたすら走った。

途中、何度か休憩があり、緑あふれる山の中でバスは止まった。

その度に僕は車外に出て新鮮な空気を吸って背伸びをして体を伸ばした。

また走り出したバスが、急に止まる。

休憩か?とも思ったがそんな様子もない。

僕はカバンの中のビスケットに手を伸ばしてそれで腹ごしらいしながら時間を過ごした。

30分くらいしてからこれはおかしいぞと思い、外に出てみると、ずっと先まで車が渋滞しているのがわかった。

その先まで何が起きてるのか見にいってみると、なんと山中の狭い道路を塞ぐようにして、スリップした大型トラックが立ち往生していた。

多分片方のタイヤがぬかるみ部分に落ちて、そこからニッチもサッチも行かない状態になっていた。

これは時間がかかりそうだと言うことは一瞬でわかったし、誰しもが理解したと思う。

バスの中はエンジンもとめて暑くなっていたので、僕は車外のバスの日陰に座り込んで時を待った。

それからさらに30分ほど待ったタイミングだろうか。

男が話しかけてきた。それはバスターミナルで荷物を見てあげた男性だった。

「バンビエンまでの軽トラをヒッチハイクしたから君も乗らないかい」

それは面白そうだと思ったし、この状況から脱出できるならと思い、僕はすぐに彼の話に乗った。

バスに戻って自分の荷物を取り、彼の後を追いかけ、1台の軽トラの後ろに荷物を放り投げ、そして自分もそこへ乗り込んだ。

軽トラはゆっくりと立ち往生していたバスのそばをすり抜けるように慎重に走って、この難所を乗り切った。

その後は、ひたすら山中の道を降り、山を降り切ってからは平坦な道のりをまたまっすぐバンビエン目指して走った。

そこから後ろの山を望むと、大きな緑の山が聳え立っていて、とても美しかった。

バスの中からでは決して見ることのできない光景を眺め、気持ちの良い風を浴びながら走る軽トラの後ろは最高だった。

バンビエンに到着し、乗せてくれた運転手にお金(チップ)を支払おうとしたけど、彼らは受け取ることなく笑顔で走り去っていった。

あの山道が渋滞していたためか街中に旅行者は少なく、簡単に宿を見つけることができた。

そして、僕がここに到着して3時間くらい経ってからだろうか。

バンビエンの街中に続々と旅行者が溢れてきた。

多分、トラックの問題が解消されて、ようやくバスが街に到着したのだと思った。

彼らの顔は疲労困憊していた。

僕は朝、言葉すら交わすことなく、男女の荷物を見張るということをしただけだったが、その行為が後々自分を助けてくれることになるとは思いもしなかった。

そんな不思議な繋がり、体験をした記憶に残るバンビエンまでの移動であった。


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