[travel note #21]チェンマイまでの道中、言葉の通じない姉妹と心を通わす
バンコクの快適な生活を後にして僕はチェンマイへと旅路を進めた。
バンコクのフアランポーというなんだか丸くて優しい響きの駅からチェンマイ行きの夜行列車に乗った。
出発は日中だったので、窓の車窓から綺麗な緑が広がる田舎を見渡すことができた。
僕の席の通路を挟んで向こう側には母親と二人の娘が座っていた。
姉妹は5歳と7歳くらいの年齢だったと思う。
最初、席にちょこんと座っていた下の子がずっとこちらを見ているのに気づき、僕は手を振ってみた。
彼女はハニカムようにして笑ってくれた。
そして、僕はまた車窓から外の景色を見て過ごした。
ふと、なんだか気配を感じて振り向くと、通路に先ほど微笑んでくれた小さな子が立ってこちらをのぞいていた。
その表情から僕に興味があるような、遊んでほしいような訴える目がすぐにわかった。
僕が女の子をひょいと持ち上げて僕の膝に座って見せると女の子は拒む様子もなくそれを受け入れてくれ、お母さんも何も言わずに微笑んで見守ってくれていた。
母親と話すと、なんでも現地のタイ人ではなく香港か上海出身のようだった。(忘れてしまった)
僕は自分が知っている中国語を駆使して自己紹介すると、女の子は驚いたように僕とお母さんの間を顔を交互に振って見返した。
そして女の子はなんちゃらかんちゃらと中国語で話しかけてくる。
僕は女の子が何を言ってるかわからず、無言で頭を撫でると、彼女は返事を求めていたみたいで「なんでわかってくれないの」というような顔を見せてから少し落ち込んだように顔を下げた。
それでもずっと僕の側にいるので、僕は手帳を見せて一緒に落書きをしてみたり、手帳の一部をちぎって折り鶴を折ってあげたりした。
途中、お姉ちゃんも加わって僕達はチェンマイまでの長い道中を一緒に遊んで過ごした。
夜になり消灯の時間になってようやく彼女達は自分たちの席へと戻っていった。
言葉は交わせなかったけど、僕達は心を通わせられていたようにも思えた。
これが相手が大人だったら無理だったと思うけど、子供だったからこそできたのだろうと思う。
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